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デモクラシーの理想とされるアテネの直接民主制は,実は自由ゆえに平等であった古代イオニアのイソノミア(無支配)再建の企てであった.イオニアの自然哲学をイソノミアの記憶を保持するものとして読み解き,アテネ中心のデモクラシー神話を解体する.『世界史の構造』を経て,社会構成体の歴史の起源を刷新する野心的試み.
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Posted by ブクログ
久しぶりに柄谷行人読んだけど、これけっこう面白かったし意外と説得力あった。昔はもっと小林秀雄みたいに独善的なところがあったけど、だいぶ丁寧な語り口になっている。
本書と問題関心が共有される『世界史の構造』は、社会構成体の歴史を「交換様式」から見る企てであった。 互酬的=相互扶助的関係(交換様式A)を高次元で回復しようとする交換様式Dについて、著者は思索する。これまでそれは普遍宗教の形で現れてきた。しかし、それは祭司・神官の支配に帰してしまい、宗教は国家に回収...続きを読むされてしまう。それ以外に現れた事例を、著者はイオニアの政治と思想に見出し、その意味合いを本書で論じていく。 キーワードは、イソノミア(無支配)である。それは理念であると同時に、著者によれば、イオニアで実現したものであり、植民者たちがそれまでの氏族・部族的な伝統を一度切断し、それまでの拘束や特権を放棄して、新たな盟約共同体を創設したことから可能だったとされる(24頁)。 イオニアというと、タレスに始まる自然哲学と習ってきたが、著書は、同時に「社会哲学」として読まれるべきであると主張する。そして、ソクラテスについても、プラトンのスコープから見るのではなく、イオニア的なイソノミアからの読み換えを図る。 これまでの常識的通念を覆す論理展開にワクワクさせられる。
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