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すべてのモノには物語がある
日本美術研究者のプリンセスがひも解かれる
英国から日本へ、寄り道のキセキ
大英博物館の「宝物」発見から
伊勢の神宮、お茶の話、皇室の洋装化・帽子をかぶる理由など、
知られざる裏側がここに
◎まるで目の前でご講義くださっているような1冊!
女性皇族として史上初となる博士号を取得、大学で特別教授や特別招聘教授を兼任され、ベストセラーとなった『赤と青のガウン オックスフォード留学記』をはじめ、多くの著書を執筆されている彬子女王殿下。本書には、多くの大学などで講義されたものをまとめた7つの「特別講義」が収録されています。大英博物館の「日本」コレクション、海をわたった法隆寺金堂壁画、美術の裏側にあるもの、神道と日本文化など、リアルな経験談を交えた内容は、まるで目の前で講義を受けているかのような臨場感をもたらしてくれる一冊です。
【目次】
講義の前に 伝統とは「残すもの」ではなく、「残るもの」
特別講義1 大英博物館の「日本」コレクション
特別講義2 西洋から見た日本美術――海をわたった法隆寺金堂壁画
特別講義3 西洋から見た日本美術――美術の裏側にあるモノ
講義の間に 広がる「わたし」の可能性
特別講義4 新文化論――神道と日本文化
特別講義5 新文化論――皇室の装束と文化
特別講義6 大英博物館のコレクションから知る日本のお茶の話
特別講義7 平和の礎、スポーツの聖地
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Posted by ブクログ
彬子女王殿下が、大学で講義した内容を本にしたもの。皇族の一員として様々な公務を行いながらも、史上初のオックスフォード大学での博士号取得の知識を活かして大学で学生に対して講義を行なっている。京都に在住しながら、日本文化への取組み、スポーツへの取組み、テレビへの出演や雑誌への寄稿、著作の出版など、様々なことを積極的に行う姿勢が素晴らしい。開かれた皇室をいちばん実践されている方だと思う。エッセイも学術的な著作もとても勉強になる。これからも拝読したい。
「先生たちのように教えることができなくても、先生たちのように、自分が面白いと思っていることを共有して、学問の面白さの種を学生たちの心に蒔くことはできるのではないかと思った」p19
「残るべきものは必ず残るのです」p36
「伝統とは残すものではなく、残るもの」p37
「日本美術研究者は、初めての作品に出会うと真っ先に落款や印章を確認し、真贋の判断をしてしまいがちです。そんな我々を見て、ジョー・プライスさんは言います。「どうしてそんなに作者の名前を気にするんだ。目の前にこんなに素晴らしい作品があるのに。作者に失礼だ」本当にその通りなのです」p69
「ウィリアム・アンダーソンとアーネスト・サトウのコメントからわかることは、日本人たちが気づくよりも前に、日本美術史の中における法隆寺壁画の重要性を認識しているという点です」p96
「(アンダーソンの後、大英博物館の日本美術研究が進まなかったこと)日本美術の専門家がいなかった当時の大英博物館で、アンダーソンの日本絵画研究の意義は大きなものでした。この研究が抜きん出てしまっていたがために、それ以上の研究を深めようとする人物が出てこなかったのです」p113
「(一流の和菓子)凝った「吉野山」より、単純な桜のお菓子の方が、外国人には理解できる。日本人にとってはそれが「野暮」にあたる」p164
「明治期に海外へ渡った日本美術品は、決して略奪などの強行的な手段によって、海外にもたらされたものではありません。日本人が顧みていなかった日本美術に、海外の蒐集家たちが関心を持ち、きちんとお金を払って蒐集し、本国へ持ち帰ったものです。その間、日本では関東大震災や太平洋戦争などがありました。もし彼らが持ち帰ってくれていなかったら、顧みられず打ち捨てられたり、震災や戦争で失われたものも多かったでしょう。だから私は、海外で日本美術品を目にしたとき、「よくぞ今日まで残っていてくれた」「ありがとう」という気持ちになるのだと思います」p265
Posted by ブクログ
彬子女王が「和楽」という月刊誌に掲載されているものをまとめたもの。前半は主に大英博物館における日本美術史の構築についてまとめられたもの。後半はエッセイといった形で、ご自身の性格や考え方、心斿社のこと、英国での暮らし、皇室のこと、行事、衣装、茶器、三笠宮家の人々などさまざまなことについて考察されている。
彬子女王は日本美術史について博士論文をまとめられた際に大英博物館にお勤めであり、最初の方の法隆寺金堂壁画の写しの再発見や、どのような経緯で収納されたのかなどの話は興味深い。
写真もふんだんに載せられており、見ているだけでも楽しい。
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Posted by ブクログ
いや〜面白い。彬子女王殿下が大学で講義した内容を、本として整えた一冊。
大英博物館の日本コレクション、法隆寺金堂壁画、神道と日本文化、皇室の装束などテーマがまた最高。まだまだ知らない日本の伝統と文化を彬子女王殿下にはいつも教えてもらっている。
『どんな伝統品もできたときは尖った現代アート』と言う視点にはハッとさせられた。確かに、尖って目立って認められて、市民権を獲得した頃にスタンダードになり、月日が流れてもなお愛されて伝統になっている。残っているものや環境には物語があり、愛された証がある。日本についてもっと知りたいし、もっと学びたいと毎回思わせられる。
『伝統とは残すものではなく残るもの』と言う彬子女王殿下。失われかけているもの、失われたけれど復活したもの、
色々とあるけれど、特に明治以降、開国に伴って日本の美術品が海外に流出していった理由についてかなり納得させられた。
皇室の装束についての記述も面白かった。なぜ一般参賀で皇后様は帽子をかぶっていないのに、他の女性皇族は被っているのか、理由がわかった。またこれも明治時代、皇族が洋装になったのだが、大反対したのがお雇い外国人であった点も面白かった。列強に倣って近代化を成功したことを見せたかった日本と、日本の伝統文化・オリジナリティを大事にするべきだと説いた外国人たち、どちらの気持ちも理解できる。
あと中学の運動会で三年間踊ったフォークダンスに、三笠宮殿下の平和への想いが込められていたなんて知らなかった。踊りは人を繋ぐ。
後書きで書かれている『目標は定めない』『寄り道が全部つながってきた』と言うのも素敵だった。最近読んだ、小川哲さんの小説の書き方についての本にも書かれていたことと似ていた。プロットは立てない。書いている途中で面白いことが起きると言う部分。見習いたい。
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