新田龍のレビュー一覧
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ネタバレ経営者側も労働者側も知っておくべき知識。
P29 司法の場としては、「通常訴訟(本訴)」「保全訴訟(仮処分)」「労働審判制度」などがある。このうち本心は、最終的な法的措置としてはありうるのだが、弁護士費用を合わせると数十万円、そして1年以上の裁判期間がかかる可能性が高いことを考えると、社員個人としてはなかなかてを出しにくい。そのような背景を踏まえ、昨今非常にケースとして増えているのが労働審判だ。
労働審判は「あっせん」と「裁判」の中間的な位置づけだ。労働審判官(判官)1名、労働問題の専門家である労働審判員2名(労働者側1名、使用者側1名)が双方の言い分 を聴いて審判をおこない、基本的に調停、和解による解決を目指す。調停内容は「確定判 決(裁判上の和解)」と同じ効果を持ち、その多くは「会社が解雇を撤回し、従業員は合意退職する」という形で、結局は会社が一定の金銭を支払うというケースになっている。 「原則として3回以内で結審」「約2ヶ月半で結果が出る」という特徴があり、手続きが長 期化しないことがメリットだ。また、あっせんとは異なり、「強制力」を持つという面も ある。出頭命令に従わない場合には5万円以下の罰金が科せられるうえ、労働審判官の心証を悪くして審判に負ける確率が高まる。相手の言い分を聴いて受け入れられる内容であれば、早期に和解してしまうほうが、結局は会社にとって良い場合が多いと思われる。
P98 人事権には3つの制限事項があり、この要件を無視して異動させてしまうと、「使用者による人事権の濫用」として無効になってしまう可能性がある。
1)業務上の必要性があること
2)騒動者に不利益を負わせないこと
3)ほかに不当な動機や目的がないこと
P137 退職パッケージを用意しておく。
最低でも半年分保障、など、有給休暇買取、指定退職日から半年間は在籍扱いされる権利
など
P212 「うまく回っていないのは、テレワークやオンライン化のせいじゃないですよ。会社に元からあった問題が、テレワークをきっかけに健在化したというだけです。」 -
Posted by ブクログ
非常に勉強になった。解雇規制が厳しいからどうにもならないわけでは無く、問題社員とはいえ納得感ある形で周到な準備をもとに進めることが重要。就業規則の重大さも実感。
以下メモ
◯法律の理解
・民法に期間の定めのない雇用契約はいつでも解約の申し入れをできる、とあるが、判例で解雇が無効とされた事例があり、各々のペースで判断された積み重ねが現行の労働契約法による解雇規定になっている。
・労働契約法16条、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用にたものとして、無効とする。
◯相手が問題社員でも不用意にクビにして会社が直面するリスク
・労基署の臨検、不当解雇では労基署は入れないのだが、労務管理や残業代の未払いなど、労基法の観点で違反があると危ない
・労働局から助言指導、話し合いで解決する場の設定
・法律専門家の介入、成功報酬型などで専門家を派遣してくるケースがある。ただ本訴は弁護士費用数十万円以上、一年以上の裁判期間がかかり、社員個人が手を出しにくい。そのため多いのが労働審判、裁判官が派遣され、双方の言い分を聞いての調停、和解による解決を目指すもの、その多くは解雇撤回し、合意退職として一定賃金を払う形になる。
・外部労働組合の介入、多くはまともだが、反社集団で大勢で威嚇してくるケースもある。
・解雇が合法となるケースは極めて狭く、解雇には大きなリスクがある。
◯退職勧奨
・追い出し部屋は目的や基準が不明確だと裁判で無効になるケースがあるが、適正に下された低評価をもとに行われると違法性がないとされるケースもある。
・太陽方式、いくらその存在が害悪でも、相手の改善と成長を信じて働きかけることが重要
◯試用期間でもクビにしやすいわけではない
★問題社員を辞めさせる手順
◯就業規則の整備
・欠勤や遅刻: 働かなかった時間分の給料を控除する権利が行使できるようになる
・問題行為に関する懲戒処分:
・休職に関するルール: 休職期間から退職になる規定があること
・退職: 民法では退職を申し出てから2週間で辞められるが、引き継ぎなく放置して辞めてもお咎めなしを防止できるか
◯コミュニケーション
・指摘の一貫性、上司による対応の違い、などは舐められるリスク
・普段から密なコミュニケーションを心がける、ミニマム月一で1on1
◯ヒアリングと対処
・いきなり本人を問いただすのではなく、問題行動の原因を周囲にヒアリングする。
・本人からのヒアリングは、言い分を受け入れるものでは無く、行動原理、思考パターンと行動パターンを把握するためのもの。
1. 相手が落ち着くまで話をさせる。遮らない、疑わない、突っぱねない
2. 傾聴しつつ事実確認をする
3. 話を深め最終確認、聞いた内容を整理して確認する
・対処を伝える時に一般的な正解を出すのでは無く、ニュートラルに私個人の考えという立場に立ち伝えるべきことを明確に言う。もっともいけないのは、理不尽な要求を飲んでしまうこと。エスカレートすることになる。
・経過観察
◯書面による注意
・温情的な対応で改善のきっかけがつかめなかった問題社員に対して段階的に厳しい対応に移行していく。
・言った言わないのトラブルを回避するため、注意の際はその内容が記された書面を合わせて交付し、内容に齟齬がないことを確認してもらった証跡を残す
◯人事異動
・降格や減給を伴わないあくまで横移動が一般的。
・雇用維持のための努力をしたと判断される材料になる。
・降格は人事権の領域だが、減給は労働条件の変更であり別物、役職の引き下げは地位を特定して採用してなければ広く認められているが、後者は無効となるケースもある。これを有効にするには、降格と共に賃金も下がる場合があると就業規則と労働契約を整備する必要がある。
◯人事権の制限事項
1. 業務上の必要性があること
2. 労働者に不利益を負わせないこと、介護が必要なのに転勤命令をするなど
3. 他の不当な動機や目的がないこと、嫌がらせや見せしめ目的など
◯懲戒処分
・注意や配置転換で改善しない場合は懲戒を検討する、問題社員の問題行動に公式に罰を与えることであり、労働者に不利益を与えるため慎重に行う必要がある。
・就業規則の懲戒事由に従うことが前提であり、記載のない事由で懲戒にすると無効と判断される
・1度の問題行動につき出せる懲戒は一度のみ
★退職勧奨
・業績態度が悪いから勧奨対象となっていることを告げ、今辞めるとどれだけメリットがあるかを伝え退職を促す。
・適正に下された低評価をもとに行われるため合法であり、進め方が問題視されたことはあっても、それ時代が違法とされたことはない。
・辞めたあと実は本心では合意してない!と訴えてくるケースもあるが、然るべき手順を踏んでいてその証拠があれば確固たる証拠となり防衛となる。
◯退職勧奨面談準備
・細かく情報収集
家族構成、配偶者が働いているか、子供の有無と年齢、持ち家か賃貸か、住宅ローン残高、要介護者がいるか、これまでの人事評価
・関係者間で面談実施について共有し、事前に理解を求めておく
・退職パッケージの用意
特別退職金や慰労金(勤務勤続年数×月給、最低半年保証など)、有給休暇買取、指定退職日から半年間は在籍扱いとされる権利、再就職支援サービスの紹介など。
支援が多いほど労働者の自由意志に基づくと判断されやすい
・面談に第三者の異性を同席させ、疑似メモを取らせることでみっともない行動を抑制し余計なトラブルを防止する効果がある
・絶対にクビや解雇という言葉は使わない、あくまで本人の意思での退職を促す。社内でのポジションの喪失、社外でチャンスを探してみてはと促し多面的に刺激を与えて気づかせる。
◯面談
・多くの問題行動があり、再三にわたり指導して改善を求めたが改善されなかった、あなたと当社はあっていないのではないか、もっと合う会社を見つけた方が良いのではないか、残念だが退職を勧めるという形が自然。
・退職パッケージを提示し、自主退社に合意頂ければ本来懲戒解雇相当処分のところを自己都合退職として懲戒なし扱いとします
・回答期限を伝え検討を促す。本人を非難くることはせずあくまでもミスマッチであることを伝える。
・想定問答
要するにクビ?、お任せする仕事がない
他にもいるのでは?、これからそう言う方にはきちんと対応します
なんでもやる、仕事がない
訴える、会社としては労働基準監督署に相談の上合法的に進めてます。マスコミに持ち込まれても決定は変わらないことをご理解ください -
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ガラガラの赤ちゃん用品店「西松屋」が26期増収のワケ
戦争と軍事の本質は「成果への挑戦とリスク回避」
この本質は、かず多くの人や組織を使うビジネスにも共通している。だからターゲットやキャンペーン(作戦目標を達成するための、一連の戦術行動)などの軍事用語がビジネスに転用されている。
なので戦争の理論書はビジネスで応用可能。
その理論書の古典が19世紀に書かれたクラウゼヴィッッツの『戦略論』。ナポレオン1世とかの時代
の一冊です。
内容はなかなか非常識で、攻撃は最大の防御という言葉に対して、「防御は攻撃よりも強力な戦争形式」だとされる。
攻撃と違って、防御は機を待って反撃すること。
攻撃と違って、防御は現状維持でも勝ちになる。
だから攻撃よりも優位だからということらしい。
実際に西松屋はガラガラな店舗を郊外に作ることで、26期連続の増収を達成しているそう。固定費が安く、損益分岐点も低く、お客さんは車で来るのでゆっくり買い物してくれる(単価が上がる?)から。しかもガラガラx郊外を徹底していて、1店舗の売り上げが2億5000万を超えたら隣接地域に出店するらしい。
現状維持=リスク回避と、売り上げ向上=成果への挑戦を兼ね備えたすごい防御戦略が西松屋にあるとは、面白い視点だ。
ビジネス視点と戦略視点で一度で2度美味しい一冊。
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たぶん、ちゃんとした法務部がない会社の社長とか経営者が読む本ですが、労働者視点で読んでみました。
とりあえず、日本の法律のもとでは、社員が多少やらかしたくらいでは、簡単にはクビに出来ないってことです。時間をかけて、証拠を集めて、会社として十分に手を尽くし、いよいよどうしようもないとなったときにはじめて、退職を勧奨し、やめてもらう方向にいくのだとか。
拙速にコトを進めると、解雇が無効になるだけでなく、逆に訴えられて、貴重な時間やお金を失うことにもなりかねないのだとか。労働組合やユニオンなどの労働者側が厚く守られる仕組みもあるので、解雇は難しいようです。
北風と太陽よろしく、じわじわ嫌がらせして追い詰めてやめてもらうよう仕向けるよりも(昔パソナルームとかありましたね)、どういうことを求めてるのか、どうすれば会社が求める人材になれるかスキルアップ出来るか、前向きに考える方が生産的だよね、という感じかと。
自分が所属するのは中小企業で、数十人いる部署内ですらよく知らない人も多いのですが、まあ自分よりやらかしている人はそこそこいるので、少なくともクビを言い渡されることはないかなと楽観的に考えていいのかなと思います。 -
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もともと高杉良「青年社長」を読んで渡邉美樹氏に興味を持っていた。それだけに、その後のワタミ炎上にはどことなく違和感を覚えていたので、ブラック騒ぎに言及した本を読んでみようと購入。
ワタミ側に寄りすぎることもなく、世論側に寄りすぎることもなく、務めて客観的に分析しようとアプローチされていると感じた。著者も本文中で言っているフレーズだが、「人ひとり死んでいるのに」という声をあげられると、日本の社会ではもう一方的に責められていなければならない。本書は読み方によってはワタミ擁護とも捉えられかねない内容であり、これを上梓することは著者にとっても勇気が必要だっただろうと思う。
気になる「ブラック企業」ワタミの背景にあったものは、なんとなく自分が思っていたものとおおよそ合致していた。強烈な個性を持った創業者と従業員の温度感の差、
世間と企業内との温度感の差、成功者に対する妬みと僻み、スキャンダルを求める風潮等々が複雑に絡み合ったものであり、必ずしもワタミが「従業員をちぎっては投げする」ような悪徳企業とも言えない、というものだ。
しかしまさに「perception is reality」。事実がどうであろうと、どんな正当性があろうと、より重要なのはそれが相手(この場合不特定多数になるが)にどう捉えられるか、ということなのだろう。それで自身の信念を否定されなければならない渡邉氏の胸中は察するに余りあるが、それが今という時代の真実なのだと思う。
ともかく、我々は「ワタミはブラック企業」という字面に引っ張られ、短絡的な判断を下してしまう。しかしそれは、「PDCA」やら「断捨離」やら「コーチング」あたりの単語を見ただけで、それがどのようなものか分かったつもりになって失敗する、生兵法を連想させる。
この本はそのような姿勢を反省させ、自身のメディアリテラシーを見つめ直す機会も与えてくれると思う。 -
Posted by ブクログ
本書によるとそもそも日本の労働慣行にブラック化する要素が含まれているとのこと。「日本企業の場合、全員が幹部候補になり得るが、欧米の場合、幹部候補となる一部のエリートと、それ以外の大多数のノンエリートに厳然と区別された構造になっている」
この日本企業にある建前上全員に社長になれるという平等性が従業員全員に頑張りを強要させ長時間労働にいそしむ形を作り上げた。今年になって毎日新聞の記事で働き方改革が声高に言われていますが、日本の労働慣行の闇の深さを感じた一冊でした。ワタミについてはブラック企業と呼ばれることが一企業のブランド価値を壊滅的に毀損させることがよくわかりました。