あらすじ
家族を捨てた「集落育ち」×家族に憧れる「工場育ち」
常識も愛し方も全く違う。それでも、そばにいたい。
2226年、人間は工場生産され、人口を完璧に管理できるようになった日本。
愛玩赤ちゃんPB生産工場で働く美奈子は、家族育ちという出生の秘密を抱えていた。母親から生まれ、手作りの料理を食べ、集落で育った美奈子は、世間からは「自然派」と忌避される存在だった。「お母さんはどうして私を産んだの。私、生まれたくなんかなかったのに」そんな美奈子の職場に、新たに後輩がやってくる。彼女は言った。「私、妊娠してるんです」その出会いが、美奈子の人生を一変させる!
もしも工場で子どもが生産されたなら、もしも成長しないペットベイビーが存在したなら、出産という行為は他社からどう見られるのだろう?そんなふとした疑問から書き始めた小説です。(著者)
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Posted by ブクログ
ある意味、理想の少子化対策
優秀な労働者(納税者)の素質がある工場生まれの子どもたちと、
生活と心を満たすために造られた、乳児から幼児までしか生きないペットとしての赤ちゃんが当たり前の近未来
こんなに合理的でグロテスクな世界で、もし自然分娩で我が子を望んだとしたら?
Posted by ブクログ
美奈子。伊藤。パリノックス社。
PB。ペアレンツ。ペットボトル。受精卵。
ラビ。完全栄養食。
三代欲求の克服。自然派。自然出産。工場出産。
子どもを産む意味。育てる意味。PBを看取る。
ここはこどものいない国。ここもこどものいない国。
Posted by ブクログ
装丁の美しさに惹かれたのと、帯の強烈なキャッチに惹かれて。
面白かった、まさにディストピア×シスターフッド!
工場で赤ん坊を生産することで人口安定を成功させた未来。
工場で作られる人間は労働力になるために産まれてくる。
そこには家族などの概念がない。
だけど人間は「お世話したい」という欲求があり、
それを解決するためにペット用の都合の良いベビーが作られた。
母体出産が自然派と忌避される世の中で、
母体から産まれた主人公×赤ちゃんを産みたくて仕方が無い女性が出会って…という話。
命を作り出す、操る、というところまで来た未来。
これは正直神の域だと思うし、一線越えてしまってるのでは?と思うけど
SNSを見ていると、産みたい・産みたくない・子持ち・子無しなどの軋轢もあり、
何だかこの方が合理的なのかもしれないなぁと思わなくも無い…よね…
産むの痛いし…
でもどうしてもこういう価値観の世界はグロいなあと思う。
結局我が子とペットベビーって全く違うし、得られる感動も別物だと思う。
などなど、産んだらこそ何かすごく考えさせられてしまった。
「本人が望んで生まれてくる命なんて一つもない。人間も、動物も、植物も。
皆、勝手にこの世界に生み落とされて、その中で生きていく」
という言葉が印象的。
どうか、最後の電話が、良い知らせでありますように
本当に本当に、無事を告げる電話でありますように
母とも仲違いし、伊藤とも仲違いし、
そのままどちらとも会えずじまいでおしまい…は
あまりにも辛すぎるし、報われなさすぎる。
どうか本当に、良い知らせでありますように…と祈らずにはいられない最後でした。
Posted by ブクログ
期待した通り、いやそれ以上に良かった。命への覚悟が現代の人間にはあるのか、その覚悟を持って子供を持たなければならないこと、と同時に本能的に子供が欲しいと思うことがなんらおかしなことではないこと。そういうことを教えてくれた本。この本を読んで、人と人との関わり、AIや人工のものからは得られないものの価値、それは絶対にないがしろにしたり忘れたりしてはいけないものだと感じた。どこまでAIが進んでも、人間は動物であって、自然派だ。それを忘れてはいけない。
Posted by ブクログ
なんかこれまでの武田綾乃さんとはガラッと違う感じで戸惑いながらも一気読みだった。
三代欲求の負担がなくなるとすんごい人生の時間が増えるし色々楽になるよなと思うし、出産子育てなくなるのもものすごく凄まじく楽なんではないのか、とは思う部分がどうしてもあるので興味深く読みつつ…
食べ物とかはわたしは栄養が全部詰め込まれた豆ひとつ食べたらそれで済むならありがたいなと思うとこもあるのでそれでいいし睡眠補助もしてもらえるならありがたいなと思うんだけど、生殖に関しては、どうなんだろう。
斎藤工さんが子供を産むドラマを昔見て、男性が出産子育てしてくれるならめっちゃ楽!と思ったのを思い出した。
でも、母曰く出産ほど幸せなことはないらしい。
こればっかりは経験しないとわからないからわからない…。
けど、ペットベイビーは、いたら育てたい人いっぱいいそう。でも、人が赤ちゃんのまま育たずに死ぬことに、人間は耐えられるのだろうか。
なんか不気味だなと思ってしまった。動物ならいいけど人間の姿でそれは不気味と思うのは、これもまたそういうもんだから、という思い込みなのだろうか。
いずれにしても人間てのは環境に順応して生きていく生き物なので、そんな世界ならそんな感じなんだろうなと思いつつ、たぶん機械生まれたちは、自然派に憧れるんじゃないかなぁ、リアルだと。と思った。
武田綾乃さんはお子さんを出産してこんなお話を書かれたのがどんな思考回路?と思った。
でも、美奈子が赤ちゃんを愛せそうでよかった。
んー、それにしても機械生まれだと人間より標準スペック高めなんですね。
Posted by ブクログ
面白かった。ディストピア×シスターフッド。自分も「こども」を持つということに対して抵抗があるタイプなので主人公の視点で見る世界はすごく興味深かった。PBの普及が実際に行われたら、救われる人っていうのは一定数いるんじゃないかな…?あと、作中で登場した「自動身体洗浄機」。切実に欲しい。
Posted by ブクログ
200年後の未来。労働力としての人間は国が生産、管理して人口を保っている。出産をする人間はほとんどおらず、三大欲求すら人工的に満たされる社会。人間を育てたいという欲求も、PBという人工の赤ちゃんペットで満たされる。
今私たちにとって当たり前とされる価値観は、そんな社会では全く「普通」ではない。
SF世界の中で、普遍的な愛憎と人間らしさとは何なのかを考えさせられる物語。
思っていたより面白かったです。
Posted by ブクログ
2226年。人類は 性欲、食欲、睡眠欲。の
三大欲求を克服していた。
出生率の低下が国力の低下に直結すると
痛感した人々は 2119年に科学技術による出産の工場生産化。つまり人間の工場出産に踏み切った。
日本の工場出産児たちは自然出産児たちと同様に基本的人権を保障され、政府管轄下の施設で0歳から18歳になるまで育てられやがて労働力として全国の職場へ派遣された。
“子どもを産まなくても社会が持続できるのであれば、その苦労をどうして自分が負わねばならない?”
工場出産児が増加するとともに自然出産児の数は劇的に減少していった。
工場出産児は全てが平等だ。受ける教育も食べるものも。親から受け継がれる資産はなく、スタートラインは皆が完璧に同じ。だが、自然出産児はそうではない。集落には間違いなく経済格差が存在したし、親がどのように子どもに接するかで人格形成に
も差が出来る。
自然出産で産まれ 28歳になる美奈子は昔から工場出産児が羨ましかった。一方、
同じ会社の幹部候補社員である伊藤は工場出産児だが 彼女は昔から親や家族という言葉に憧れていた。そんな二人が伊藤の妊娠を機に心を通わせていく──。
本書を読んでいると、所々 不快な感じがする。とくに人間に都合よく出来ている愛玩動物のペットベイビーのくだりとか...
でも正直、全く理解できないわけでもないのです。結局 今現在のマジョリティの思考に乗っかっているから不快に思うだけなのかもしれないし。
今の “普通” が200年後の “普通” であるとは限らない。
200年後 人々は なにを手に入れ、なにを手放しているのだろう…。
そんなふうに考えさせられた本でした。
Posted by ブクログ
200年後、こどもを育てることはペットと暮らすこととほぼ同義になった世界。品種改良された、誰にも迷惑をかけない、都合のいいところだけを凝縮した赤ちゃんを愛でる世界。
人間の仕組み上、出産も生理も女性にだけ課されている役割で、私はどちらかというとそれについて憤りを感じることがある側の人間だと思う。でも、じゃあどんな社会を望むのか、についてはよく考えていなかったなと思い知らされた。
子供を産み育てていくことを社会が担った先にある世界がこれ、というのは、2026年を生きる私からするとまあ合理的だけど冷酷なものに見える。特に、帰る場所がない、家族や親という概念がない、という部分については。
産んだ人間が、産むことを最上の幸せとし、周りに押し付けてくることが本当に嫌で、私自身の母との関係がその一点においてのみ上手くいっていないことが何度も頭をよぎった。
産んでいない人間と産んだ人間が本当の意味で分かり合えることなんてない。それくらい出産というものが人生と人体に与える影響は多大なものだと思う。でも、私は私の責任で選択をしたい。
200年先のAIはもうちょっと柔軟な対応をするだろうに、とか、最初のうちこそ細かいところが気になっていたけど、だんだん引き込まれていって気にならなくなった。
美奈子が度々なんだか間に合っていなくて悲しい。どれだけ合理的な世界になっても気づいた時にはもう遅い、みたいな現象はやっぱりある。最後は読者に委ねる形で終わったので、私は希望のある方を選んで自分の中では咀嚼しておこうと思う。
Posted by ブクログ
2026年日本。99%の人間が工場で生まれていた。
その後,寮生活し、学習舎で学び,優秀な個体は大学へ。そのほかは高校のあと、就職する。
親はいない。
人間の庇護欲は、PBといわれる人形ペットで満たされる。PBの寿命は10年。見た目も知能も人間の赤ちゃんの7ヶ月で止まる。泣かない、おむつも1日2回ほど。ミルクも自分で飲む。手間のかからないペットだ。
美奈子はそのPBを作る会社の廃棄部門で働いている。
実は,美奈子は自然出産で生まれた。ある集落出身だった。学校に行く年齢になると工場生まれと同じく学習舎に入った。だが、工場生まれ子達は優秀遺伝子の組み合わせで作られているのでいくら勉強しても美奈子は劣等生だったし、話が合わなかった。
自分もみんなと同じように工場で生まれたかった。
いろんな複雑な想いで、集落を飛び出して、母を残し東京に出てきたのだった。
そんな時、廃棄部門に正社員として伊藤類と言う女性が配属された。彼女は初日に手作りクッキーを配り、みんなを困惑させた。
この時代、手作りのものなんて誰も食べない。栄養バランスのとれたスティックバーを食べる。
ちなみ、睡眠も薬で3時間程度で大丈夫だし、
性欲もホルモン剤を投与してない。生理もない。
美奈子は1人で食堂でスティックバーを食べていると伊藤がやってきて,クッキー食べてねと言われた。本当に食べた。
それで、伊藤は美奈子を認めた。
伊藤は妊娠していた。
彼女自身は工場生まれ。妊娠出産のことを何も知らない。美奈子は5つ離れた弟がいて、その妊娠出産を見ていたので何となく知っていた。
集落では、みんなが力を合わせて子育てもしていた。
伊藤は酷い悪阻だったが、悪阻というものさえ知らなかった。一流企業の幹部候補なので住まいは立派だが、家は汚れていたので、美奈子が片付け、悪阻の伊藤のサポートをしていた。
だが、自分が自然出産で生まれ、学習舎で劣等感のなか育ち、結果、高卒で登録社員でしかなれなかったことをかんがえると、
伊藤が同じように,自然出産を望むのか理解できない。悪阻がひどく、体もつらく、自分の命さえ危ぶまれる出産をなぜ希望する?
一方、PBも気持ち悪いと思っていた。
職場の先輩の榊がPBを3体職場に連れてきても、
可愛いとは思えなかった。赤ちゃんのまま育たない、手のかからない、不思議なペット。
そして、伊藤のお腹は大きくなり臨月まで後少しとなるとき、喧嘩してしまった。
同時に、故郷から電話。母が亡くなったらしい。
郷里に帰りつつ、思い出す,大きくはなれなかった弟のこと。
って話。
すごいねー考えることがあったよ。
200年後,日本がこうなってるかもしれない。
いまも女性が自分のキャリアを考えると、出産しない選択をすることが増えている。
病気のリスクもある。
そして子育てはお金がかかる。
それて、人口はどんどん減っている。
社会を保つにはある程度の人間が必要。だから工場生産する。優秀な遺伝の精子と卵子の組み合わせで、優秀な人間が増える。なんて合理的。
社会が育てるから、女性のキャリアがーとかない。
倫理的なことを目を瞑ったらこんな社会があるかもしれない。お父さんもお母さんも,おじいちゃんもおばあちゃんも、全員最初からいなければ羨ましくもない。
でも、そしたら,人生何が楽しいんだろう?
Posted by ブクログ
タイトルの通り、こどものいない国。
親から産まれるのではなく、より良い遺伝子で産まれてくる子供達。PBと呼ばれる歳を取らないペットの赤ちゃんを飼う人々…
かなり壮絶な世界観でした。
美奈子は自然に親から産まれた子故の、故郷の集落の価値観が外の世界では通用しない事を子供心に知る事となり、かなり達観した感じがしてました。
そして、同じ会社で出会った幹部候補生の伊藤。彼女は自分で子供を産む事を望んでいた。相反する2人が次第に近づいていたけれど、母が以前弟を出産する時に子供を取るか母体を取るかで父と揉めていた経験を持つ過去があり、伊藤がそれを美奈子に強要しようとしていたのが痛かったです。
美奈子は結局伊藤の子供を育てたのか?
気になる所で終了がまた想像を掻き立てました。
Posted by ブクログ
なんて味気ない、気持ち悪いんだろう、子どものいない国とは。そう思ってしまうけど、生まれたときからそれが当たり前の世の中だったら、別に何とも思わないのかもしれない。
何なら、子どもなんていらないと思っていた以前の私は、子どもが自然に産まれないPB(ペットベイビー)が流行っている世の中に納得してしまっていたかもしれない。だって、出生率がどんどん下がっているこの国に未来はないし、だったら機械的に人間が生産されて経済も回る国になった方が合理的だから。
出産した今は、見方が変わった。子どもは思ったとおりにいかないし育てるのも大変だけど、だからこそ楽しみがある。手もかからないし、大人たちに迷惑もかけない、ただ可愛いだけのPBは確かに世の中に受け入れられやすいが、楽しさはない。PBがどう生きて、どう生を終えるか分かりきっているから。
この世界、誰も自ら望んで産まれてきた命はないという事実は当たり前だが忘れがち。でも、皆それが当たり前のように生きている。それも、産まれちゃったんだからしょうがないとかではなく、皆希望を持って生きている(一部そうじゃない人もいるが)。それってすごいことなんじゃないかと密かに思っている。
美奈子が最後、どういう気持ちで赤子と生きていこうと思ったかは分からないが、赤子が生きていけるよう世話するのが当たり前だと思ったから...であってほしい。
Posted by ブクログ
くぅぅぅ、こうなってしまうのか2226年の日本よ。でも、間違いではない。だってタイパとコスパと物価上昇、子育てがバツゲームようなこんな社会で、誰が子どもを育てたいのよ。わたしは2026年でも子供を持つ意味を理解できないけど、子供を持つ意味が「世話をする対象が欲しい」「国力を維持するため」なら、この世界で成り立った、優生遺伝子同士を掛け合わせた素晴らしい子供を工場で量産する形とペットの赤ちゃん(決して泣かない、世話の必要も最低限で可愛い)でいいんだもんね。
同性婚もOKになり、学習舎とよばれる養育施設で子供はまとめて育つことで「子どものいない国」になった日本。三代欲求も克服した社会。何を楽しみに生きていくんだろうか。問われている気がする。
Posted by ブクログ
3大欲求を克服した、今から200 年後の2226年。
人は工場生産されるのが当たり前で、自然出産を選択する地方の一部の集落の人々は「自然派」として遠巻きにされている。
主人公の美奈子は自然出産で生まれたが、母との確執から東京へ上京。むしゃくしゃする度に、契約社員として働く会社で、作り損ねた廃棄PB(ペットベイビー)を密かに盗んでしまう。
そんな日々を送る中で、正社員としてやってきた新人から、「私、妊娠してるんです」と打ち明けられ…。
単純に、世界中の人がそれを常識とすれば、まかり通るのが世界なのか。
ならば200 年も経てば、ぞっとするようなこの物語の世界も、現実になるかもしれないな。
「恨みも憎しみも知らない。ただ親の愛だけを一身に受けた、老いを知らない愛玩動物。
ーーーおかあさん。
ーーーわたしいがいをあいさないで。
歯の生えることのないその口内には、無邪気な闇が広がっていた。」
母の葬儀の為に帰郷した夜、ふとした事でPB北斗と2人きりになった時の衝動が強く印象に残る。
「大人しくて騒がない、自分達に都合のいい生き物に対しては、社会はきっと親切だ。だがそれ以外の存在は、罰して良い存在として片付けられる。だって、存在が迷惑だから。」
混み合う地下鉄内で泣き叫ぶ赤ん坊に対して怒鳴りつける男性。
そして、庇いはしてくれるが、他人に迷惑はかけるなと釘を刺す女性。
200年経とうと、こどもが工場で生まれるようになろうと、PBという奇妙な愛玩動物がスタンダードになろうと、根本的な人の心は変わらないのだなぁ。
でも最後の最後で、電子端末からの連絡は、良い知らせの方だったと信じたい。
愛って、温度ですよ!と教えてくれた彼女に、我が子のあったかさを感じる未来をあげたいって思うラストでした。
Posted by ブクログ
2226年、人間が工場生産され、成長しない愛玩赤ちゃんPBが飼われる日本。突飛な設定なのに読むほどリアルで背筋が冷える。完璧に管理された無機質な世界だからこそ「愛って温度ですよ」という言葉がじわりと沁みた。そして「子どもを持つことは罪ですか」——この問いが200年後ではなく今の私たちに向けられていることが一番恐ろしい。常識も愛し方も違う美奈子と伊藤が、それでもそばにいようとする姿に胸を掴まれた。
Posted by ブクログ
工場出産が通常になった世界で、自然出産で生まれた美奈子と、妊娠出産を選択した伊藤さんのお話。
少子化が突き進んだ社会の、近未来なお話。
怖いお話だったな、、、
この後、伊藤さんは目覚めるのか?
美奈子はちゃんと子育てしていけるのか?
三大欲求を克服した人類。
生きてて楽しいのか?
これがディストピア小説ということであれば、今現在、終末に片足突っ込んでるよね、もうすでに。
「ここは こどもの いない国」というフレーズが絶望的に響いた。
Posted by ブクログ
☆2寄りの3。ダヴィンチプラチナ本から。地繋がりと思われる日本の200年後が舞台。SFに造詣が深くない自分から見てもちょっと無理な設定じゃない?って部分が複数あったり、張られた伏線がいまひとつうまく機能していなかったり、そんなに探したつもりもないんだけど、粗が目立った印象。最後も力業で無難な着地点に到達しました、という感想を持ってしまった。
Posted by ブクログ
2226年の日本。三大欲求は全て淘汰されてる。
完全食でご飯から解放されて、睡眠補助剤で1〜3時間の睡眠で十分で、10代前半でホルモンは止めてしまい射精も生理も無い。赤ちゃんは工場でつくられるし、ペット用の赤ちゃん(ずっと赤ちゃんの姿で知能で泣くこともなく寿命が10年ぐらい)もいる。
生成される工場の赤ちゃんは当然良い知能と容姿で、親が誰かなどはなく、みんな寮で過ごして、トップクラスは大学に行きそうじゃないのは高卒で地元で働く。結婚も同性婚が7割。自然派という自分で料理したりする派閥もいる。
主人公は自然派から生まれた女性の派遣だが、自然派ではない。エリートクラスとしてやってきた後輩は工場産だが自然派。その後輩正社員は子どもを産んでみたくてエリートになった。そして精子提供で子どもを身籠る。お互い好き同士で一緒に暮らす。
主人公は実は弟が居たが乳幼児突然死症候群で亡くし、そのまま父親も死んで母親は抜け殻になって絶縁状態で東京に来た。東京には幼稚舎がないので東京育ちがいない。
エリートの伊藤に出産保証人を迫られて仲違いし、実家で母親が死に、戻ってきたら妊娠高血圧症で意識不明で子供だけ先に退院するので受け取る。伊藤の生死不明状態で電話が鳴って終わる。
Posted by ブクログ
こどもを出産し育てる人がほとんどいなくなり、ペットとして赤ちゃんを飼うのが主流になった世界の話。
性行為して出産して育てるって今は当たり前の価値観だけど、改めて大変な作業だよなぁと痛感させられる話だった。それだけ大変なことだとわかっててもこどもを産みたいってなる本能はわからんでもないので伊藤さんに共感はできる。
赤ちゃんをペットとして飼うって倫理的にどうなんって今は思うけど、こどもを育ててみたいという女の本能を満たすためにこの世界では大切なんだろうな。
最後伊藤さんが意識を取り戻していますように。
Posted by ブクログ
200年後の人間が工場で生産されるという設定は非常に面白いし興味深かった。栄養食などは便利だなと思うが、欠落のある人間ははじめから排除され、親や家族がおらず生涯働かなければならないのは恐ろしいと思った。設定がおもしろいだけにストーリーはあまりパッとしなくて、もっと未知の世界の展開があれば良かった。
Posted by ブクログ
SL2026.7.29-2026.7.31
200年後の日本、人間の三大欲求(性欲、食欲、睡眠欲)を克服した世界では人は工場出産で生まれ、親の概念はない。そんな世界で自然出産で生まれてきた美奈子と自然出産を望む伊藤。
子どもを産むことの意味を考えさせられる。
美奈子が育った自然派の集落は、要するに今の私たちと同じような生活をしているのだけど、この世界の構図から見るとまるでカルト集団のよう。美奈子の母親の言うことが自分の信仰をやみくもに子に押し付けているように見えてしまう。
「綺麗ごとの平等は、現実の前では無力」という美奈子の言葉が強く印象に残った。
Posted by ブクログ
未来にこんなこと起きるんだろうか?普通って、一番わからない。何が普通かなんて、いつでも変わっていくから。その時に一番大多数の意見が支持されていく。その中で、自分の考えを押し通すのは難しい。合っているのか、正しいのかもわからないのに。本能は、正しいのかな?正しいのか正しくないのかという判断がちがうのか?
Posted by ブクログ
デストピアによくある設定で「工場で生まれてくるこども」があるが、そこに加えて愛玩動物的な「人間の赤子」という存在がミソ。なるほど、この設定は新しい。
こどものいない国。現代のようだし、「こどもがいない国」ではなく「こどもしかいない国」ではないのだろうか。誰も育児をしないし、こどもに関わらない世界の「大人」ってなんなのかな。工場を出たら大人なのかしら。
主人公は反出生主義のようで、登場自分たちの中で一番命の誕生と成長の過程を大切にしている。本人はけっして認めないだろうけど、きっといい親になるだろう。
Posted by ブクログ
人間が工場で生産される2226年の日本で、自然妊娠で生まれ家族を捨てた美奈子と、工場生まれで子供を産みたい伊藤を描いた作品。
「人間が工場で生産された未来」という設定に惹かれて手に取った1冊。
人間の3大欲求がコントロールされても、人間の庇護欲は残されているというのが面白い。
成長しない、泣かない、排泄の世話も日に2回でOK、ミルクも自分で飲む、品種改良されたペットベイビー。
庇護欲を満たす存在であるPBが、赤ん坊の手間がかかる部分を排除し、愛らしい存在を極めているところに、人間が欲を満たすために生きている動物だということを表している気がする。
妊娠・出産が罰ゲームのようになってきている現実世界も、これから妊娠・出産をしなくてよい世界を目指す可能性もあり得る、と思った。
作中で「マジョリティに合わせて効率化された社会」と表現されているが、現実世界もどんなに多様性と言っても社会はマジョリティに合わせて作られていて、最小のコストとエネルギーでなるべく多くの人を一定レベル以上の生活にすることを目指しているからだ。
(それが良い・悪いという観点ではなく)
一見ディストピアのように見えるこの作品だけれど、考えようによってはディストピアとも言えないのかもしれない。
Posted by ブクログ
ここは約200年後の日本。それは子供のいない国。
本作で描かれている世界では人間が三台欲求を克服し、全てが効率化され、無駄を省いた生活を送っている。そんな世界で流通しているのが赤ちゃんの見た目をしたペット。通称PB(ペットベイビー)
しかし、本能に従い自然出産を望む人々も描かれている。便利になれば幸せなのか?無駄を省けば身軽になるのか?そうではないですよね。
不便だから工夫し、助け合って生きていく。無駄な動作=不必要とは限らない!
進化を望めば、人の温かみや幸福度を失う。本末転倒な気がしますが、求めた先に冷徹な未来が待っているとしたら僕は今のままの生活が続けばいいと思う!
Posted by ブクログ
人間が工場で生産される2226年の日本。安定と引き換えに三大欲求を失った社会で、自然出生を望む人々を描く。
人が集まって社会が形成されたはずが、社会を維持するために人をモノ化している未来像。かわいいだけのペットと化した「赤ちゃん」が恐怖。
徹底して不安定さを排除した近未来では、妊娠や育児、手料理等は「異常」とみなされる、という視点に価値観を揺すぶられる。言われてみれば…?が続く読書体験でした。
実際は、人間生産が続けば「正解」が淘汰されて似たような人ばかりになり、社会/生物として弱くなって破綻しそう。人口に合わせて社会の在り方の方を最適化していく今が正しい。
理不尽に翻弄されながらも「人間らしく生きる意味」を考える主人公。バッドENDに向かう社会を見守るような、なんとも言えない読後感でした。
Posted by ブクログ
AIの進歩により暮らしの部分では未来的にこんな世の中になっているのでは?と現実的に思えてしまいました。出産する環境によって子供の人生が違ってくる事になってしまう世の中は怖いと感じました。