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「頭がいい」とは、いったい何を指す言葉なのか。
成績がいいこと? 仕事ができること? 地頭がいいこと? 空気が読めること? 主体性があること?
私たちは学校から職場、さらには私生活に至るまで、無意識のうちに「頭がいい/悪い」という尺度で人を測り、また自分自身も測られてきました。
いまや、書店には「頭がいい人の○○術」のように、「頭がいい」をタイトルに冠する本が氾濫しています。
この曖昧で便利な言葉が広く使われるようになった背景には、〈能力主義〉の存在があります。
能力主義とは、「能力」を個人の資質や努力の結果とみなし、優れた者が多くを得ることを正当化する考え方です。しかし現実には、運や環境、偶然といった要素までもが「能力」に回収され、「評価に晒され続けること」が当たり前になった社会は、多くの人に生きづらさをもたらしています。
外資系コンサルティングファーム勤務を経て独立した著者は、「頭がいい」という言葉の曖昧さを手がかりに、能力主義が生む生きづらさの構造を解きほぐしていきます。
■「頭がいい」子に育てたい、という親の願いは正義なのか。
■「私、頭が悪いので」という前置きに込められた意味とは。
■「頭がいい」は、本当に〈良い〉ことなのか。
評価に振り回されずに生きるための、ポスト能力主義の思考を提示します。
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Posted by ブクログ
勅使川原真衣『「頭がいい」とは何か』を読み、資本主義社会の中で当然のように受け入れてきた能力主義を改めて問い直さないといけない。能力や成果によって人を評価する考え方は、現代社会では当たり前の価値観のように見える。しかし著者は、その前提そのものを疑い、本質的な問いを投げかけている。
自分たちは資本主義社会の中で育ってきたため、知らず知らずのうちに能力主義的な価値観を身につけている。福祉の現場においても例外ではないと思う。ケアを目的とした仕事でありながら、そこで働く職員は資本主義社会で形成された価値観を持っているため、組織の中では能力主義に近い構造や評価が生まれやすいのではないか。
しかし福祉の現場で能力主義が強まれば、そこには優生思想につながりかねない危うさを持っている。人の価値を能力で測る考え方が強まれば、ケアの思想そのものが揺らいでしまう。
だからこそ、福祉の現場だけでなく、社会全体が能力主義から距離を取り、ケアを中心とした価値観へと移行していく必要があるのではないか。本書は自分たちが無自覚に受け入れてきた「頭のよさ」や「能力」という概念を問い直し、社会のあり方そのものを考え直す一冊だと思います。
Posted by ブクログ
日頃から「賢くなりたい」と思っていたためタイトルに引かれて手に取った……のだが、本書は「頭のいい人になるため」の本ではなく、序盤で「人々は『頭の良さ』という曖昧な基準に踊らされている、自分の頭が悪くないこと(または良いこと)を確認したくてその類の本を手に取る」と看破されており、顔から火の出る思いであった。
しかしながら何故人は「頭の良さ」をこれほどまでに気にするようになったのか、分析を重ね、その本質を見抜いた上で脱「能力主義」を掲げている。
作者プロフィール、また序盤でも「教育社会学」というワードが飛び出し、軽度ながら自らも教育社会学を学んだことがあるので「『頭がいい』を分析するのは本当に教育社会学か……?」と疑問に思っていたが、本書終盤で見事に教育社会学の分野に着地していて鮮やかであった。
自分は頭がいいと思っている人、少なくともバカではないと思っている人、自分は頭が悪いと思っている人、つまり全ての人に読んでほしい1冊。
Posted by ブクログ
「頭が良い」とはどういうことかではなく、「頭が良い」ことが価値があるように思える背景には何があるのか、そもそも「頭が良い」ことが求められているのはなぜなのか、と言った切り口が新鮮でした。
世の中には「頭のいい人がやっている◯◯」「頭を良くする◯◯」などが確かにあふれかえってますね。いつの間にか「頭が良くないといけない」とすり込まれているような気がします。そしてその背景に、企業や国が能力至上主義で人材を求めている、という視点が新鮮でした。企業だけでなく、学校もすでにその中に組み込まれ評価がされている事、気が付けない闇は深いです。そんな中で福祉の現場などの一筋の光明もあることが救いでした。
気が付かないで価値観を作られていくことが、すごく怖いですね。
Posted by ブクログ
「主体性」が今会社でキーワードになっています。主体的に仕事に取り組むことは何より自分が楽しいし、主体的に仕事に取り組む人を見るといい評価を与えたくなります。でも会社方針に含められているのは少し違和感があって…
主体性はもともと「能動的」に近い意味で行動を促す言葉として用いられていたが、2020年頃には自分の頭で考えるという意味での思考力に寄ったニュアンスを持つようになり、さらに最近では主体的に考えて行動し、発信するところまでがセットで主体性と呼ばれているとのこと。
こんなおぼろげな概念を行動指針にすると、経営の期待どおりに動いてくれない社員を非難するのに便利になるだけなんじゃないかなぁという違和感でした。主体性は評価されるべきコンピテンシーではあるけど、経営が行動指針として定めることではないと思いました。
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