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一五~一八世紀,ヨーロッパ文明がまばゆい光を放ち始めたまさにそのとき,「魔女狩り」という底知れぬ闇が口を開いたのはなぜか.その起源・広がり・終焉,迫害の実態,魔女イメージを創り上げた人たち,女性への差別――進展著しい研究をふまえ,ヨーロッパの歴史を映し出す「鏡」としての魔女と魔女狩りを総合的に描く.
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Posted by ブクログ
ヨーロッパ史において度々発生した「魔女狩り」について、その起源とメカニズム、魔女が持つイメージの変遷について、多様な事例を取り上げつつ分析した書籍。村落や中小都市での生活の中で共同体が危機に陥り、それを契機に魔女の妄想が噴き出し、特定の住民への糾弾に結びついていく過程が平易な言葉で解説されていて、分...続きを読むかり易くかつ恐ろしく読んだ。形こそ異なれど、危機の時代における人々の悪意の向き方は現代もそう変わりないように思う。 また、ヨーロッパの魔女には勝手に中世のイメージを抱いていたが、むしろ近世に魔女狩りが集中して起きていたことは意外だった。
2024.05.24 私には大変良書。「ヨーロッパ近世」というわかりにくい時代を「魔女狩り」という側面から解きほぐしてくれた。 大いに知的好奇心を満足させてもらえた。岩波新書の存在意義を感じる。
魔女狩りという暗黒の歴史を分かりやすく説明している。予想通りかなり不愉快な内容だ。 キリスト教が背景とするアダムとイブの伝承において女が邪婬なものと考えられていたことが関係している。閉経した女性に対する露骨な差別が魔女伝説につながっている。 また教会や王権の正当性を高めるために対局の悪の存在を...続きを読む創出したとも言える。愛の宗教であるはずなのに、どちらが悪魔なのか分からない。 キリスト教に限らないが、原理主義的な考え方は極論になりやすい。正義の強調のために、強力な悪の存在が想定されてしまう。これは欧州の人々の底流を流れる考え方なのだろうか。科学を生み出す土壌であるとともに魔女狩りのような暗黒史も作り出してしまう。これは決して過去の話ではないような気がする。
魔女裁判が最近でも存在するものだと知り、驚いた。人間は常に人間を害しないと共同体としてやっていけないのかと考えた。
陰謀論が実害を伴って表出した出来事は数多くあるが、魔女狩りはその一つである。「魔女」といっても二割程度は男性もいたらしい。また、「狩り」といっても正式な裁判で裁かれる事が多かった。但し、凄惨な拷問もあったらしいが。ターゲットにされたのは実際に悪魔信仰に関わっていた人達と誤解や嵌められた人達。 ホウ...続きを読むキで空を飛ぶ。飛ぶ方も飛ばれる方も、本当に信じていたかは分からないが、そうしたオカルトな内容も含めて真面目に解説するのが本書の魅力。面白かった。 科学的に理解不能な領域が多く残された時代。理解可能な範囲の差し引きとして存在した神と悪魔。そこから派生したのが魔女。なぜ、女性?というのが気になった。 知的エリートの間にあった「女嫌い」の伝統が第一の要因だと著者はいう。女性は邪悪な存在、迷信と不信心の権化であり、彼女らは男性を巻き込んで罪に陥れるばかりか、キリスト教共同体を危機に瀕せしめる。そして女性の性格・悪徳としては、愚味・淫乱・我猾・策略・欺瞞・念怒・貪欲・狭量・喧嘩好き・復響心・無駄話・強情・悪罵・叫喚・詮索癖・嫌がらせなど。いや、女嫌いというか、単に「女性差別」である。同根かも知れないが、原因はキリスト教的伝統にあるのだと。13世紀以降、反女権主義が深刻化。老女は悪に染まっており、それは医学的にも説明されていた。 また、共同体の中で魔女が仕立て上げられる最初のきっかけは「噂」だった。そもそも12世紀以降のヨーロッパの裁判では、噂が重要な扱いをされた。多人数による裏付けのある噂が、「証拠」として採用されていたのである。隣人に対する陰口や井戸端での女性どうしの噂話が夫や親族に伝わり、子どもまで知るようになって増幅。こうした噂が公的な証拠となって、被告の有罪を予め基礎づけ、告訴状に有罪の根拠として記され、魔女裁判が開始された。被疑者には、何年も前から悪評がくすぶっていた人も多い。 噂好きは気を付けねばならない。井戸端というと古く女性のイメージがあるが、愚痴と噂は居酒屋にいるおじさん達にも得意分野だろう。噂だけで有罪とされぬ時代で良かったと思うが、私刑の領域においては、そこかしこで炎上する「〜狩り」は尽きない。
いつであろうと敵を作り利用するために、合理的な理由付けを行い残虐に振る舞える人間の恐ろしさは今でも変わらない。
現代の感覚からすると存在が考えられない魔女だが、中世ヨーロッパでは魔女狩りと称して多くの老齢の女性、男性(妖術師)も該当したようだが、処刑されている.悪魔を中心とする魔女集会をサバトを呼んで、それに参加したことが重要な証拠としてカウントされた由.ただ、参加者が現行犯逮捕されたことはないらしく、想像上...続きを読むのイベントだったようだ.魔女狩り自体がキリスト教の権威を補完する行為だったようで、様々な著書が存在している.当然ながら、批判的な論考も出版されており、そういう意味で言論の自由があったことは評価できると感じた.裁判の過程で拷問が合法化されていたのはやや異常と思うが、存在しない事象を裁くので自白が重大な証拠であったことは当然であろう. 現代でも魔女狩りに相当する事象があるとの指摘もあり、合理主義の裏には不合理がつねに隠れているという著者の述懐は重要だと感じた.
魔女狩りとはなんだったのかを資料をたどりながら考える一冊。一般的に言われている集団ヒステリー論は正確ではないし、中央政府は関与どころかむしろたしなめる側であった。それであってもなぜ魔女狩りは世紀をまたいで行われていたのか。 それは、中央権力に対抗する地方領主の示威行為でもあったし、農村経済が変化して...続きを読むいく中で若い世代と守旧派との闘争の武器でもあった。 そんな、種々入り交じった魔女狩り模様をわかりやすい筆致で描いていて面白い本だ。
魔女狩り、ざっくりとしたイメージしかなかったので読んでみた 読んでみると魔女狩り自体は数世紀に渡って行われており、時代ごとに標的となる階層の人が変わっていたりと興味深かった。イメージとして多いのは農村にとっての余所者や下層民が魔女の典型だったが、16世紀以降は社会的地位が高い裕福なエリート層、貴族な...続きを読むんかが標的となっていたと知り、それはかなり意外であった また宗教改革の影響なども記されており、その方向性から魔女狩りを論じたものを読むのは初めてだったが大変におもしろかった。特に宗教改革で有名なルターは政治と社会おける家父長制的秩序への反逆者、社会的規律化と絡んでいた国家およびその統治モデルたる家の破壊者として、その秩序の外側にいた独り者の女を魔女として球団した
魔女狩りについては一方的に魔女と呼ばれた人がいること、そして魔女と呼ばれた人が理不尽に虐殺されていた、という程度の認識だったが、その実態をよく理解できた。 魔女であることの証明方法か拷問による自白であったり、悪魔のなすことだから悪魔との契約などといった物的証拠はすべて消滅してしまうといった考え方は...続きを読むいまとなっては理解できないし、これらを事実として正式な裁判を経て処刑されていたというのは驚きだった。 ある意味、神秘的・超自然的な社会から法治社会への変遷における共通の出来事なのかもしれない。 魔女とされた人々に境界人が多かったことから日本だと穢多非人が差別されていたことに近いかと思ったが、地域の呪術的な医療や儀式を行っていた有識者という点を見ると、イタコやユタなどが近く、弾圧を受けた歴史からも受けた扱いとしては近いのだろう。 イタコやユタが少数ながらも現存することからいまも世界に魔女がいること自体はわかるが、アフリカなどでは魔女狩り(迫害)が行われていることは非常に驚いた。 一方で、現代社会でもSNSなどによる一方的な決めつけや社会的な処刑が多数発生していることを考えると、形を変えても魔女狩りは行われ続けてしまうように感じた。
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魔女狩りのヨーロッパ史
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池上俊一
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