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ゲノム中心の生命観を変える、生物科学の新しい概念「エピジェネティクス」。遺伝の影響でもない。DNAの突然変異でもない。分子レベルのごくわずかな化学的変化が、目をみはる不可思議な現象を引き起こす。自然の妙技と生命の神秘。世界中のサイエンティストが熱い視線を注ぐ、いま一番ホットな話題を楽しく語る。
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Posted by ブクログ
レベル感としてはほぼ分子生物学の教科書と同じで,エピジェネティクスという現象の基本(生物学的な見方)を知るだけなら本書で十分理解できる。
エピジェネティクスと云う言葉をはじめて知りました。 エピというのは、ギリシャ語で、後で、上に、という意味の接頭辞だそうです。 遺伝子の後で、上に、という意味だそうです。 遺伝子を本に例えると、ここの部分は大事だから読むようにとか、ここの部分はとばして、のように付箋の働きをする今年や、一部の文章をの上...続きを読むに不透明のテープを貼って伏せ字にするようなことらしいです。 遺伝子は同じなのに、食べ物などの影響で女王蜂になったり、働きバチになったりするのもエピジェネティクスの仕業ということです。 DNAの分子配列だけでは生命は決まらないということですが、生命って奥深いと思いました。
エピジェネティクな特性とは、"DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれる表現型である(p21)".この文章を最初に読んだ時、何だこれは! と感じたが、本書を丹念に読んでいくと、分かってきた.さらに "最終的な遺伝子発言機...続きを読む構は、ヒストン修飾やDNAメチル化制御を介しておこなわれる.(p178)"という表現も、何かなじめる感覚を持てるようになった.難しい解説の間に、ほっとするようなエピソードがうまく挿入されており、楽しめた.遺伝子の転写の失敗ががん発生につながるようだが、画期的な治療方法がエピジェネティクスの技術から生まれてくる感触が高まってきた感じだ.
生物の発現形式はゲノムによって生得的に決定されており、人為的に変えることはできない――。本書はこのような「決定論的な」生命観に変更を強いるかもしれない「エピジェネティクス」という概念につき、その機序や具体例を詳細にしかも分かりやすく記述していく。 ゲノム上の60億基の塩基配列が生命活動に関わる全て...続きを読むのタンパク質をコードしているというそれだけでも驚くべき精緻な遺伝システムを、この「エピジェネティクス」に関わる機構は遺伝子型発現/非発現のスイッチを事細かく設けることによってさらに繊細にコントロールしている。この概念を導入することにより、例えば妊娠時の母体の栄養失調状態が胎児の成長後の糖尿病の発症確率に与える正の影響など、ゲノムの機能だけでは説明できない事象が説明できるのだという。 後半で触れられるとおり、エピジェネティクスのみで説明できる事象もまだまだ少なく、今後の研究を待たねばならない部分は多いようだ。筆者の言うように生物学が各論の蓄積で構成されている学問であるため、研究が進むと論点が拡散してしまいがちといった事情もあるようだが、本書で挙げられている実用化の可能性をみると研究の進展に期待できるところは大いにあるように思える。 全般的に、著者の自らの専門領域に対する客観的な眼差しに好感が持てる。なお、第2章の分子生物学のタームを用いた説明は飛ばしても良いと書いてあるが、高校生物程度の知識で十分ついてゆけるし、その後の議論が飛躍的に分かりやすくなるので飛ばさずに読んだほうが良いと思う。
分子生物学中級者向け。とにかく図が少ない上に、新書文字数制限のためかかえって難解に感じる。 内容はエピジェネティクスの基本が押さえてある。
「読売新聞」(2014年7月⒔日付朝刊)で、 池谷裕二先生が紹介しています。 【新書に相応しい「ムズオモ系」】 (2014年7月⒔日) 駅前の書店で購入しました。 (2014年8月4日) 読み始めました。 (2014年8月14日) 途中で分からなくなってきたので、 もう一度、最初から読み直しま...続きを読むす。 (2014年9月19日) 216ページの見出し語は、 スレスレというか、この言い回しを 使わなくてもいいのに、ポロッと 使ってしまっている。 編集者のポカですかね。ああ。 (2014年10月9日) 難しいけれど、読んでおいたほうがいい本、ですね。 (2014年10月9日)
簡単な言葉で説明できない、だけど、わかると非常に面白い生命現象。難しい内容から逃げずに、正面きって解説してくれる。「研究内容を正しく一般の人に広く伝える」著者の姿勢に恐れ入る。 恥ずかしながら、私が数十年前に習った遺伝子関連の知識では、その後の最先端の学術情報には次第についていけなくなっていた。大き...続きを読むな声で言えないけど、そうか、こういうことだったのかと理解したたところが少なくない。
遺伝子の配列が生物個体の一生を単純に決定する訳ではなく、環境因子の変動を受けDNAのメチル化やヒストンのアセチル化等により遺伝子発現制御に影響する事を簡潔な事例を交え丁寧に説かれており大変勉強になった。
エピジェネティクスのepiは「後で」を意味する接頭辞でありエピソードと言われるとなんとなくそんな気もする。ジェネティクスは遺伝学、同じDNAを持つ双子も育ち方によっては遺伝子の発現に差が出てくる。後天的な遺伝子発現に関わるのがエピジェネティクスでだが最大公約数的な定義が「エピジェネティックな特性とは...続きを読む、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体の変化によって生じる、安定的に受け継がれる表現型である。」なのだがこれではなんのことやら。 DNAはヒストンと言うタンパク質に巻きついているのだが、DNAやヒストンが化学的に修飾されることにより、遺伝子の発現が活性化されたり、抑制されたりする。例えばある疫学調査で生まれた時の体重が軽いほど高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高いというのだ。遺伝ではなく母親の胎内にいる時の栄養状態が遺伝子に化学的な修飾を施し生活習慣病を発現させるスイッチが入る。 育てられ方によりストレス耐性が違ってくるという研究もある。ストレスにさらされるとアドレナリンやコルチゾールと言うホルモンが出るのだが、コルチゾールはまず脳の脳下垂体から出る副腎皮質刺激ホルモン(CRH)によって刺激されるが、視床下部にはコルチゾールの受容体がありコルチゾールを受け取るとCRHの分泌が抑制される。つまりストレスによる防御反応が時間とともに減る=ストレス耐性があると言うことだ。そしてラットの実験ではよく可愛がられ、丁寧な親に育てられた方がほったらかしの親より、ストレスにさらされた時の血中コルチゾール濃度が低くストレス耐性がつよい。ほったらかされた方がストレスに強いイメージは間違っているのだ。毛づくろいなどスキンシップを受けるとセロトニンが分泌されどうもこれがDNAの修飾に関係があるらしいというところまではわかっている。 エピジェネティクスのよく知られた例は同じ遺伝子を持ちながらロイヤルゼリーを与えられたメスだけが女王蜂になることや、同じ遺伝子を持つ三毛猫が同じ模様にならないことが挙げられている。三毛猫が一般にはメスだけなのは2本あるX染色体の一方が茶色を発現し、もう一方が茶色を発現しない遺伝子という組み合わせになっているからだ。X染色体の片方は不活性化されるため、茶色かバックグラウンドである黒になり白はさらに白斑を作る遺伝子で決まる。 生命科学における思考法が紹介されているがこれは一般にも当てはまる。 ①確実なデーターに基づいて考える。 ②単純に考える。 ③一つづつ考える。 ④できるだけ厳しく解釈する。 ⑤できるだけ甘く解釈する。 ①〜③は理詰めの部分だが④と特に⑤が面白い。科学者と言うよりベンチャー起業家のような考え方だ。
『生命科学者の伝記を読む』というユニークな本の著者の中野徹が自身の専門でもあるエピジェネティックスについて書いた本。 エピジェネティックスは、DNAの塩基配列でない方法で生物の特質が親から子へ受け継がれるというものだ。生物の表現型は、DNAによって伝えられ、獲得形質は遺伝しない、という原則に反する...続きを読む事実があるというものだ。DNAの発現と抑制を行う仕組み - ヒストン修飾やDNAメチル化など - が世代を通して伝わるというものだ。セントラルドグマ - DNAによる遺伝によって伝わる情報からRNA等の機構に基づきタンパク質などの生成が行われて生物個体での特質が顕現するというもの - を破るものとしてエピジェネティックスが注目を集めているように見える。 最終的に、エピジェネティックスに過大な期待を抱いて読むとやや肩透かしを食ったように思うかもしれない。著者も誠実にも書く通り、「エピジェネティックな状態が遺伝することを確実に示す例は多くない」。そのため、「生命観を変えるとまで言うのは少し大げさな気がしている」というのは正しい認識なのだろう。 いずれにしても、このあたりの技術ってすごく面白いし、急速に発展しているなあ、というのが全般的な感想。
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エピジェネティクス
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