非常に勉強になった。解雇規制が厳しいからどうにもならないわけでは無く、問題社員とはいえ納得感ある形で周到な準備をもとに進めることが重要。就業規則の重大さも実感。
以下メモ
◯法律の理解
・民法に期間の定めのない雇用契約はいつでも解約の申し入れをできる、とあるが、判例で解雇が無効とされた事例があ
...続きを読むり、各々のペースで判断された積み重ねが現行の労働契約法による解雇規定になっている。
・労働契約法16条、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用にたものとして、無効とする。
◯相手が問題社員でも不用意にクビにして会社が直面するリスク
・労基署の臨検、不当解雇では労基署は入れないのだが、労務管理や残業代の未払いなど、労基法の観点で違反があると危ない
・労働局から助言指導、話し合いで解決する場の設定
・法律専門家の介入、成功報酬型などで専門家を派遣してくるケースがある。ただ本訴は弁護士費用数十万円以上、一年以上の裁判期間がかかり、社員個人が手を出しにくい。そのため多いのが労働審判、裁判官が派遣され、双方の言い分を聞いての調停、和解による解決を目指すもの、その多くは解雇撤回し、合意退職として一定賃金を払う形になる。
・外部労働組合の介入、多くはまともだが、反社集団で大勢で威嚇してくるケースもある。
・解雇が合法となるケースは極めて狭く、解雇には大きなリスクがある。
◯退職勧奨
・追い出し部屋は目的や基準が不明確だと裁判で無効になるケースがあるが、適正に下された低評価をもとに行われると違法性がないとされるケースもある。
・太陽方式、いくらその存在が害悪でも、相手の改善と成長を信じて働きかけることが重要
◯試用期間でもクビにしやすいわけではない
★問題社員を辞めさせる手順
◯就業規則の整備
・欠勤や遅刻: 働かなかった時間分の給料を控除する権利が行使できるようになる
・問題行為に関する懲戒処分:
・休職に関するルール: 休職期間から退職になる規定があること
・退職: 民法では退職を申し出てから2週間で辞められるが、引き継ぎなく放置して辞めてもお咎めなしを防止できるか
◯コミュニケーション
・指摘の一貫性、上司による対応の違い、などは舐められるリスク
・普段から密なコミュニケーションを心がける、ミニマム月一で1on1
◯ヒアリングと対処
・いきなり本人を問いただすのではなく、問題行動の原因を周囲にヒアリングする。
・本人からのヒアリングは、言い分を受け入れるものでは無く、行動原理、思考パターンと行動パターンを把握するためのもの。
1. 相手が落ち着くまで話をさせる。遮らない、疑わない、突っぱねない
2. 傾聴しつつ事実確認をする
3. 話を深め最終確認、聞いた内容を整理して確認する
・対処を伝える時に一般的な正解を出すのでは無く、ニュートラルに私個人の考えという立場に立ち伝えるべきことを明確に言う。もっともいけないのは、理不尽な要求を飲んでしまうこと。エスカレートすることになる。
・経過観察
◯書面による注意
・温情的な対応で改善のきっかけがつかめなかった問題社員に対して段階的に厳しい対応に移行していく。
・言った言わないのトラブルを回避するため、注意の際はその内容が記された書面を合わせて交付し、内容に齟齬がないことを確認してもらった証跡を残す
◯人事異動
・降格や減給を伴わないあくまで横移動が一般的。
・雇用維持のための努力をしたと判断される材料になる。
・降格は人事権の領域だが、減給は労働条件の変更であり別物、役職の引き下げは地位を特定して採用してなければ広く認められているが、後者は無効となるケースもある。これを有効にするには、降格と共に賃金も下がる場合があると就業規則と労働契約を整備する必要がある。
◯人事権の制限事項
1. 業務上の必要性があること
2. 労働者に不利益を負わせないこと、介護が必要なのに転勤命令をするなど
3. 他の不当な動機や目的がないこと、嫌がらせや見せしめ目的など
◯懲戒処分
・注意や配置転換で改善しない場合は懲戒を検討する、問題社員の問題行動に公式に罰を与えることであり、労働者に不利益を与えるため慎重に行う必要がある。
・就業規則の懲戒事由に従うことが前提であり、記載のない事由で懲戒にすると無効と判断される
・1度の問題行動につき出せる懲戒は一度のみ
★退職勧奨
・業績態度が悪いから勧奨対象となっていることを告げ、今辞めるとどれだけメリットがあるかを伝え退職を促す。
・適正に下された低評価をもとに行われるため合法であり、進め方が問題視されたことはあっても、それ時代が違法とされたことはない。
・辞めたあと実は本心では合意してない!と訴えてくるケースもあるが、然るべき手順を踏んでいてその証拠があれば確固たる証拠となり防衛となる。
◯退職勧奨面談準備
・細かく情報収集
家族構成、配偶者が働いているか、子供の有無と年齢、持ち家か賃貸か、住宅ローン残高、要介護者がいるか、これまでの人事評価
・関係者間で面談実施について共有し、事前に理解を求めておく
・退職パッケージの用意
特別退職金や慰労金(勤務勤続年数×月給、最低半年保証など)、有給休暇買取、指定退職日から半年間は在籍扱いとされる権利、再就職支援サービスの紹介など。
支援が多いほど労働者の自由意志に基づくと判断されやすい
・面談に第三者の異性を同席させ、疑似メモを取らせることでみっともない行動を抑制し余計なトラブルを防止する効果がある
・絶対にクビや解雇という言葉は使わない、あくまで本人の意思での退職を促す。社内でのポジションの喪失、社外でチャンスを探してみてはと促し多面的に刺激を与えて気づかせる。
◯面談
・多くの問題行動があり、再三にわたり指導して改善を求めたが改善されなかった、あなたと当社はあっていないのではないか、もっと合う会社を見つけた方が良いのではないか、残念だが退職を勧めるという形が自然。
・退職パッケージを提示し、自主退社に合意頂ければ本来懲戒解雇相当処分のところを自己都合退職として懲戒なし扱いとします
・回答期限を伝え検討を促す。本人を非難くることはせずあくまでもミスマッチであることを伝える。
・想定問答
要するにクビ?、お任せする仕事がない
他にもいるのでは?、これからそう言う方にはきちんと対応します
なんでもやる、仕事がない
訴える、会社としては労働基準監督署に相談の上合法的に進めてます。マスコミに持ち込まれても決定は変わらないことをご理解ください