愛と欲望のナチズム

愛と欲望のナチズム

1,485円 (税込)

7pt

5.0

《すべての性欲を解き放て!》
第三帝国が企てた「快楽」と「生殖」をめぐる大衆動員の実態とは?
ナチズム研究をリードする著者による衝撃的論考の増補文庫化!

産めよ殖やせよ。強きゲルマン人の子らを━ナチスは人間の欲望、とりわけ性欲を解放させることで、人々を生殖に駆り立て、社会を支配せんとした。
「厳格で抑圧的なナチズム」という通説のイメージを、膨大な同時代資料を渉猟することによって覆し、性と権力、快楽と大衆操作が絡み合い展開した「欲望の動員」の実態に光を当てる、決定的研究!

【本書「はじめに」より】
本書はこのような観点から、第三帝国下の「性-政治」の実態を描き出そうとするものである。そこでの性と権力の複雑なからみ合いを、体制側の狙いと個々人の実践との齟齬や矛盾にも留意しつつ、性教育、同性愛、裸体文化、婚外交渉などの争点ごとに検証していきたい。その際とくに、従来の一般的な見方とは異なって、ナチズムが市民道徳への反発から性的欲求の充足を奨励し、ある種の「性の解放」を促進したプロセスに注目する。ダグマー・ヘルツォークの研究が明らかにしているように、彼らにとって性は生殖のためだけのものではなく、快楽や喜びをもたらす一種の刺激剤でもあったのであり、それを徹底的に活用した点にこそ、この運動の動員力を説明する手がかりがあると考えられる。その意味で本書は何よりも、生殖と快楽の問題にとりつかれた体制の「欲望の動員」のメカニズムを解明することをめざしている。

【本書の内容】
はじめに
第一章 市民道徳への反発
第二章 健全な性生活
1 性的啓蒙の展開
2 性生活の効用
第三章 男たちの慎み
1 男性国家の悪疫
2 結婚を超えて
第四章 美しく純粋な裸体
1 裸体への意志
2 ヌードの氾濫
3 女性の魅力
第五章 欲望の動員
1 新しい社交
2 悪徳の奨励
3 道徳の解体
おわりに
補章

図版出典
あとがき
学術文庫版あとがき
索引

*本書の原本は、2012年に講談社選書メチエより刊行されました。

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愛と欲望のナチズム のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    あるニュースに、ドイツという国への興味を抱くことがありました
     それは、国民背番号制に、DNAの親子関係を絡めて制度設計をしようと調査を始めたら、
    ドイツの父子間の親子関係は、四人に一人は他人であった、というニュースでした
    アメリカの占領は過酷なものですから、そのことと結びつけて考えてみたのですが、

    0
    2025年06月25日

    Posted by ブクログ

    作家の菅野完氏はよく彼のYoutube番組で日本の右派は他人の生殖に口を出すことしかしていない(少し上品な表現にした)と語っているが、本書の前半ではナチスドイツの研究者である田野大輔氏によりナチスドイツのナチ党による他人の生殖について口を出すことについて語られている。本書を読むことでドイツと日本、戦

    0
    2024年10月12日

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