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Posted by ブクログ
フィッツジェラルドの儚い願いを託された一作。書くということで彼は浄化を求め、慰めを受けたかったに違いない。ディック博士のようなあっけない幕引きを望んで夢みて、物語に託した。
失われていってしまったものへの哀惜。だけど、それはどこまでも自分だけのもので、誰に知らせることもできない。ただ、笑って波風立てぬよう過ごしていくより他ない。またしてもギャッツビーが現れる。優雅や気品さというものは、そうやって作り上げていくものだ。
彼の文体がどこか断片的でとりとめのないように感じられるのは、思い出を壊したくなくて、バラバラに壊してしまった、そんな彼のやさしさゆえなのだと思う。子どもの大切にしまっておいた花や草・虫が、大切にするあまり色褪せて萎びてしまったのに似ている。そして、そんな残り滓なんていらないと、すべて粉々に砕いてしまいたくなる。
彼にとっての慰めは、酒による酩酊と、書くということによってしか見いだせなかった。そんな彼を受け入れてくれるのは夜の闇のやわらかさだけだった。存在をくっきり浮き立たせる眩しい光より、存在が溶けて広がる闇を愛した、孤独な輝き。だが人生は虚構のようにはできていなかった。
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小説・文芸
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