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Posted by ブクログ
「堕落論」「続堕落論」「日本文化私観」「FARCEに就て」「風博士」を収録。
「堕落論」と「続堕落論」はわかりやすかったが、「日本文化私観」は終着点がどこなのかよくわからず、読解に難を擁した。「FARCEに就て」は言いたいことは伝わってきたものの言葉を重ねるほどに回りくどさが増し、「風博士」については悪趣味とも思えたが、解説に曰くそれが坂口安吾の目指し見直されることを期待した「ファルス」というものとのことなので、安易な批判は避けた方が賢明なのかもしれないが、少なくともわたしの好みではなかった。
「堕落論」「続堕落論」では、所謂国体というものについても話が及んでいるが、「続堕落論」に描かれる「政治家」の姿が今で言う所謂「ネトウヨ」を描いているようで、いつの時代にも変わらずこういった人間がいるのかもしれないとため息をつかされた。
「堕落論」で言われている「堕落こそが人間の真の姿に立ち返ることなのだ」という内容については、これからその意味を噛み締め考えていきたいと思う。
Posted by ブクログ
これほど日本人の本質に迫った本は無いかも。天皇制は天皇によってもたらされているに訳ではない。そこに群がる時の政治家経ちが、自らが繁栄する手段として絶対君主の必要性を嗅ぎつけていたから。忠臣蔵の赤穂浪士に切腹を命じた徳川幕府は、浪士たちを行き伸ばせて放置したとしたら、彼らが後に堕落してその名声に泥を塗る事を阻止したかったから。戦争で散った多くの若者が居る一方で、生き延びた者たちは闇市で食いつないでいる。未亡人は新しい男に旨をときめかせている。昨日の敵は今日の友という楽天さ。実際、敗戦に伴う米国占領期には、あれだけ鬼畜米英と気勢を上げていた日本国民がマッカーサーを父親の様に慕う手の平返しをやってのけているのだから。そこを考えると、戦時中の「行きて捕虜の恥を受けるべからず」と戒めた戦陣訓は一見馬鹿げている様に見えるが、日本人の本質を知り尽くした上で策定された決め事なのであろう。
美しいものを美しく維持しておきたい。なぜなら、そうしないと日本人は堕落するという事を皆知っていたのだから。戦争に負けたから堕落するのではない、人間だから堕落するのだ、と。
幾分難解であり、何度か読まないとその主張をしっかりと受け止めることは出来ない。
Posted by ブクログ
すらよみ!と謳っている現代語訳シリーズだが、いやいや、結構なオバさんにも難解でスラスラ読めません。
「堕落論」「続堕落論」「日本文化私観」「FARCEに就いて」「風博士」が現代語で収録されている。
終戦半年で書かれた「堕落論」は、世に大きな反響を与え、それまで長い低迷期にあった坂口安吾が、再び脚光を浴びることになる再出世作だそうだ。
戦時中の価値観、押し付けられた日常が、敗戦とともに180度変わってしまった。
両手を上げて大歓迎と言いたいところだが、突然与えられた自由、天皇は人だったという事実に戸惑う人は多かったのではないだろうか。
そんな民衆に、安吾は鋭い言葉で戦争の虚しい美しさについて自論を展開している。
幸運にもその時代を知らない自分が、理解する事は難しいように思われる。
「堕落論」に比べ、「日本文化私観」はまだ霞のような物を掴めるような気がする。
また「風博士」は前章の「FARCEに就いて」を受けてのものだが、FARCE(ファルス)というものを初めて知った。あまり日の当たらない分野だったようだが、昨年中井貴一らによって「風博士」のオマージュ作品が舞台で上演されたようだ。
解説を読んで、はじめて入り口に立てたくらいの作品だった。2020.5.18
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