掏摸
作者名 :

1巻配信中

価格 486円 (税込)

東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎、かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」――運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは……。その男、悪を超えた悪――絶対悪VS天才スリ師の戦いが、いま、始まる!!

ジャンル
出版社
河出書房新社
掲載誌・レーベル
河出文庫
ページ数
187ページ
電子版発売日
2013年06月14日
コンテンツ形式
XMDF
対応端末
  • Lideo
  • Win PC
  • iOS
  • Android
  • ブラウザ

書店員のおすすめ

「掏摸」という言葉は、「獏」の文字に似ているからか、まるで動物の名前のように見える。この小説は、生活のための掏摸ではなく、掏摸という行為そのものに生きる男の話だ。無意識に取り、変装資金のために取り、愛する人が死んだ悲しさで手当り次第に取る。これはいわば「掏摸」という動物ではないか。
まず興味を惹かれるのは、華麗なる掏摸の技術の数々。標的探しから証拠隠滅まで、ルポルタージュのように闇の世界が描かれる。一般市民は身近に潜む危険にぞっとし、思わず財布の所在を確認してしまうだろう。
また、感情を排除した淡々とした描写が、読者を物語の深みへ引きずり込んでいく。財布を抜き取る手先の微細な緊張まで伝わってきて、その手を相手につかまれた瞬間は本当に身の毛がよだった。主人公の行いは、善か悪かで言えば間違いなく悪である。それでも読み進めるうち、彼のミッションの成功を我がことのように手に汗握って祈るようになってしまう。もちろん、自分の財布は鞄の底へ押し込みながらだけれど。

掏摸

Posted by ブクログ 2018年10月29日

小さい頃からスリをしていた、天才スリ師が主人公の物語です。主人公がスリをするときの描写は、緊張感があってどきどきします。そして、動きに美しさも感じます。

主人公は、売春をしているシングルマザーに万引きを強要される少年と出会います。決められた運命から少年を救おうとし、「お前はまだやり直せる。(p16...続きを読む

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掏摸

ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年10月02日

 天才掏摸師と絶対悪木崎の運命ゲーム。見事な掏摸の描写には、手に汗握り、思わず息が止まる。流されて生きてきた主人公の最後のもがき、叫びに胸の苦しさが止まらず、読み終わった後もしばらく呆然…。

 中村文則氏の小説にはかならずどうしようもないほどの悪人が出てくる。怜悧狡猾、悪逆無道…どんな言葉をもって...続きを読む

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掏摸

Posted by ブクログ 2017年06月19日

最後はハッピーエンドでも良かったような気がするが、まぁアレはアレで悪くない。
個人的には子供が追跡していたなんて展開を考えた。

悪の親玉(木崎?)のキャラは非常に強烈で良かった。
別のストーリーでも使える普遍的な悪を見事に描いているので今後に期待。

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掏摸

Posted by ブクログ 2017年05月20日

構図とその切実な象徴制に痺れた。それが今を生きる自分にとってどういう物語になるか、読み進めた。予想していたような読後の悪さはない。『王国』は読むよ。掏摸の動作、心理双方の描写がすごい。

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掏摸

Posted by ブクログ 2019年01月04日


描写がよい。

前半の掏るシーンなどはスローモーションのように感じさせられたり。

ただ、キャラクターに感情移入しづらいところがあって、そんなに響かない。

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掏摸

Posted by ブクログ 2018年08月02日

【悪が増える世の中…】

掏摸で生きている主人公、シングルマザーに育てられている少年。
「悪」になりたくてなったわけではないが、親の愛情を受けずに育つことは「悪」になる要素の一つであることは間違いない。

そもそも「悪」とは何か?

他人を不快にする人こそが「悪」なのではないと想う。

世の中は「悪...続きを読む

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掏摸

Posted by ブクログ 2018年07月10日

濃い。そして潔い。村上春樹とその編集者だったら、間違いなく上巻下巻に膨らませて倍儲けるな。ぐらい凝縮されている。

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掏摸

Posted by ブクログ 2018年06月17日

掏摸や犯罪をテーマにしたものって、小心者の私はバレて捕まるのが怖くて読んでいられなくなってしまうのですが、これはそういう結末にならなかったのでその点では安心しました。
スリのコツのようなもの、そして万引きをせざるを得ない少年との出会い、孤独でいてもつながりを求めてしまう人間のさが、そして他人の運命を...続きを読む

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掏摸

Posted by ブクログ 2018年04月26日

日陰を生きる主人公の話。全体的に暗くはあるが、共感できる部分も多々あり、掏摸の技術についてもっと知りたくなった。人生は理不尽の連続であるが、それに対して抗い続ける一人の人間の話。全てが仕組まれたことだったと知った時の、得体の知れない者への恐怖と、幾許かの興奮。己の中の狂気。感情全てを味わえ。

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掏摸

Posted by ブクログ 2018年01月08日

掏摸師を主人公にした犯罪文学(?)である。中村文則の作品にしては珍しく、文章にデコボコした余計な装飾が少ない。全体を貫く二要素??「反社会的な行為に手を染める主人公」と「いち個人である主人公が、世界(に準ずる障壁)の巨大さにいささかの抵抗も適わず、泡沫のように潰される結末」??でもって、フィルムノワ...続きを読む

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