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Posted by ブクログ
佐藤青南『残奏』中公文庫。
『音楽隊採用刑事・鳴海桜子』シリーズの第3弾。今回も文庫書き下ろし。
前回の事件から1年後、再び捜査一課の音喜多弦が、警察音楽隊志望で採用された変わり種の所轄署刑事・鳴海桜子とコンビを組む。鳴海桜子は相貌失認で他人の顔を判別出来ないが、類稀なる観察力で次々と事件の謎を暴いていく。
今回の鳴海桜子は一味違う。恐ろしく変わり者の女性刑事を演じながらも、しっかりと刑事の職務を全うし、音楽家として後輩たちを成長させるのだ。何よりも、ラストで鳴海が犯人に語り掛ける言葉の一つ一つにもの凄く重みを感じた。
人気ロックバンドでトランペットを担当する古溝裕樹が、何者かによりマンションの屋上から突き落とされ、殺害される。警察は捜査本部を設置し、捜査一課刑事の音喜多弦は特別招集された所轄署刑事の鳴海桜子と共に捜査に加わる。
鳴海の洞察力により古溝が殺害されたマンションの借主から、殺害された古溝と同じ高校で吹奏楽部に在籍していた宮城和雄という男が被疑者として浮かび上がる。
北海道苫小牧市に飛んだ音喜多と鳴海は被害者の古溝と被疑者の宮城の2人の母校を訪れる。音喜多と鳴海は次々と関係者を当たり、縺れた謎を紐解きながら、少しずつ事件の真相へと近付いていく。
やがて明らかになる驚愕の事実と感動の結末。
本体価格740円
★★★★★
Posted by ブクログ
音楽隊採用の鳴海桜子と、捜査一課刑事の音喜多弦がバディを組み、難事件を解決するシリーズの第3弾。
他人の顔が見分けられないながらも、顔以外への観察力で名推理を働かせるが、食べ物に目がない大食漢、桜子のキャラで、この小説クセになる。
今回は、殺人事件の遠因があるということで、桜子と音喜多が北海道に飛ぶ。北海道の食の名産品に貪欲なまでに目がない桜子の行動に思わず笑い。
事件の背景に「いじめ」があり、登場人物の一人が吐く言葉は著者による告発だろう。
「私、思うのよ。見て見ぬふりとか、しかたなくとか、結果的にいじめに加担した・・・っていうほうが、わかりやすい悪意を持っていじめをする人間よりよほどたちが悪いんじゃないかって。後になって大丈夫?って気遣ったり、酷いことをするねって文句を言うぐらいなら、そのときに止めてくれればいい。それをせずに、後になって気遣いを見せる人って、やさしい人を演じているだけだよね。マジでタチが悪い。むかつく」
同一の著者によるそれぞれのシリーズものでは、主人公役はどこかしら似た風貌を見せる。しかし、このシリーズの鳴海桜子と、行動心理捜査官シリーズの楯岡絵麻とは、同一作者とは思えないほどのキャラの隔たりが。
Posted by ブクログ
以前同じ作者の別のシリーズ物を読んだ事がありますが、そちらとは全く異なる世界を描いており、すごいな…とまず感服してしまいました。
シリーズ物であるのは知らずに読みましたが、主人公の生い立ちなど最低限の説明はされているのでそんなに気にせず読む事が出来ました。
他者の様々なプライベートに、良い意味で遠慮なく踏み込んでズバッと言ってくれる主人公の姿勢が気持ち良く、読み進めるのに良い塩梅となっているように感じられました。
許されない行為をした加害者の事はしっかりと断罪しつつ、しかしその加害者に対する復讐の正当性は否定する所がただのスカッと物とは一線を画す箇所であると感じました。
クライマックスの解決シーンは疾走感があり、脳内に情景が浮かんできました。作中で演奏される楽曲を聴いてみたくなりました。
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