Posted by ブクログ
2011年09月19日
将棋漫画。既に完結している。いちおう、全巻を読んだ。
将棋を題材にした漫画や小説は、あまり多くないと思う。私の知っているのは、大崎善夫の「聖」や「将棋の子」くらいのものだ。これもノンフィクションに分類されると思うので、この「月下の棋士」以外に将棋を題材にした漫画や小説を知らない。
下手の横好きレベル...続きを読むであるが、私は将棋が好きであり、それがこの漫画を読んでみようと思った理由だ。前半は面白かった、が、徐々に読み進むのが難しくなり、後半、主人公の氷室のライバルである滝川名人が、どんどん神がかってくるにつれ、興味がうすれてきてしまった。
将棋という題材を漫画にするのが、そもそも難しいのだと思う。例えば、野球やサッカーやその他のスポーツを題材にするのに比べると、将棋はビジュアル化するのが難しい。イチローの強肩やロナウジーニョのフェイントは、見ているだけで単純に素晴らしいということが分かるが、羽生が2四歩をうつ姿は、それだけを捉えてみれば、面白くもなんともないものである。将棋そのもののルールを知っている人が最近では少ないのではないか、と思うし、プロのトップ棋士が打つ手の意味や凄さを、解説なしで分かる人というのは、同じプロの棋士を除けば、日本にそんなに沢山いるわけではないだろう。ということは、将棋というゲームそのものを題材に面白い漫画や小説を書くのは難しい、というか不可能に近い、ということだと思う。
ということは、将棋漫画を描こうとすれば、棋士の人物像や登場人物間の人間関係などをテーマにせざるを得ないわけであるが、この漫画の作者の能条純一は、それに完全には成功することが出来なかったということだと思う、残念ながら。