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なぜ「彼ら」はここまで無能で無力な存在になったのか。大震災と原発事故報道においても横並びの陳腐なネタを流し続けた新聞とテレビ。緊急時に明らかになったのは彼らの「脳死」状態だった。パクリ記事、問題意識の欠如、専門記者の不在……役立たずな報道の背景にあるのは、長年放置されてきた構造的で致命的な欠陥である。新聞記者、雑誌記者、フリーをすべて経験した著者だから下せる「報道の脳死」宣言。
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Posted by ブクログ
日本のジャーナリズムや報道のあり方については、海外の色々な国の人と交流を持つようになって、どうにかならないものかと思っていたので、書店で「報道の脳死」というタイトルを見かけて手にとり、目次にさっと目を通して面白そうだと思って購入、すぐに読んでしまった。 ジャーナリスト自らが報道の現状の問題点を...続きを読む分かり易く指摘・解説し、その原因についても過去から現在に至る報道の変遷も合わせ客観的に記述しているところに好感が持てた。 報道の現状と問題点については、私自身も考えていたことと同じような内容であり、これから先どうなっていくのか、どのような方向に進めばよいのか、どのようにしていこうとしているのかが一番知りたいことであった。 後半以降にそれに対する作者の考えが記されている。 現在は「旧メディア」に「新メディア」が勃興する「端境期」「移行期」にあり、新旧メディアとも色々課題を抱えているが、今後は新しいメディアや報道に対して記者だけでなく市民も一緒になって関わっていくことが重要だと、改めて考えさせられた。
東日本大震災の報道をきっかけにテレビや新聞などの既存メディアの無力さは顕になってしまった。著者は彼らの脳死状態を象徴する記事を「カレンダー記事」、「えくぼ記事」などと名付け、事例を上げて説明する。結論として、ルーチンワークと横並び意識に慣れた彼らは震災や原発問題について正しい情報を迅速に伝えることが...続きを読むできなかった。 優秀な人材を集め、記者クラブのような組織で情報を独占してきたはずの既存メディアが衰えた理由をあげ、今後の報道とはどうあるべきかを検証する。 既存メディアから離れフリージャーナリストとなった著者にとって、既存メディアは新人の教育機関としては最高の場らしい。高給を与え、記事の書き方を教えて、1人前の記者に育ててくれる。そんな彼らがその恩を受けた組織に疑問を感じ、外に出てその疑問を検証する。それは情報を発信すること、拡大させることが大手の資本を必要とせず、個人でも可能な時代となったからだ。メディアにとって、インターネットとは諸刃の剣なのだな。
「言われてみればその通りだ」という話がてんこもり。面白かった。 ちゃんと裏を読めるグローバルな目を持たないと、どんどんバカになっちゃうな…と考えさせられる。 たしかに、ロボット研究世界一!とか言ってる割に、アメリカの放射能調査ロボを輸入って変な話だ。気付かなかった…
野田村の縁でつながった烏賀陽総長、さすがの徹底批判ばかりでなく、次のジャーナリズムへの展望まで見すえた好著です。 いつか必ずお会いして同年代の語り合いをしたいです。
マスメディア、特に新聞が抱える、ジャーナリズムの無さ。 その実態を実例を上げつつ批判していく。 特に、朝日読売毎日が、同じ日に同じテーマで同じ写真を使って同じ論調の記事を載せる、そしてその頻度があまりにも多いというのは薄ら寒さすら感じた。 受け身な取材甘んじて、権力の監視が成り立っていないなど。 ...続きを読む インターネットも未だジャーナリズムとしては発展途上であり、「死にかけの老人とよちよち歩きの天才児の2つしか選べない」という言い方は的を得ていると思った。 もちろん新聞にも一定の価値はあると思うけど、せっかくツイッターやyoutubeなど多様なメディアがあるから、幅広くアンテナを張っておきたい。
ジャーナリズムのあるべき姿、現実とのギャップを、新聞の実例などもまじえながら論じている。 上杉氏とはちがい、独りよがりの印象を受けない、読みやすい文章。 広告費が減り、経費削減が求められる中、記者らは時間や金のかかる「問い」を追求するような記事ではなく、なるべく近場でプレスリリースなどに頼った記...続きを読む事しか書かない。 結果、どの紙も似たような内容になるのみならず、権力の監視を放棄し逆におもねる形となってしまっている。 しかしこの現状を打破するシナリオを、筆者も持ち合わせていない。 3.11あってもなお変わらない御上とメディア。 せめて、私たちだけでも「おかしい」という認識を持っていなければならない。 これはオフレコだが、 選挙が、広告会社の戦略に乗せられての結果になってはならない。 国民も政策をちゃんと評価しようよ。人気取りでなく。
面白い本です。カネが稼げなくなった既存メディア。ジャーナリストがいなくなり、報道が脳死していると訴える本書。これからのジャーナリズムの提案と実行について。この社会を生きるうえで参考になる一冊。
これも2012年ごろに出版されてる本、ようやく読み終わった。たぶん、このころ私はすでに烏賀陽さんをツイッターでフォローしてたけど、時々ふざけたことを言うカエルのおじさん・・という印象。真価を知ったのは、去年くらいから見始めた「一月万冊」でご本人を知ってから・・。安全保障のご本を読んでさらに「こういう...続きを読む方貴重だな」と思うようになった。動画でのおちゃらけにはついていけないところが多いけど・・。 前半「パクリ記事」「えくぼ記事」などの話も興味深かったけど、終盤のアメリカでの取材(インタビュー)に基づいたジャーナリストに関しての解説が良かった。今日、たまたま出先で地元の新聞社の若い記者さんをお見かけしたけど、こういう本読んで「ジャーナリズムとは何か」とかちゃんと考える方とか、おられるのだろうか?下手に読んだら、業務に差し支えると、敬遠されたりするかも・・といらぬ心配をした。
●:引用 →:感想 ●かつて朝日新聞の記者として、いまフリーランス記者として働く私が身をもって実感したのは、会社員=組織員ではない個人記者のほうが、はるかに即断即決、意思決定のスピードが速いことだ。3.11という進行の速い事件に対応すること。インターネットという技術革新の速いマスメディアを使うこと。...続きを読むどちらにもいえる。 →「原発報道とメディア」と同様、”「コンテンツ」(中身)””「コンテナ」(入れ物)””「コンベア」(流通)”を一人で行えるジャーナリストをつくることが結論。
いつだったか、ソフトバンクのテザリングについての方針を孫社長のツイッターで呼んだ翌日、朝刊で「ソフトバンク、ついにテザリング解禁」との見出しを目にした。あるいは、小沢一郎のインターネット配信での記者会見をリアルタイムで見た数時間後に、全国紙のウェブサイトでPC画面をキャプチャした写真を見た。このよう...続きを読むな、まるで間抜けな、理解に苦しむ事態がなぜ起こるか?311以降の僕の疑問に、本書はさらりと答える。なるほど「脳死」しているのか! テレビ、新聞といったマスメディアが持っていた権力、言い換えると「価値」は、大量情報の即時伝達手段であり、インターネットの出現により、完全にその価値を失っている。インターネットによる情報革命に夢を持つ僕は、このことを好意的にとらえていた。しかし長くジャーナリズムの世界に身を置く烏賀陽氏は、警鐘を鳴らす。「新聞テレビというヨボヨボの老人と、インターネットという、天才かもしれないがよちよち歩きの赤ん坊と。いま私たちの手には、その二つしかないのだ」。 いずれにせよ、あと10年もすれば、今のテレビや新聞はなくなるだろう。インターネット革命はマスメディアや報道にも強烈な影響を与えている。そして今はその革命の真っただ中である、漠然と感じていたこのことを、本書によりあらためて強く認識させられた。
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