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著者の博学多識ぶりを証明するエッセイ集。
化学は錬金術の正統な娘ではなかったけれども、いかさま錬金術師をもふくめて、金属変成を夢みた多くの道士たちのでたらめな実験のなかから、数々の貴重な化学上の発見がもたらされたのは事実であった。いってみれば、化学は錬金術の私生児みたいなものだったのである。(「錬金術夜話」より)
博覧強記、博学多識で知られる澁澤龍彦が、錬金術をはじめ、処女生殖、タランチュラ、コクトー、泉鏡花、推理小説、絵画、舞台、映画など多種多様な事柄について、縦横無尽に論じたエッセイ集。
雑多なテーマを取り上げているように見えるが、一つひとつの作品が他者にはまねのできない切り口と深みをもっており、いつしか澁澤ワールドに引き込まれていく。
Posted by ブクログ 2023年07月11日
本書元版は、おおよそ1979年から81年に書かれたエッセイをまとめたもの。
軽いタッチの時事的なものから、かなり本格的なものまである意味雑多なテーマが取り上げられている。
冒頭に置かれた「錬金術夜話」は力の入った評論。錬金術というと、常識的には「科学が方法論を確立するまでの、いわば未熟な段階...続きを読む
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