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Posted by ブクログ
会社というか組織、をテーマあるいは舞台にした短編SF連作集。といっても、全体に確たるつながりはあるようでないようで。冒頭と巻末の一篇でくくられて入るものの、果たして登場する「会社」は同一のものなのか。そして社員たちは。繋ぎ止めるのは「クラゲ怪獣クゲラ」。北野SFではおなじみの生物兵器のひとつである。
北野さんの会社SF(サラリーマンSFと呼び変えてもいい)は、一度は会社勤めを経験しておかなければ伝わらない何かがある。ありていに言えば、会社という組織の一部になる、という感覚だ。それが、たとえば松本零士風に言えば「ネジ」や「ボルト」や「ナット」といったピカピカツルツルした硬質なものであるのに対して、北野さんのそれはぐちゃぐちゃべとべとと体に張り付いてくる感覚がなんとも気持ち悪い。会社という「組織」というだけのことはあって、やはりそれは適度な湿り気と温もりを持っているのである。
全体的にはホラー色が強いというか、怪異譚ではあるが「みんなの会社」は落語台本として書かれただけあって、最後のオチには吹き出した。これを口演で観る機会があればぜひ伺いたい。怪異譚集の中入りのようにちょうど真ん中に配置されている構成の妙にも唸らされた。
薄暗い黄昏の中の、終わりも始まりもない世界を酩酊しながら彷徨う感覚を味わいたいのなら、ぜひ。
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