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19世紀英国の伯爵邸が舞台。「冬の物語」は謎の死を遂げた伯爵の愛人の死の真相を、彼女の息子・ライナスが追う話、「春の物語」以降は伯爵邸へ家庭教師としてやってきた牧師の娘、レイチェルを中心として物語は進んでいきます。
厳格なレイチェルは当初、愛人を多数抱えるロウランド伯爵を嫌悪するものの、息子たちへ深い愛情をそそいでいるのを知り、子供たちのため、更なる家庭円満を目指すべく奮闘しますが、実はそれは伯爵邸の歪で美しい世界に光を差し込むがごとき行為であり、何度も傷つけられ、絶望を味わうこととなります。
レイチェルのがんばり具合と報われなさ(報われることもありますが)には読者としても何度も打ちのめされますが、構成や心理描写の巧みさ、抜群の絵の上手さに魅せられ、読む手が止まりません。
※同著者の『Honey Rose』は『Under the Rose』から数年後の伯爵邸が舞台ですので、ぜひ本作を先にお楽しみください。
Posted by ブクログ
ようやく最新刊まで読み終わったので、シリーズ全体の感想をこちらに。
とにかく、素晴らしいの一言に尽きると思う。星だって、五つどころではなく、十や二十でも差し上げたい気分だ。
実は以前人に読むように勧められて、2巻の初めまではなんとかいったのだけれど、当時はこの何とも言えない陰惨な雰囲気に当てられてしまって、なかなか続きを読もうと言う気にはなれなかった。今回もやはり1巻、2巻辺りで挫折しそうになったのだけれど、同じだと言う人は我慢してなんとか2巻の中盤…せめて、「冬の物語」の最終話までは読み進めて欲しい。そうすれば、この悪意と陰謀に満ちた物語が、一方でただ絶望にのみ彩られたものでないことが分かる。そこでようやく、一つの希望の形のようなものに到達することができるのだ。
とは言うものの、ストーリーとしてはやはりかなりえげつない要素も含むので、親族のどろどろとか、虐待やレイプ、むきだしの敵意や心理戦に弱いという人はやめておいた方が良いかもしれない。言うまでもなく、15歳以下にはちょっとお薦めしづらい。それでも、並いる不快要素を補ってあまりあるほど、全編通じてとにかく細やかに描かれる詳細な心理描写を堪能してもらいたいという気持ちは強い。
この作品において、キャラクターたちは単に絵として描かれているだけではない。その内に、それぞれの生きた怒りや憎しみの炎を秘めている。それが、各人のシルエットの中に透けて見える。とりわけ序盤の「冬の物語」主人公のライナスの孤高ぶりときたら、見ていて痛々しく感じられるほどだ。肉を切らせて骨を断つという訳でもないけれど、自らを庇うより先にまず相手を傷つけることを選択する彼の無防備な感情の行く先は、空しくただひたすらに果てがないように思われる。
また、ローランド家の面々、後の「春の讃歌」から主人公を務めるレイチェルも、残酷な屋敷の運命にただ身を任せるだけではなく、そこに一つの活路を見出そうと懸命にもがく。絶望の淵にたたき落とされながらも、諦めずそれぞれの光を掲げようとする。その姿はただただ無様で、それがゆえに胸が詰まるほど美しい。この物語を読んでいると、「キャラクターが生きている」とはこういうことを言うのだなとつくづく実感する。まるで一つの立体的な社会を目の前にしているような感覚を覚えさせられる。
個人的には、ちょうどこれを読む前に同じ19世紀イギリスの貴族文化を描いた『エマ』を読み終わっていたところだったので、「同じヴィクトリア朝ものでもここまで違うものか」と初め読み始めた時にはかなりの衝撃を受けた。
基本的に救いがあらかじめ用意されている(しかも、そのことが雰囲気としてなんとなく察知できる)『エマ』とは違って、この物語は上げられたと思うまでもなく、ただ延々と暗闇に落とされ続ける。けれども、その陰鬱な現実があるからこそ、些細な喜びが本当に尊いもののように感じられる。子どもたちの笑顔、つぼみのほころぶ花々、美しい憧憬と明るい自然は読者の心に束の間の休息を与えてくれる。
とは言え、どれほど幸福なワニスで表を塗り固めようとも、ローランド家の実情は異様のそれだ。複数の「公認の愛人」を持つ屋敷の主に、薬漬けの情婦、世を捨てた虚弱な正妻と、かしましい使用人たちの噂話…それでも、なんとか意図されてきた予定調和の中に、レイチェルとウィリアムの関係は一つの齟齬を来たし始めている。二人の行く末はローランドに新たな道を指し示すものとなるのだろうか。それとも、それは彼らの破滅を意味するものとなるのだろうか。
実はこれで作者に興味を持って、挿絵を担当しているという『流血女神伝』まで読み始めてしまった。相も変わらず繊細優美な画風を目にして、本当にこの方の才能はとどまるところを知らないなぁという感慨を新たにしている。
Posted by ブクログ
ロウランド家に家庭教師として勤めるレイチェル。病気がちで篭もったまま家族を顧みない母親、優しげで誠実な風貌ながら愛人を抱える伯爵、一癖も二癖もある子供達。どこか歪な家族像に、牧師の娘でもあり厳格な思想を持つレイチェルは、自分にできることは無いかと奔走する。
イイハナシダナー、な訳もなく、帯には色っぽいコピーが掲げられていたりします。潔癖気味な超絶美人家庭教師と黒髪眼鏡で思慮深いくせに強引さも兼ね備えた次男坊の組み合わせなんて、淫靡さにドキドキしますね。いやぁドキドキしますね。
アンダーザローズ、薔薇の下には秘密が隠されている。"秘密"というものの奥ゆかしさと艶めかしさが、繊細な場面描写や、丁寧に描き出される人物像からゆっくりと滲んできます。
Posted by ブクログ
最強の眼鏡デレ解禁の巻。
正餐会の後半と、アンナさんスタンリー家に行くイベント勃発と、またずがんと落とされる展開。
ライナスが出ないのはなんとなく予感してたので、まず表紙をなめるように眺め回しました。
二人の座る椅子が違うのはなんでなんだぜ。
あとライナスの瞳は五巻のカラーと色が違うように見えて、どっちなんだ本当は?と思ったり。グレースと同じ色っていうのはわかるんだけど。
そんなことを考えつつページをめくると、見開きカラーで悶えました。ら、ライナスだと・・・・・!
表紙もライナス、見開きもライナスとか、どんだけだよ。
しかもねこと一緒に寝てるとかどういうことなの、反則すぎるんじゃないの、ライナス×ねこってかわいすぎてずるいよね。
スタンリー家でどんな暮らしをしてるんだろう。意外になじんでそうだよね。みたいいいいい
前巻最後でライナスがねこを追いかけて登場してきたので、今回も最初くらいはちょっといるだろうかと淡い期待を抱いてましたが、目を凝らしても1コマもいやしねぇ。
そこで大体諦めて、レイチェルとウィリアム、伯爵とアンナさんとマーガレットさんたち大人組に注目しました。
レイチェルとウィリアムの星空の下のダンスロマンチックすぎる。
ウィリアムの「踊ってくださいますか」できゅんときてしまいました。あと注目の初赤面ね。こっからウィルはどんどんのめりこんでいってるよね。
伯爵サイド。衝撃の事実がわかったところで、「伯爵最低。アンナさんもどうなの」という感想。
はにろを知ってる身としては、もうスタンリーだけです、とかも嘘くさい。
こんなに相性の悪い人たちなかなかいねぇ〜
あと願うのはあれだよ、アンナさんが死ぬまえに一回くらいライナスと会話があってくれればなってことくらいだよ。
アンナさん絶対ライナスのこと気に入ってると思うので(「キングの子のように」とか、ロレンス気にかけたりとか)
この事実が明らかになったことで、ウィルに対する好感度がぐっと上がってしまいました。くやしいけど。
しかしこのことでウィルとレイチェルの関係もまたちょっと変わってしまうのだろうか、折角いい感じなのに。ああ心配。
番外編そのいち。アグネスさん。アスパンの毒舌具合にかなり笑いました。
キルトを「魔除け」とかまじオブラートに包まないなこいつ・・・、いやでも二人とも好きな夫婦なんで、ああなるほどかわいいなあ、とますます好きに。
番外編そのに。双子。
双子めちゃくちゃかわいいいいいいいいいい・・・ちっちゃいころの双子が起こしにきてるカットやべえ
そしてわたしは見逃さない、相談してるシーンにライナスがいることを!
これグレン家だよね?アル色んなとこにライナス連れてってかわいがりすぎワラタ
大人は大人、子供は子供で別行動してフレッドとばったり遭遇してなんかなかったかなあとか、双子と遭遇してなんかなかったのかなあと妄想しまくり
個人的には双子とライナスはとても見たい組み合わせ
双子といえばたしかに太ったよねw
ロレンスはもはや完全なギャグキャラ・・・はにろのあの美形ぶりまでどうやって戻したんだ
でもロウはブラコンだからライナスに「なんだお前」とか言われるだけで絶食とかしそう
はい今回もライナスライナス言ってる感想ですみません
内容は疑いようもなく面白く作画も完璧に美しいのでもはや言葉を尽くす必要もないかなと
家庭教師はわりと順調に、伯爵は泥沼に、な展開な一冊です。
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