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少年時代、毎年、夏休みを過ごした母の郷里。その、なんでもないはずの田舎暮らしの中で、私は現実とも幻ともつかない奇妙なできごとに幾つも出会う――。お地蔵様のそばに釣り竿と桶を置いておくと、翌朝、桶の中に魚が入っているという噂を試す「錦鯉とお地蔵様」、人ごみの中、私だけに見える白い獣が現れる「本家のトヨエース」、夜祭の幻想的な光景を描く「にとこ踊り」など、ノスタルジー漂う昭和30年代を舞台に、村の人々の複雑な人間模様と、少年の成長を織り交ぜながら綴った奇譚集。
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Posted by ブクログ
田舎のおじいさん・おばあさんが孫に語る自身の不思議な体験談を物語にしたかのような本。
怪談では無い、田舎という限られた空間の中で、そこに住む人々が信じるもの、都会にはない豊かな自然とそこの人々との関係から生まれたような現象。現象というと無機質に感じられるかもしれませんが、普段は目に見えないし感じられないのだけれど、確かに存在していて、ふとした瞬間に現れ出でる。この物語の形式が、大人になった自分が子どもの頃のことを思い出して書く、というものだからなのかもしれませんが、少し距離を取りつつその不思議さを観察するかのような視点で、あまり感情的でないからこそ、かえって「あれは何だったのだろう」という謎めいた印象が深まり、なおかつその謎を追求しないことで読者の想像力を深まらせ物語に引き込んでいきます。田舎の閉鎖性と慣習的なところがまた、その不思議さを深くしているようにも感じます。ただ、この機微がターゲットとしている子どもたちに伝わるかどうかは…読ませてみないとわからないかな。
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