室町末期、応仁の乱で疲弊した京。5年ぶりに都へ呼び戻された番匠・橘三郎右衛門は、公方御大工の父から、足利義政が隠居所として東山に山荘をつくることを聞かされる。同業者たちとの駆け引きや、口うるさい上様の注文をしのぎつつ、棟梁として技の限りを注いだ、三郎右衛門の最上級の建物を造る闘いが始まった。(講談社文庫)
ユーザーレビュー
Posted by ブクログ 2010年12月14日
東山文化の粋といっても当時の庶民には縁遠い。いや、縁遠いどころか怨嗟の的になっていたであろう銀閣寺。さすがに読後感を面白かったで片付けるわけにはいかないけど、それでも岩井さんの著作だけあって庶民、いや、職人の矜恃を感じさせる。
古来の建築、そして銀閣寺に詳しければもっとこの世界に浸れたはず・・・。自...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年10月03日
室町時代末期、幕府の権力が弱まり疲弊しているにも関わらず、将軍職を引退した後の自分のためこだわりの御所を建てよと命じる足利義政。お抱えの番匠たちが今で言う競争入札や、談合のような形で仕事を取って行く様。そして建設するための莫大な費用を民からあらゆる形で捻出させていたことなど、かなり興味深いものがあっ...続きを読む