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Posted by ブクログ
【目次】
はじめに なぜ事件は起こったのか
第1部 事件に至る経緯
第1章 青葉被告の生い立ちから
1.【事件当日】十数分間の逡巡の果てに……
2.【幼少期】親の離婚,そして貧困
3.【高校時代】「お前ならできる」恩師の言葉に背中を押され
4.【高校卒業後】夢追い,東京へ。逮捕,そして派遣生活に
第2章 事件は止められなかったのか
5.【2008年以降】「金字塔」の落選。そしてネタ帳を燃やした
6.【2018年以降】「盗作された」募る不満。支援拒み,深まる孤立
第2部 証言の記録
第3章 青葉被告は何を語ったのか
1.143日間の公判で語ったこと
2.記者との20分間の面会で語ったこと
第4章 青葉被告の治療にあたった上田医師の思い
3.死刑判決が出た後もずっと考え続けていること
第5章 公判で語られた遺族や負傷者の思い
4.長男のために青葉被告に伝えたかったこと
5.受け止めることができない,娘がいない現実
6.長女のたくさんの寝顔を写真に収めていた夫
7.突然奪われた,世界にたった一人の姉
8.現場に駆けつけることを妨げた巨大な黒煙
9.どうしても見届けたかった,最期まで頑張った娘の姿
10.夢半ばで命を奪われた息子
11.上半身に一番重い「Ⅲ度」の熱傷を負った女性
第3部 社会に突き付けられた課題
第6章 同じような事件を繰り返さないために
1.「底辺」自称し孤立。ロスジェネ世代,青葉被告と加藤元死刑囚の違い(雨宮処凛)
2.非正規雇用の拡大は社会全体に様々な危機をもたらす(橋本健二)
3.事件を起こす前に「誰かの顔を思い浮かべて」(大友秀逸)
4.その時代特有のゆがみから,事件の教訓を導く(吉岡忍)
5.夢破れた人でもやり直しがきく社会へ(阿部真大)
6.「無敵の人」を「無敵」でなくすのは相互接触(與那覇潤)
おわりに 何ができるか問い続けて
Posted by ブクログ
予想以上に自分の中に重たいものが残った。生い立ちこそ違うが、就職氷河期下にキャリアアップに繋がるような就職が出来なかった青葉被告の行動や考え方が自分の当時をなぞるようで悲しくなった。
起こしてしまった事件の大きさに軽々しく減刑をした方がいいなどとは言えないが、青葉被告の罪は自分たちが住んでいる社会がもたらしている自分は、この本を読んでいて感じた。
最近、仕事で統合失調症を発症したことがあり今は薬を飲みながら一緒の職場で働く同僚がいる。他の同僚たちの配慮があるとは言い難い厳しいダメ出しに、心を砕きながら毎日頑張っているがなかなか理解が得られない様子を間近で見てきた。
本書の終盤でも書かれていたことだけど妄想に囚われた人に声をかけ続け関係を断たないことが、その人を「無敵の人」にしない方法だと思う。無敵を無効化する(失いたくないものを持たせる)ことが、京アニ事件の再発を防止するために自分ができる数少ないことの一つだと思う。
ちゃんと知れて良かった。やっぱりニュースの切り抜きや見出しだけで、わかった気になっちゃダメだ。
Posted by ブクログ
2019年に起きた京都アニメーション放火殺人事件を追ったルポルタージュ。
事件のあらましから犯人の生い立ち、裁判の経緯、被害者の人生、遺族の言葉、識者の見解までの詳細を報告する。この殺人事件は、30人以上が死亡する衝撃的な事件だったので、その日のことはよく覚えている。犯人は、自分のアイデアを京アニに盗用されたという勝手な思い込みだけで犯行に及んだ。決して許せない事件ではあるものの、彼の不幸な生い立ちと孤独な人生、それが犯罪に至った経緯を知ると、もう少し社会のサポートがあれば防げたのではないかと思った。(これは結果論でしかないが)アメリカでは格差と分断が問題視されているが、日本でも生活環境の格差による社会の分断が密かに進行しているのかもしれない。このような事件は、これからも断続的に発生するような気がする。
Posted by ブクログ
京アニ放火事件で青葉被告に死刑判決が出たあと、記者が本人を取材しまとめたもの。
第1部被告の生い立ちと事件に至る経緯
第2部裁判での被告の証言と遺族の思い
第3部今後の課題について6人の識者の意見
当時ものすごいニュースになったけど、断片的にしか理解していなかったので、この本で流れがよくわかった。同じ状況でも皆がそうなるわけではないし、もちろん許されることではないけど、こういった悲惨な事件の場合は必ず被告の生い立ちが似たようなものであることが多い。終わったものとして記憶からなくすのではなく、今後に活かす改善策が少しでも見つかればいいなと思う。
Posted by ブクログ
まず、朝日新聞取材班がまとめてるので、記者の私情がなく、わりと綺麗にまとめられており読みやすかった(記者の私情が入るノンフィクションも面白いのだけど)。
裁判の様子が細かく描写されており、裁判好きとしては興味深い。
第3部の有識者の方々の話の中で、作家の吉岡忍さんの意見に共感した。「被害者の思いに耳を傾けることは大切だが、無差別事件の場合、被害者に落ち度はないことがほとんど。一方、加害者が加害者になるのにはどこかに必然性があるので、事件を知るには加害者をより取材しなければならない」と。
確かに知人の弁護士も、加害者で家庭環境に問題がない人を見つけることの方が難しい、と言っていた。
だからこそ、2部の被害者の遺族の意見陳述には胸が痛んだが、ひどい犯人だ!と片付けてしまうだけではなく、何故この事件が起きてしまったのかということをもっと考えなくてはいけないと思った。
とはいえ、3部の有識者の方々も、福祉にもっと繋げることや孤独にしないことが大切、などと書かれているが、明確な解決策は見出せていない様子、、ただそれでも加害者の環境に思いを馳せることは大切だと思った(同情とかそういうことではなく)。
上述の吉岡氏が「涼宮ハルヒの憂鬱の世界観に憧れた加害者は、不遇な環境から一発逆転を狙っていた。そして虐待を受けた生育歴から「やられたらやり返す」という強者の論理が根底にあった」という話をされており、加害者の心情を想像するヒントになりそうだと思った。
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