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アメリカCDC(疾病予防管理センター)で新型コロナ対策を陣頭指揮してきた遺伝子工学の研究者カール・バレンタインは、旧知のナショナルバイオ社副社長のニックに頼まれ、同社の研究所で古い肉片からエボラに似た未知のウイルスを発見する。「もしこのウイルスが活性化したら……」というカールの懸念は現実化し、次第に感染者が増えていく。やがてウイルスを生物兵器として利用しようとする存在が──。『TSUNAMI 津波』『首都感染』などで未来を予知し続ける著者が警告する、私たちを襲う未曾有の危機。
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Posted by ブクログ
温暖化で北極や南極の氷が溶け出しているリアリティもあって、有りえない内容とも言い切れないと感じました。永久凍土の中で守られてきた太古の動物達の中に未知のウイルスや細菌が潜んでいるという発想にも衝撃を受けました。不十分なのでは?と思わせる対応策も混沌としていてエンディングとしてこれもありかもと思いま...続きを読むした。コロナを経て、平凡でも穏やかな日常が大切だと痛感しました。
帯に書かれた『TSUNAMI』や『首都感染』で未来を予言した作家の最新作という言葉に惹かれて購入。 温暖化の影響によって、永久凍土に封印されてきたウイルスが目を覚ますという設定は、なかなかリアリティがあり、興味深かったです。 また、ウイルスを生物兵器として利用しようとする人々の存在は人間の傲慢さを...続きを読む強調しており、経済的利益や社会的立場は横に置いて、どうにかしてウイルスを封じ込めようと猪突猛進する主人公たちの人物像を際立たせていました。 主人公達の活躍やウイルスの恐ろしさの描写も良かったのですが、 個人的にとても好きなのは、ロックダウンを余儀なくされた市の市長が、不安と恐怖からロックダウンに反発する市民に対して「私はどこにも逃げない。あなた方と共に戦う」という姿勢を表明した場面です。 コロナでも感じましたが、緊急時におけるリーダーシップの重要性が改めて感じられました。 ウイルスに対する技術革新が進む昨今ではありますが、このような事態が現実にならないことを祈るばかりです。
高嶋哲夫『パルウイルス』ハルキ文庫。 未知のウイルスと言えば、まだ禍中にある新型コロナウイルスを連想する。中国の武漢から感染が始まった新型コロナウイルスは瞬く間に中国全土はおろか、世界に広まった。突如出現し、瞬く間に広まるのがウイルスの恐ろしさだろう。 本作はアフターコロナ後のアメリカとシベリア...続きを読むを舞台にしたバイオSF冒険小説といった作品で、登場人物に日本人の姿は無い。些かご都合主義的な描写が目立ち、テーマの割りにはストーリーにスケール感を感じられず、結末にも目を見張るものが無かった。 プロローグに描かれるシベリアの永久凍土で発見されたマンモスの遺体の発掘。このマンモスの遺体から未知のウイルスが発見されるのだろうか。 アメリカのCDC疾病予防管理センターで新型コロナウイルス対策を陣頭指揮してきた遺伝子工学の研究者カール・バレンタインは、旧知であるナショナルバイオ社副社長のニックにDNAの修復を頼まれ、同社の研究所で古い肉片からエボラに似た未知のウイルスを発見する。 エボラよりも大きく、3つの目を持つ未知のウイルスはカールの懸念通り、次第に感染者を広げていく。しかし、感染を引き起こすウイルスには弱毒性と強毒性の2種類があり、さらにカールの元に学生時代の旧友のダンからパルウイルスなる謎のウイルスが送られてくる。 カールはCDCのジェニファーと共にシベリアに向かい、恐ろしいウイルスの宿主を特定し、世界的なパンデミックを防ごうとする。 ここからは蛇足。 新型コロナウイルスが中国の武漢で発見されたのは2019年の終わりだった。YouTubeの動画などで突然、中国人が意識を失って倒れる姿を見て、尋常ではないことを理解したが、そこまで広がるとは予想していなかった。 2020年1月の春節前、中国に何度目かの出張となり、1週間の日程をこなし、帰国しようと空港に向かうと春節を目前に驚くほどの人の大移動が始まり、恐ろしい程の渋滞に巻き込まれ、何とか搭乗の30分前に空港に辿り着いた。空港は多くの中国人でごった返していた。順番など守らず、我先にと大声で喚きまくる中国人で空港があふれている光景は全く恐ろしいものであった。 帰国して数日後に日本国内で新型コロナウイルス感染が確認され、自分も感染していないか心配になった。幸い自分は感染していなかったが、その後はまるで坂を転がるように世界中で感染者が激増し、ついにパンデミックを迎える。お陰でその後の中国出張もタイ出張も中止となってしまった。 早くも新型コロナウイルスによる感染が始まり4年が経過し、昨年の秋に久し振りにタイに出張に行って来た。下火になったとは言え、まだまだ油断は出来ない。季節性の風邪やインフルエンザと同様、新型コロナウイルスは無くならないのだろう。 この十数年、東日本大震災と原発事故をはじめ、日本列島の各地が天災に見舞われた。さらには新型コロナウイルスが世界をパンデミックの渦に巻き込むという未曾有の事態に陥る。そんな中、日本政府やWHOの危機管理と対応の拙さには驚かされ、失望した。 本体価格1,000円 ★★★★
問題を解決してもまた問題が起こる。 温暖化を真剣に考えないと、本にある通りの事が起こってしまうかもしれない。 またコロナのような事が起こるのは嫌だな。
高嶋哲夫の本にハズレはない。偶然本屋で見つけ、即買いした。 遺伝子工学者のカールはナショナルバイオ社副社長のニックの依頼で、古い肉片からエボラに似た未知のウイルスを発見する。この未知のウイルスが次第に蔓延していく…、生物兵器といったビジネスに使えると考える輩が…。 この小説は、単に未知のウイルス蔓延...続きを読むによる人類滅亡の恐怖を描いたものではない。現代人は愚かにも、古代人が封じ込めた太古のウイルスを復活させようとして、自滅の道を進もうとしていることに対し、警告を与えている。 地球温暖化により、シベリアなどの永久凍土に異常が発生し、地下のメタンハイトレードが融け、気体となったメタン(なんと温室効果はCO2の25倍!)がさらに温室効果に拍車をかける。 実はそれだけではなく、数万年以上前から埋もれていたマンモスなどが地表に露出し、マンモスの体内で生息していたウイルスが蘇生する。このウイルス、人類にとって潜在的な脅威になるのではないか。 カールの大学時代のルームメイトの友人ダン。大学時代に喧嘩別れした後、音信不通になっていたが、カール宛てにダンから特別便が届く。その特別便を手掛かりにカールはダンの消息を追う。 小説のタイトル「パルウイルス」。本文中では、ペイル、死のウイルスの意などとしているが、パルは友人、仲間という意味で、カールとダンのことを言っているような気がした。ラストでカールはダンと奇跡的に邂逅するが、このシーンに透明感のある美しさを感じた。 今後、「シベリア凍土から人類に脅威を与える新たなウイルスが発見された」といニュースを聞いたら、きっとこの小説のこと思い出すことだろう。
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