ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
8pt
日中戦争,アジア太平洋戦争を引き起こし,日本を崩壊させた天皇制ファシズム.その被害者とされてきた民衆がファシズムを支えていたこと,そして戦争末期の悲惨な体験から戦後デモクラシーが生まれたことを民衆が残した記録から明らかにしてゆく.従来の戦争観に根本的転換をもたらした名著,待望の文庫化.【解説=加藤陽子】
ブラウザ試し読み
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
データと証言に基づいて、草の根の諸相をまとめた論考。 戦時中でも、民際的交流が、客観的な判断を、支えていたことを示唆していてる。
私が知る研究者で著者の吉見義明氏は、1990年代の従軍「慰安婦」研究、2000年代の日本軍毒ガス戦という認識であったが、1980年代の初期作品となる本書では、民衆や大衆の日記や手記、聞き取りなど膨大な資料や調査を背景として、アジア太平洋戦争を見つめ直すナラティブな作業であり、論考は日本型「ファシズ...続きを読むム」の変遷を検証している。 第1章「デモクラシーからファシズムへ」、第2章「草の根のファシズム」、第3章「アジアの戦争」、第4章「戦場からのデモクラシー」の四章編成で構成される。戦争へ突入し、戦争に疑問を持ちつつも最終的には戦争を支持する民衆を追った1~3章。空襲が激化し、日本が焦土化してきた中で、民衆の中からひび割れるファシズムを、論考した4章。集団的自衛権行使の名のもとに「安保3文書」で更なる軍備増強にひた走る岸田政権と日本。「富国強兵」どころか「貧国強兵」に突進する日本。今の日本の情勢だからこそ再刊された意義を深く噛みしめ、「草の根のデモクラシー(立憲主義・民主主義・平和主義・国際協調主義など)」といった市民運動を進めるためにも、広く手に取って読んで欲しい。 閑話休題 日中戦争の中で、日本軍が1942年に行った淅贛(せっかん)作戦について、2022年2月に出版された常石敬一氏の「731部隊全史」では、同作戦で細菌兵器を実践使用し、自軍である日本軍に1万人近い被害者を出したと記載されている。一方、本書の兵士の証言にはくしゃみ性の毒ガスである赤筒を使用したとの記録がある。淅贛(せっかん)作戦では、細菌兵器と化学兵器の両方が使用されたことになる。戦争の行き詰まりは経済の行き詰まりとなり、より安価な兵器となる細菌兵器や化学兵器を選択した帝国陸軍。1925年ジュネーブ議定書では細菌兵器や化学兵器の使用を国際法で縛ったが、日本やアメリカは批准は第二次世界大戦から遅れること25年ほども経過していた。また、どの程度の軍属や日本人はジュネーブ議定書を知っていたのだろうか。国際連盟を離脱した時点で、国際法は全く無視し、ハーグ陸戦条約を知っていた軍部や日本人もほとんどいなかったのだろう。だからこそ日本兵の多くが、捕虜や非戦闘員・現地住民への殺戮、略奪、強姦などの侵略行為をアジア・太平洋の地域で行ったのだろう。
草の根に芽ばえる思いがやがて社会を揺らす力となる。――歴史学者・吉見義明が見つめたのは国家の号令ではなく民衆の心の動きだった。生活の不安や周囲との同調が人びとを戦争支持へと傾けたという。個々の小さな選択が重なれば世論は流れとなり抗えぬ圧力となる。だが吉見はそこにこそ戦争の教訓があると説く。日々の言葉...続きを読むや態度が未来を形づくるのだ。戦争は突如として降ってくる災厄ではない。私たち自身の無自覚が呼び寄せる影でもある。今を生きる私たちはその重さを忘れてはならない。
タイトルに「草の根」とあるように、本書は、アジア太平洋戦争を草の根で支えた民衆の反応や意識を、戦争体験記や手紙、公的機関による調査等様々な資料を用いて明らかにしようとする。 本書参考文献には多くの戦争体験記が掲載されているが、著者はそれらを読み込んで、現地で従軍、商売や仕事をしていた彼ら彼女らが...続きを読む、どのような体験をし、どのようなことを考え、あるいは戦後になって当時をどのように総括したかを、一人ひとり具体的に取り上げて叙述にまとめ、その実相に迫っている。 中国を始め、インドネシア、ビルマ、フィリピンといったアジア各地で日本軍は戦ったが、戦場における日本軍の行動、特に民衆に対する殺人、強盗、強姦、放火、略奪といった残虐な行為の数々を読むのはとてもしんどかった。兵站を軽視した軍上層部に問題があるのはももちろんだが、アジア各国への優越感や「戦争とはそういうものだ」といった意識が兵士をはじめ日本軍全体にあったのだろう(日本に限ったことではないのかもしれないが)。 また第二章では、民衆の序列として、帝国臣民である日本本土の周辺に属していた沖縄県人、アイヌ、ウィルタ、チャモロ人(マリアナ群島住民)、朝鮮人、台湾人を取り上げているが、兵として召集されたり軍事行動への協力を余儀なくされた人々が、戦争に翻弄され、あるいは敗戦後日本から切り捨てられてしまったことには、何とも言えない思いがする。 敗戦の反省から戦後を出発したのであるが、著者は、戦争体験記における記述や敗戦後の調査結果等を踏まえ、最後に次のように述べる。「…戦場や焼跡における日本民衆の原体験持つ意味は、十分に吟味されないまま、次第に見失われつつあるようにも感じられる。……戦争反対・平和意識の定着の裏側での「聖戦」感の残存、戦争協力に対する反省の中断、主体的な戦争責任の点検・検証の欠如、アジアに対する「帝国」意識の持続といった、多くの日本人に共通する意識・態度があった」(301頁)と。 現在の観点から見れば、攻撃をされた訳でもないのによその国まで出ばって行って戦争をし続けることに疑問を抱かないということは不思議に思えるが、西洋列強の植民地主義があり、アジアにおける盟主という意識を持っていた時代であれば、そういうものだったのだろうか。どうしてもその生きている時代というものに囚われてしまうのだろうな。 本書の元版が出たのが1987年、戦争を直接に経験した人たちはほとんどいなくなってしまった。果たしてその戦争経験の反省は継承されているのだろうか。
初版が1987年なので、ものの見方などはとっくにわかっている事もある。その時代の流れや衝動に押されず考えていく事が大切なのだろう。 この書籍に関しては民衆がいかに容易くコントロールできるか、情報統制などがどのように行われたか、そういった事に触れずに戦争を始めた当事者を徹底して糾弾する内容で名著とは言...続きを読むい難い。当方も戦争になった時、銃を持たされても撃つ自信がないから戦争に反対する気持ちはよくわかる。ただ腹に落ちるとは真逆の方向の書籍だった事は記しておく。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
草の根のファシズム 日本民衆の戦争体験
新刊情報をお知らせします。
吉見義明
フォロー機能について
「岩波現代文庫」の最新刊一覧へ
「学術・語学」無料一覧へ
「学術・語学」ランキングの一覧へ
日本軍慰安婦
試し読み
日本軍「慰安婦」制度とは何か
焼跡からのデモクラシー 草の根の占領期体験 上
「吉見義明」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲草の根のファシズム 日本民衆の戦争体験 ページトップヘ