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Posted by ブクログ
戦前の作家、中島敦の代表作3作を、親しみやすい現代語訳で収録した一冊。
表題作の『山月記』は、李徴のように人間なら誰しも心の中に内なる虎を宿しているのだと、深く考えさせられる作品だった。自尊心や羞恥心という名の虎とどう折り合いをつけ、ままならない人生とどう直面すればいいのか。葛藤で激しく揺れ動く李徴の心情が、痛いほど響いた。
『名人伝』はガラリと雰囲気が変わる。弓の名人を目指す紀昌の修行は、常軌を逸したシリアスさでありながら、どこか過剰でコミカル。そのギャップにクスッとさせられつつも、一つの道を極めた先にある教訓めいたオチには、ハッとさせられた。
最後に収録されている『李陵』では、国家の理不尽に翻弄される将軍の運命が描かれる。祖国への忠義と裏切り、生への執着、そして武人としての誇り。極限状態の中で生きる李陵の葛藤の日々に、胸が抉られる思いだった。
いずれも漢学に精通した著者ならではの作品であり、人間の内なる心情に深くフォーカスした作品集だった。
Posted by ブクログ
短い生涯ながら二年の作家人生の中で名作を残した悲運の作家『中島敦』の代表作三篇を、読みやすい現代語に訳した作品集。
山月記
中国の唐の時代、高位の役人が旅の途中人食い虎と出会う。が、そのトラはかつて優れた才能を持ちながら離職し詩人としても芽が出ずに失踪したかつての友人の変わり果てた姿だった。
多分『中島敦』作品の中で一番有名なものだと。
高校の国語の教材で読んだことしかなかったので『乙女』シリーズを読むのに、ちゃんと読んでみようと一緒に借りたのですが、むしろあちらのほうが原文でしたね。
「本気出せばー」って言ってるような奴が頭に浮かんでしまった。いや、だったら出してみろよ、みたいな。
ちなみにテストの問題が「李徴の詩に足りなかったのはなにか?」という一問だったことが忘れられません。
名人伝
中国の戦国時代、『紀昌』という男が天下第一の弓の名人になろうと志し、名手に弟子入りをする。過酷な修行の末、無為の境地に辿り着く。
無常とみればよいのか、笑えばいいものなのかわからない。過ぎたるは及ばないごとし…的な?
李陵
漢の有能な将軍『李陵』は無理な作戦を命じられ、敵方の遊牧民『匈奴』に捕らえられてしまう。
非道な仕打ちに強い忠誠心が揺らぐ『李陵』
李陵を庇った為罰を受ける、歴史書の作者『司馬遷』
同じように捕虜となりながら忠誠心を貫く『蘓武』
三人三様の生きざまと葛藤が描かれています。戦中に書かれたことを鑑みると、色々と考えさせられる作品だと感じます。
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