産業のコメと評される半導体。
かつて世界を席巻していた日本の半導体産業も今は昔と思っていた。
ところが日本には世界的に高いシェアを持つ製造装置や材料があると知り望みを感じるとともに、半導体は完全に世界的な分業なのだなと。
本書ではそもそも半導体とは何か、微細化の効果と技術、製造過程やシェアについて分
...続きを読むかり易く書かれている。
台湾に出張する事も多く、嫌でもTSMCの話は聞くし同じ九州に進出となれば商売に絡む色気も無くはない。
筆者はそこに大きな警鐘を鳴らす。
日本で作る目的は、ターゲットはどこかがはっきりしない。
ラピダスは何のために2ナノを作ると宣言したのか。技術の継承もないのに。
ファウンドリーは委託してくれる先があって成り立つビジネス、ラピダスに委託する先がどことの報道は記憶にないが。
今や半導体なしでは成り立たない現代社会において様々なリスクが本書で紹介されている。
ロシア、ウクライナにおける希ガスネオンの製造リスク、台湾有事など。
特に台湾有事の際はTSMCの工場は自ら破壊することをアメリカが提案している衝撃。
TSMCがクレイジーなまでの微細化を進めるのはアップルからの要望に答えるため、そしてTSMCが中国に渡りそうになれば破壊せよ、アリゾナに最新の工事を誘致、と結局アメリカファーストなのか。
世界の共有財産として半導体をとらえないと大きな争いのトリガーになる。
半導体を巡る世界的な分断は避けるよう英知を結集して欲しい。