無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで203万冊以上配信中!
北イタリアの修道院を訪れた、バスカヴィルのウィリアム修道士と見習修道士アドソ。ウィリアムは院長から、数日前に起きた、細密画家であった修道士の死について調べるよう依頼された。それは事故ではなく殺人であった。しかも修道士の不審死はさらに続き、「ヨハネの黙示録」の記述に沿うように起きていく。そしてすべての鍵は、迷宮構造を持つ文書館に隠されているらしい……。巻末には、エーコ自身による覚書(本編刊行後1983年に発表されたもの)、執筆のために書き溜めたメモや、登場人物や建造物のデッサン等も併録した。全体を通して、故河島英昭氏に代わって(覚書については英昭氏の準備訳稿が存在した)、河島思朗氏が訳文全体を見直し(特にラテン語関連は精査)、作者による訂正、削除についても細部にわたって確認した。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
1327年11月末のイタリア。
全国きっての蔵書を誇る文書館を持つ修道院を訪れた若きアドソとその師ウィリアムが巻き込まれた殺人事件とその顛末に関する7日間を描いた物語。
序盤から、殺人事件の鍵は修道院に保管されている秘密の書物にあるというウィリアムの慧眼のもと、その書物を求め迷宮のような文書館を日々探索する。
その過程でアドソに突然訪れる恋。禁欲が是とされる戒律の中で、その若さゆえに抗えない恋の感情との葛藤。結局のところ溢れ出る恋心。
史実としても存在している、教皇派と皇帝派を始めとするキリスト教諸宗派の対立。
中世の実在の書物をめぐる圧倒的な考察。
これはミステリーなのか、歴史小説なのか、それとも純文学なのか。
おそらくそんな区別は無粋なのだろう。
とにかく難しい。とりわけ中世のキリスト教史に明るくないと、なぜ対立が生じているのかなんのために使節がこの修道院にやってきて、会談が行われるのか(途中で使節がこの修道院に集まるのが一つのターニングポイントになる)よくわからない。
黙示録や中世以前の哲学に関する知識がないと、事件の背景を理解するのも苦労するだろう。
教養を総動員する必要がある。おそらくそれでもついていけない人が多々いると思う。
しかし、よくわからない部分が多々あったとしても、猛烈に面白いのだ。不思議なことに。
必要な知識がおそらく半分くらいしかなかったとしても、この話は面白い。
ここがウンベルト・エーコという碩学、中世の専門家としてでなく、詩や小説、歴史文学哲学、あらゆる方面に関する知識と抜群のセンスを兼ね備えた知の巨人の本領。
話の広がる全方向の造詣が深いので、自分がキャッチアップできる領域がたとえ狭くても、その部分を追うだけで十分に面白い。
また、今回の完全版はエーコの本小説に対する覚書がたくさん記されているが、そこに記されている、物語を構成するにあたっての配慮。
舞台設定、塔の構成、そして各人物の背景。小説に描かれない細部まで考え抜かれた上での本作。
物語としての骨子がほぼ完璧なのだ。多少わからない部分が出てきても面白い理由がここにもある。
この小難しい物語が、出版当初から飛ぶように売れたという話、最初の100ページほど読んだ段階ではさっぱり理解できなかった。
でも全て読んだ今では納得。
これ、すごい面白い。たぶん全然理解できてないけど。
私を含め9割の人がこの感想だと思う。
なんかすごいもの読まされた。
Posted by ブクログ
面白かった…。最近読んだ「百冊で耕す」に読書の醍醐味は空気に浸ることというような記述があったけど、まさにその醍醐味を存分に味わうことができる極上の空気を持つ作品でした。「過ギニシ薔薇ハタダ名前ノミ」……痺れる。
「生真面目な行為の胡散臭さを嗤う」ことが人々が共通して持つ真理を失くしてしまうことになるという考えは、「これが正解だ」と決して言うことができなくなった近年の流れの出発点のように思える。
アリストテレスの詩学第2部やミケーレ、オッカムのウィリアム、「マルゲリータ」など実際の出来事や人物との繋がりも面白い。(解説読まんとわからんかったが)
「覚書」で作者が告白している「一人の修道僧を毒殺したいという気持ちになった」という、この小説を書くことになったきっかけが面白い。そこからこの作品が出来上がる過程を思うだけで、知性を持つ人間として生まれたことの喜びを感じる。
読んでいると、修道僧という、一つの真理を共通して持つ者たちの生真面目な清貧論争を、「嗤い」ながら読みそうになっていることに気付く。それを私は会社など日常生活でもやってしまっていると、自分の生き方を振り返ってゾッとした。最近私は一つの狭い世界の真理を生真面目に信じて論じている人たちを嗤ってしまっている。「だってその真理はこの狭い集団内だけのものだし、そんなに真剣に執着してどうするの?」と思ってしまうから…
Posted by ブクログ
ついに、というか、ようやくというか、読み終えた、読み切った。
まずは達成感。
読書タイマーで計っていたんだけれど、上下巻合わせて、(少しずつ読んだので)174日、時間にして約35時間かかってた。
ミステリーと言われているが、それだけではなく、テイストはあるけれどその本質はミステリーではないのかな、と個人的な感想ではあるが。
分からないところも多く、分かったようで分かっていないところも多々あるだろうけど、それはそれでよしとしよう(笑) もう少し知識があればもっと楽しめたんだろうな~きっと。
「完全版」ということで、作者の覚書もかなりのボリュームで巻末に添えられてあり、また訳者の解説も読み応えあって良かった。
これがあることで作品の理解がより深まった。
理解度はともかく、この荘厳な作品の雰囲気に、長く、深く浸れたことだけでも幸せな読書体験だった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
試し読み
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
ビジネス・実用
ビジネス・実用