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Posted by ブクログ
のらりくらりとした花屋の店の主人、前妻と今の妻への気持ちが、風のようにコロコロと変わっていく様の描き方・・・
すごいよぉ~。
男が誰かに告白しているような形式なんだけど、その文章はまるで散文で、川の流れのように、片流れの日本画の様。
もって回った京言葉も、なんだか雅やかです。
一人の優柔不断な男として、自分の気持ちに素直なんだけど、はたしてそれは世間や他人様に対してどうなのか・・・
まぁそこは置いといて、、
ハッと突然様変わりし、自分で自分の気持ちがわからない、そんな男の、、人間の不思議さ、心もとないいい加減さ、その気持ちに裏打ちされた無責任な行動が・・・なんだか悔しいけど愛しい、そんなお話でもあります。
Posted by ブクログ
次回の読書会課題図書は、今年の後期朝の連続テレビドラマのヒロイン宇野千代さんの「おはん」。
宇野千代さん、お名前はもちろん知っていたけど、著作を読むのは初めて。
宇野千代さんへの勝手なイメージと、タイトルの女性の名前から、奔放な女性の一代記なのかと思っていたら、一人称で描かれる物語の語り手は、30代前半のうだつの上らないいわゆるダメンズ。
7年ほど前、女房(おはん)のある身で、はじめて馴染んだ芸妓にうつつを抜かし、それ以来、おはんは実家に戻されて、自分はその芸妓の家で半ばヒモのような生活をしている。長い間願っていた子どもは、タイミングの悪いことに実家へ引き戻された直後におはんのお腹にいることがわかった。それ以降の7年間、おはんとも生まれてきた我が子、悟とも会うことはなかったのが、ひょんなきっかけで再会し…という導入から物語が始まる。
100頁ちょっとの、それほど長いわけではない小説。物語中の時間の経過も、ある出来事が終わった後に振り返って語る2年弱といったもので、登場人物もそれほど多くないのだが、戦後すぐぐらいから綴られた文体が、今では馴染まない単語が頻発したり当たり前のように旧仮名使いの難読漢字がたくさん出てきてたいへん読みづらい。
この作品を作るのに、10年かかったらしいのだが、100頁強を読むのに昭和生まれではあっても令和読者のわたしは結構時間がかかった。
とは言え、退屈だったかといえばそうではない。
俗っぽいゴシップ的な話の筋ではあるものの、この優柔不断で浅ましい、女性の敵みたいな男の語り手の、フラフラと揺れる心の動きが、何故か憎めない。
いや、むしろなんとなく共感してしまうようなところもある。
思うにこの男性は、とても情が深い。
我が身可愛さの優柔不断であるとも言えるが、相対しているとどうしても目の前の相手に情が湧いて突き放せない。
7年間、けなげに貞操を守ってきたおはんにも、今の情婦であるおかよにも、稚い悟に対しても、その瞬間瞬間に哀れさ愛しさが溢れ出て動けなくなる。
うだつが上がらなくても、外部から眺めて最低な振舞いをするダメンズでも、
たぶんこういう男性はモテるのだ。
解説にもあったが、この物語を因果応報で語るこの男の倫理もとても興味深い。
確かにこの物語の「結」に至る伏線を「起」「承」のあたりから丁寧かつ、あからさまに貼っている箇所は読んでいて気になっていた。
最後の最後で、あの時ああしていた頃に…と振り返って懺悔する様は、残酷だが物語としてとても際立っている。
いやぁ…面白かったな。
昭和の恋愛観、めっちゃ見応えあるわー。
傑作であると言われる所以がわかる、
面白い恋愛古典小説でした。
Posted by ブクログ
これは、加納屋を語り手に設定したことによって成功した作品だと思う。
物語として読むなら、正直なところ、どの登場人物にも共感できない。
でもこれが、エロスとアガペーについて書かれた寓話なのだとしたら?
おはんは、一心に加納屋の幸せを願い、加納屋の幸せこそが自分の幸せであると考えている。
一方、おかよは、加納屋の肉体を求め、とにかく自分のもとにとどまってくれることを望む。
そして加納屋は、そんな二人の間で、どっちつかずの態度を取り続ける。
でも、おかよとの生活をこのまま続けたい気持ちも、おはんと悟と親子3人で暮らしたい気持ちも、その瞬間においては本物なのだ。
本物だからこそ後悔し、悩み苦しむ。
もちろんそれは自業自得なのだけれども、そこに人間の本質というか、弱さが現れている気がする。
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小説・文芸
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