最近、職場や取引先との関係でこんな悩みを感じたことはありませんか?
丁寧に対応しているのに軽く見られてしまう
頼まれごとを断れずに自分ばかり忙しい
意見を言いたいけど、角が立つのが怖い
そんなジレンマに向き合い、しなやかに乗り越えるヒントが詰まっていたのが、諏内えみさんの著書『我慢しない、侮らせないビジネスパーソンの処世術 戦略としてのずるいマナー』です。
この記事では、僕自身が本書を読んで感じた「5つの学び」をまとめてみました。“やさしいけど舐められない”そんな理想の立ち回り方を一緒に探っていきましょう。
1. 「感じがいい人」=「好かれる人」ではない
「感じがいいね」と言われてきたのに、なぜか仕事は回ってこない。むしろ雑用ばかり押しつけられる──そんな経験はありませんか?
本書では、単に「いい人」でいることが、ビジネスの場では“侮られる”原因になり得ることがある、と語られています。
じゃあどうすればいいのか。
それは、“感じがよくて、かつ一目置かれる存在”になること。
そのためには、言葉遣いや距離感、沈黙の使い方など、「戦略としてのマナー」が必要なんです。
2. マナー=気遣いではなく、自分を守る盾
マナーというと「相手への思いやり」と捉えがちですが、著者はこれを“自分を守るための戦略”と明言しています。
たとえば、上司への異論を伝えるときも、「でもそれ違うと思います」では衝突のもとに。
代わりに「なるほど、○○という意図ですよね。ちなみに〜という選択肢もあるかもしれません」と切り出すことで、相手のプライドを傷つけず、自分の意見も通すことができます。
これは決して“ずるい”のではなく、相手を尊重しつつ、自分の立場を守る賢さなのだと気づかされました。
3. 外見と所作は「信頼される人」の名刺になる
本書では、服装や姿勢、所作といった“見た目の演出”についても詳しく語られています。
なかでも印象に残ったのが、「所作の美しさは、安心感と格を同時に伝える」という視点。
たとえば、お辞儀や座り方ひとつでも、どこかで見た“育ちの良さ”や“自信”を感じさせることがありますよね。
それは決して生まれ持ったものではなく、意識して身につけることができる技術だと教えてくれました。
4. 「断ること」=「優しさ」になることもある
日本の職場文化では、つい「断るのは悪いこと」と思いがちですが、本書ではこれを真っ向から否定します。
大事なのは、“ただ断る”のではなく“提案型で断る”こと。
「今回は難しいのですが、代わりに○○であればお力になれるかもしれません」と伝えるだけで、相手も嫌な気持ちにならず、むしろ信頼されるようになります。
断ることで信頼を築けるという逆説的な視点は、目から鱗でした。
5. 「戦わずに勝つ」ことも、立派な戦略
本書の本質は、“真正面からぶつからない処世術”です。
大声で主張したり、自己犠牲で頑張ったりしなくても、自分らしく生き抜く戦略はある。
そのために必要なのが、「ずるく見えるほど賢いマナー」なのです。
丁寧に話し、適切な距離感を保ち、気遣いを見せながらも、自分の軸をブラさない。
それが結果として「この人は信頼できる」と思われる鍵になるのだと学びました。
おわりに:「強さ」は、やさしさの中にある
この本を読んで一番心に残ったのは、「強い人は、怒鳴らない。主張しすぎない。でも絶対に、侮らせない」というスタンスでした。
“マナー”という言葉に縛られて、無理に我慢してしまう人にこそ、この本は読んでほしい。
自分を守りながら、しなやかに生きる。そのヒントが、ページのあちこちにちりばめられていました。