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2005年、大阪で若い姉妹が惨殺された。犯人の山地悠紀夫はその5年前、実母を殺し、少年院で矯正教育を受けていた――。裁判で山地は「さっさと死刑にしてくれ」と主張。2009年、一切の真相を語ることも、反省することもなく絞首刑となった。享年25。その短い人生でなぜ3人も殺めたのか。彼は化け物か、それとも……。緻密な取材で事件の深層と凶悪犯の素顔に迫る、衝撃のルポルタージュ。(解説・あさのあつこ)
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Posted by ブクログ
なんちゅう負のスパイラル。誰ひとり幸せになれない結末に終わった。空しい実話。山地…死刑でいいです…。この言葉で彼を取り巻く短い人生と出会い、被害者、すべてを濃縮している。
社会との繋がりについて、考えさせられた本。発達障害があっても、(人も含めた)環境に恵まれていれば事件を起こすことなく生活ができただろうと思う。事件が起きた以上、現状ではこのように裁くしかない。しかし、事件の抑止には、私たち一人一人が発達障害の特性を理解し、目の前にいる人と関わっていくことが必要だと感...続きを読むじた。
10年程度前の本なので、専門分野についてはやや知識が古いと思います。杉山登志郎先生が『子ども虐待という第四の発達障害』でも記されている通り、虐待により発達障害様の症状を呈することはありますし、また本書内では愛着の問題についてもあまり触れられておりません。いまあらためてこの事件について考え直すとまた別...続きを読むの精神医学的分析が出来るのではないかと思います。 また、なぜ事件が起こってしまったのかという話とどう裁くべきかの話は峻別して論じた方が良かったです。この事件を引いて厳罰化の犯罪抑止効果について論じるのはあまり筋が良くないと思います。
被害者が加害者に転じていくのは、もしかすると流れのようなものになっているのではないだろうかと考えさせられる。
まことに気が重い どうしようもないくらいに気が滅入る それでも これは 確かな事実 これは 実際に起こってしまった事件 さまざまな凶悪な犯罪事件が 耳目に入ってくる なぜ そんなことが起きてしまったのか なぜ そんなふうになってしまうのか なぜ その時に起きてしまったのか そして その後のこと...続きを読むが気になる その凶悪犯罪の背景をとらえ その事件の それまでを考え そして その事件後の これからを 考え続ける 優れたルポルタージュは より良い 世の中にするための思考を 我々に 強いてくる 世の中の全てのことは 自分とつながっていることを 自覚させてくれる
人間という面で見ると、 精神障害、パーソナリティ障害、発達障害、 犯罪という面で見ると、 刑罰、反省と更生、再犯防止 どれもこれも、なんとなく違いをわかったつもりで わからず漠然と同じ様に捉えていた。 考えさせられた。(きっとあとがきのように 忘れてしまうのだけど) この本を読んで、違いが分かったわ...続きを読むけではなく、 この事件で何かを学び、他者と自身との 違いをわかろうとし、お互いが生き易い、 生まれてよかったと思う 悲劇が繰り返されない世界を。
既に死刑が執行された、大阪の姉妹殺害事件の犯人、元死刑囚、山路悠紀夫の生涯、発達障害…そして、事件を防ぐ事は出来なかったのか…を綴ったルポ。 私見だけど、死刑の判決自体は妥当だと思う。著者もそこはどうこう言うつもりはないみたい。 この本がテーマにしてるのは一つの司法の限界とも言えるもの。 考えさせら...続きを読むれる一冊でした。
仕事的にも非常に役に立ったし考えさせられた一冊でした。罰すればそれで済むのか。刑事政策を考えるうえでも必読の一冊だと思います。
自ら張り巡らせた壁の中に閉じこもってそこから出てこない。なんとなく彼の気持ちは想像できる(気がする)。意地なんて張らない方が楽に生きられるのに…とも思うが、これが"障害"であり、そう容易く矯正することのない性質なのだとしたら…。アスペルガー症候群と診断される(こともある)山地と、彼の犯した重い重い罪...続きを読む。この本から浮き上がってくるのはその罪を徹底的に糾弾する"正義"の姿勢ではなく、こうしたことが二度と起きないにはどうすればよいのかという、未来を見据えた目だ。 母親を殺し、少年院を出てから起こした二度目の犯行は、山地とは全く関係もない姉妹を残虐に殺したもの。山地に下された死刑判決、そしてその執行。これが正しかったのか、これには賛否両論があるだろう。被害者のことを考える、そして孤独の中からついに抜け出せなかった山地のことを考える。個人的には山地に同情はできないが、それでもどうにかして彼の心をこじ開ける術はなかったのか、そこには疑問が残るのだ。殺人を肯定することなどできるわけもないが、山地に何かストッパーがあればこの事件は起こらなかったのではないか。アスペルガー症候群と診断されるような人々が確かに存在し、時に歯止めが効かなくなり得るのが事実である以上(もちろん犯罪を起こすのは彼らの中のごく一部に過ぎないのだが)、彼らに対する理解、そして具体的な社会の受け皿が必要だろう。そして刑罰を与えることも(特に被害者の心情を考えれば)大切なことではあるが、再犯防止のために社会に適応できるよう慣らしていくということも、社会全体にとって有益なことであると思う(有期刑であればいずれ社会に出てくるのだから)。 あとがきで筆者の池谷氏は「最後まで山地の『本音』を聞けず、死刑が執行されたのは本当に残念でならない」という。本当にその通り。でも一体、どうやったら彼の心を開くことができたのだろうか。その答えを見つけるのはやはり難しい。
犯人の生育環境に色々問題があって気の毒だった。 カッコ悪いところを意地でも見せたくないって思いが強すぎて周りに虚勢張ったり心を開かない様子がしんどそうだと思った。 山地を支えてくれた人はいたけれど結果的には楽観的だと思う判断が多く爪が甘いと感じた。
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