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家族を捨てた「集落育ち」×家族に憧れる「工場育ち」
常識も愛し方も全く違う。それでも、そばにいたい。
2226年、人間は工場生産され、人口を完璧に管理できるようになった日本。
愛玩赤ちゃんPB生産工場で働く美奈子は、家族育ちという出生の秘密を抱えていた。母親から生まれ、手作りの料理を食べ、集落で育った美奈子は、世間からは「自然派」と忌避される存在だった。「お母さんはどうして私を産んだの。私、生まれたくなんかなかったのに」そんな美奈子の職場に、新たに後輩がやってくる。彼女は言った。「私、妊娠してるんです」その出会いが、美奈子の人生を一変させる!
もしも工場で子どもが生産されたなら、もしも成長しないペットベイビーが存在したなら、出産という行為は他社からどう見られるのだろう?そんなふとした疑問から書き始めた小説です。(著者)
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Posted by ブクログ
装丁、タイトル、あらすじ、すべてがあまりに惹かれて、迷わず読み始めた一冊。
内容はあまりにもドンピシャで、ページをめくる手が止まらなかった。読み終わってからも何度も反芻してしまい、頭の中で何度も場面や言葉が浮かんでくる、、、
読み手に思考を投げてくる作品で、答えを押し付けないのが更に世界にのめり込んでしまって、当日は他の作品が読めなかった。
初めて読んだ作家さんだったけれど、かなりのインパクト!こんなに心に残る読書体験になるとは思わなかった。
村田沙耶香さんの『世界99』を読んだ時もだったけれど、読後の余韻が続いていて、しばらくはこの本の世界から抜けられそうにない、すごい作品でした。
Posted by ブクログ
装丁の美しさに惹かれたのと、帯の強烈なキャッチに惹かれて。
面白かった、まさにディストピア×シスターフッド!
工場で赤ん坊を生産することで人口安定を成功させた未来。
工場で作られる人間は労働力になるために産まれてくる。
そこには家族などの概念がない。
だけど人間は「お世話したい」という欲求があり、
それを解決するためにペット用の都合の良いベビーが作られた。
母体出産が自然派と忌避される世の中で、
母体から産まれた主人公×赤ちゃんを産みたくて仕方が無い女性が出会って…という話。
命を作り出す、操る、というところまで来た未来。
これは正直神の域だと思うし、一線越えてしまってるのでは?と思うけど
SNSを見ていると、産みたい・産みたくない・子持ち・子無しなどの軋轢もあり、
何だかこの方が合理的なのかもしれないなぁと思わなくも無い…よね…
産むの痛いし…
でもどうしてもこういう価値観の世界はグロいなあと思う。
結局我が子とペットベビーって全く違うし、得られる感動も別物だと思う。
などなど、産んだらこそ何かすごく考えさせられてしまった。
「本人が望んで生まれてくる命なんて一つもない。人間も、動物も、植物も。
皆、勝手にこの世界に生み落とされて、その中で生きていく」
という言葉が印象的。
どうか、最後の電話が、良い知らせでありますように
本当に本当に、無事を告げる電話でありますように
母とも仲違いし、伊藤とも仲違いし、
そのままどちらとも会えずじまいでおしまい…は
あまりにも辛すぎるし、報われなさすぎる。
どうか本当に、良い知らせでありますように…と祈らずにはいられない最後でした。
Posted by ブクログ
2226年。人類は 性欲、食欲、睡眠欲。の
三大欲求を克服していた。
出生率の低下が国力の低下に直結すると
痛感した人々は 2119年に科学技術による出産の工場生産化。つまり人間の工場出産に踏み切った。
日本の工場出産児たちは自然出産児たちと同様に基本的人権を保障され、政府管轄下の施設で0歳から18歳になるまで育てられやがて労働力として全国の職場へ派遣された。
“子どもを産まなくても社会が持続できるのであれば、その苦労をどうして自分が負わねばならない?”
工場出産児が増加するとともに自然出産児の数は劇的に減少していった。
工場出産児は全てが平等だ。受ける教育も食べるものも。親から受け継がれる資産はなく、スタートラインは皆が完璧に同じ。だが、自然出産児はそうではない。集落には間違いなく経済格差が存在したし、親がどのように子どもに接するかで人格形成に
も差が出来る。
自然出産で産まれ 28歳になる美奈子は昔から工場出産児が羨ましかった。一方、
同じ会社の幹部候補社員である伊藤は工場出産児だが 彼女は昔から親や家族という言葉に憧れていた。そんな二人が伊藤の妊娠を機に心を通わせていく──。
本書を読んでいると、所々 不快な感じがする。とくに人間に都合よく出来ている愛玩動物のペットベイビーのくだりとか...
でも正直、全く理解できないわけでもない。結局 今現在のマジョリティの思考に乗っかっているから不快に思うだけなのかもしれないし。
今の “普通” が200年後の “普通” であるとは限らない。
200年後 人々は なにを手に入れ、なにを手放しているのだろう…。
そんなふうに考えさせられた本でした。
Posted by ブクログ
200年後、こどもを育てることはペットと暮らすこととほぼ同義になった世界。品種改良された、誰にも迷惑をかけない、都合のいいところだけを凝縮した赤ちゃんを愛でる世界。
人間の仕組み上、出産も生理も女性にだけ課されている役割で、私はどちらかというとそれについて憤りを感じることがある側の人間だと思う。でも、じゃあどんな社会を望むのか、についてはよく考えていなかったなと思い知らされた。
子供を産み育てていくことを社会が担った先にある世界がこれ、というのは、2026年を生きる私からするとまあ合理的だけど冷酷なものに見える。特に、帰る場所がない、家族や親という概念がない、という部分については。
産んだ人間が、産むことを最上の幸せとし、周りに押し付けてくることが本当に嫌で、私自身の母との関係がその一点においてのみ上手くいっていないことが何度も頭をよぎった。
産んでいない人間と産んだ人間が本当の意味で分かり合えることなんてない。それくらい出産というものが人生と人体に与える影響は多大なものだと思う。でも、私は私の責任で選択をしたい。
200年先のAIはもうちょっと柔軟な対応をするだろうに、とか、最初のうちこそ細かいところが気になっていたけど、だんだん引き込まれていって気にならなくなった。
美奈子が度々なんだか間に合っていなくて悲しい。どれだけ合理的な世界になっても気づいた時にはもう遅い、みたいな現象はやっぱりある。最後は読者に委ねる形で終わったので、私は希望のある方を選んで自分の中では咀嚼しておこうと思う。
Posted by ブクログ
なんて味気ない、気持ち悪いんだろう、子どものいない国とは。そう思ってしまうけど、生まれたときからそれが当たり前の世の中だったら、別に何とも思わないのかもしれない。
何なら、子どもなんていらないと思っていた以前の私は、子どもが自然に産まれないPB(ペットベイビー)が流行っている世の中に納得してしまっていたかもしれない。だって、出生率がどんどん下がっているこの国に未来はないし、だったら機械的に人間が生産されて経済も回る国になった方が合理的だから。
出産した今は、見方が変わった。子どもは思ったとおりにいかないし育てるのも大変だけど、だからこそ楽しみがある。手もかからないし、大人たちに迷惑もかけない、ただ可愛いだけのPBは確かに世の中に受け入れられやすいが、楽しさはない。PBがどう生きて、どう生を終えるか分かりきっているから。
この世界、誰も自ら望んで産まれてきた命はないという事実は当たり前だが忘れがち。でも、皆それが当たり前のように生きている。それも、産まれちゃったんだからしょうがないとかではなく、皆希望を持って生きている(一部そうじゃない人もいるが)。それってすごいことなんじゃないかと密かに思っている。
美奈子が最後、どういう気持ちで赤子と生きていこうと思ったかは分からないが、赤子が生きていけるよう世話するのが当たり前だと思ったから...であってほしい。
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