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福岡伸一<動的書房>電子化宣言
福岡伸一の著作が累計200万部を突破しました。読者の皆様に心より感謝いたします。これまで福岡ハカセは、自ら紙の本を愛するゆえ、読者にも紙で読んでいただくことを願って、著書の電子化は控えてきました。しかしながらこの数字を見て、紙の本は十分に行き渡ったと感じました。そこで電子媒体に親しむ新たな読者に向けて福岡ハカセの思考を届けるため、ハカセの代表作『生物と無生物のあいだ』、『世界は分けてもわからない』、『動的平衡』シリーズなどを皮切りに、順次、著作を電子化していくことにしました。名づけて、福岡伸一<動的書房>電子化宣言。もちろん、すでに紙の本でお読みいただいた方も、電子書籍でもう一度、お気に入りの箇所を読み返してみてください。
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ほんとうに安全か?米国産牛肉の輸入再開
安全性評価の大前提
プリオン説は、科学的に不完全な仮説だった!
ノーベル賞評価への再審請求
遺伝子を持たないタンパク質が感染・増殖するという新しい発病機構を提唱し、ノーベル賞を受賞したプルシナー。彼の唱えるプリオン説は、狂牛病対策など公衆衛生にも、重大な影響を持ち、科学的真実として受け入れられている。しかし、プリオン説はいまだに不完全な仮説であり、説明できない不可解な実験データも数多い。はたして、プリオン説は、ほんとうに正しいのか?
異常型プリオンタンパク質が検出できないからといってその臓器や組織の部位が安全だと考えることは、現段階では危険である。また、逆にいうと、異常型プリオンタンパク質の蓄積量の多寡をもって感染性の多寡を論じる考え方も危険である。内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会の議論の中でも、異常型プリオンタンパク質の存在量から、リスクの定量や評価を行う試みがなされたが、異常型プリオンタンパク質量は、ここで見たように感染性(感染力)と必ずしも量的な対応関係にない。(中略)このデータに基づけば、いわゆる特定危険部位(脳、脊髄、扁桃腺、回腸)さえ除去すれば、あとの部分は食用にしても安全であるという考え方は論理的でない。――<本書より>
第22回講談社科学出版賞受賞
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Posted by ブクログ
おもしろい。
プリオン説はマスコミを通じて広く一般に知られた「事実」となっている。
しかしながら、真に懐疑的な立場からすればまだ疑いの余地はあるのだ、
というのが筆者の主張である。その意味で、本書は現在進行形の研究に関する
レビュー的な性格を持っていると言える。
本書の面白いところは、内容に技術的な詳細が含まれることである。
当然ながら、科学はおとぎ話ではない。世界から科学的事実を見出すための
道具が、いくつも用意されている。それらの道具には一つ一つ癖があり、
そこから導かれた結論を解釈するときにはいつでも注意が必要なのである。
本書では、そうした技術に関する癖についてきちんと述べられている。
スクレイピーを発症した羊から、どのようなプロセスで病原体の濃縮が行われるのか。
その感染力の評価がどのような方法で行われるのか。
これらは瑣末な事柄に見えるが、実は本質的である。
問題の難しさがどこにあるのか理解する上で不可欠な知識である。
そしてこれは科学を語る上で、決して欠くことのできない視点である。
技術的に込み入った話であり、本書は非常に泥臭いと言える。
しかし読みづらさを感じないのは、筆者の文章力のなせる技なのだろう。
Posted by ブクログ
ヤコブ病と言えば難病加算に始まり、いくつかの加算が取れる病名として医療事務なら名前を知っている。
患者に出会うことはあまりないが、国の難病の補助制度を受ければ医療費はほとんどなくなるにも関わらず風評被害を恐れて登録をしない人もいる。
2005年の本だったので、現状が非常に気になる内容だった。
プリオン病というのがその病名で、ヤコブ病も狂牛病も同じ病気だと聞いていた。
しかし、その発生経緯はなんとも興味深い。
小泉劇場で日本の選挙を変えたあの時を思い出す。
巧みな広告パフォーマンスで時代を変えた。
そんな内容で展開してある。
しかしノーベル賞受賞というと素晴らしい権威のように思ってしまうが、懐疑派の人の本を読むといい加減なもののようで。
それはさておき、プリオン説は非常に興味深く面白い。
その一方で懐疑派の人の主張に答えられないものが多い。
そして著者も、懐疑的な立場から通説となっているプリオン説を覆す事実を見つけようとしていた。
ウイルスなのか、特別なタンパク質なのか。
興味はあるが、アルツハイマーの本で読んだ疫学的調査によって危うきに近寄らずの考え方ならば。。
プリオン説というのはもっともらしいし、狂牛病発見に貢献しているのだから非難されるのは人間性ゆえなのかも。
そしてアメリカ産のものは本当に信じられない。
Posted by ブクログ
<プリオン説は本当か>
羊のスクレイピー、牛の狂牛病、人間のヤコブ病・・・これらはすべて「伝達性スポンジ脳症」と呼ばれる感染性の脳に起こる疾患である。
長らく感染源が見つからなかったが、これらは「プリオン」というタンパク質が原因であるとされ、この「発見」をしたプルジナーはノーベル賞を受賞している。
だが、この説には支持する論拠も多いが、弱点も厳然として残っている。
<支持する根拠>
プリオン、それ自身は正常な状態ではどんな人間の体にもある。しかし、悪さをするのはそこから変異した”異常”プリオンである。
彼は、感染源である異常プリオンを”分離”した。
そして、これが疾病にかかった時に、必ず見つかることや、遺伝性のヤコブ病の家系では遺伝上の突然変異がみられ、これが正常プリオンを異常プリオンに変化させやすいという論証等を積み重ねることによって、同賞の受賞に至った。
<不支持の根拠>
しかし、正常プリオンかあら異常プリオンへの構造の変化のプロセスは未だ完全に解明されたわけではない。
さらには、疾病に罹患時にたしかに異常プリオンは見つかるが、異常プリオンのコア部分には感染性はない。
関係しているのは事実だが、犯人かどうかは疑わしい点もある。
著者は、まだ見つかっていないが、真の病原体はほかにいるとしてさらなる探求を続けいている。
<感想>
ほかのプリオン説の本もいくつか読んだが、どれもプルジナー礼賛で、この本がいちばんマトモな印象である。
たしかに、プリオンの話は羊や牛、はては食人というダイナミックでドラマチックなエピソードが多い。が、異常プリオンの感染性がいまだ不明というのはどうなんだろう・・・。
プリオン説が覆れば、いったんは収まっている狂牛病騒ぎが再燃しないとも限らず影響は甚大である。
Posted by ブクログ
どうも世間的にプリオン説優勢はゆるがないみたいだが、それはそれとして読んでみる。
その道のプロが自説、しかも異端の説をディテール含めて展開するのは、読んでいて大変に面白い。少数意見を唱えるものほど丁寧に語らなければならない、という訳だ。しかも著者は文章の達人である。
たしかにプルシナーによる「プリオン説の最終証明」とされる実験(第5章)の条件は妙にこみいっており、素人判断だがいかにも選びぬかれたデータでないかと思わせる。だがそれも変性プリオンを増殖させる難しさゆえのやむを得ぬ不自然さかもしれず、これだけでは何とも言えず。
後半のウイルス説を展開する所は非常に面白い。だが遺伝性のプリオン病の原因をウイルスに求める部分はさすがに無理筋に見える。
それにしても福岡ハカセの説は面白い。こちらこそtoo good to be trueなのかもしれないが。
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