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Posted by ブクログ
軍需産業で働く梶、徴兵免除を条件にチャイナの東北部の鉱山の労務部で働くことに。美千子との新婚生活と戦時下での鉱山での仕事をしていくなかで非軍事捕虜が預けられることに。この特殊工人と呼ばれた捕虜たちにヒューマニズムをもって接していこうとするが、現実に何かができるわけでもないのに最後まで”人”であろうとする矛盾・葛藤に面する梶。結局逃亡のかどで見せしめとして処刑されることになった特殊工人を救おうとして憲兵に捕らえられ拷問にかけられることに。そして出所した梶を待っていたのは免除されたはずの召集令状だった。
著者が実際に大連で生まれ育ち、1943年に召集されてソ満国境を転戦、捕虜となっており、おそらくこの著書も実体験に基づくところが大きいんかな。
戦時下とゆう特殊条件の下で権力がどう作用するのかとか、それに人はどの程度抗えるのか、極限の状態に追い込まれた捕虜の精神がどうなっていくのかとか、戦争に巻き込まれる一般人の悲劇、それから性の描写も生々しくていろいろ考えさせられること大であった。
Posted by ブクログ
上中下巻の上をやっと読み終わりました。まだ先は長い。戦時中の話なので当然ですし作者自身もそう書かれていますが、昭和の雰囲気が濃厚。コンプライアンスや⚪︎⚪︎ハラなど皆無の時代。
主人公の梶は、満州の鉱山に事務職として勤務。反戦の気持ちを持ち、日本はやがて負けると思いながら、その思想ゆえに、周囲や上司との諍いが発生することも。
そんな中、職場で付き合っていた彼女と結婚し、鉱山への赴任と引き換えに兵役免除も手に入れ、幸せな結婚生活が開始。
と思いきや、妬みや軍国主義など様々な事件・陰謀に巻き込まれ、兵隊に取られてしまう。ここまでが上巻です。
Posted by ブクログ
日本企業および軍隊の原理が読み取れる小説。大日本帝国において、日本軍ほど絶大な権力、影響力を持った組織はなかった。そのような時代、満州の会社に勤める主人公の梶は、ある日、上司から採鉱現場へ行くようにと命令された。それを受けて、梶は妻の美千子とともに、採鉱現場に近い山場のほうへと引っ越す。そこでの現場の衝突や特殊工人の労働搾取など、現代の日本企業に通ずる記述が見られる。第2部の最後、梶が憲兵隊との衝突の末、召集令状が下るまでが今回のおおまかな流れである。
本作は主人公梶の心情、葛藤が特に注目すべきである。本のタイトルにあるように、人間が人間として、どうあるべきかという葛藤が何ともリアリティがある。日中戦争で泥沼化した時代、次々と召集が下った。そのような状況下で、日本の企業、組織の闇の面が見え透けるのが本作の特徴である。
本作の中盤から終盤にかけて、憲兵の特殊工人に対する凄惨な仕打ちに、梶は周囲構わず反抗した。特殊工人たちを人間扱いしないことに憤った梶は憲兵隊という巨大権力に立ち向かったが、正常な論理が通じない時代、そのような行動は国賊と見なされる。憲兵からの拷問を受け、やがて解放されるが、それが結果的に召集を招くこととなってしまった。このように、人道的に正しい行動を取ったとしても、それが巨大権力を相手にしてしまうと、その後痛い目にあうという事例がここから読み取れる。国家が本質的に暴力をはらんでいるということがよくわかる。国家とは、個人を簡単に抑圧できる恐ろしい存在である。
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小説・文芸
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