読書知人が面白い、と言っていたので読んでみました。
京都府立大学学長で、「ダチョウ博士」」塚本康浩による研究者物語です。
ダチョウの持つ力は「地球を救う」!?
ダチョウ研究・実用化のような科学説明もありますが、それよりも科学初心者も楽しめるように、ダチョウのアホっぷり、著者がダチョウ研究するようになるまでの「好きを突き詰める」お話、どのように研究を行っているかなどを関西弁で面白くゆるゆると語っています。
写真や図もたくさんあります。
ダチョウのアホっぷり。
ダチョウは脳が小さいので「あほ」という論理的根拠もあるようです。
・群れで暮らすくせに、二家族の家族構成が入り交じってしまう!?コイツらヨメさんや子供を認識してない!
・だからやっぱり人間の顔も覚えない。こんなに世話してるのに毎回「誰だこいつ」って目で見る!他の鳥はちゃんと人間を認識してる種類もあるのに〜。
・自分の影を追いかけたり、逃げたりする!
・鈍い!カラスに突かれ、血まみれになっても気が付かない!?
・鳥なのに羽がウンコまみれでも気にしない!
・そのくせ水が汚れていると水浴びしない!
ダチョウの凄さ。
・二足歩行では地上最速!自然界では自走60キロで30分疾走できる!
⇒ただし瞬間的秒速では、ウサイン・ボルトの9秒58が二足歩行最速!!瞬間で行けば人間が二足歩行史上最速動物なのか!!(ボルトを一般人と同じにしてはいけないけど)
・キック力が強い!
・飼うには餌はモヤシでいい!安い!
進化
・系統樹的に見ると、爬虫類から鳥類と哺乳類に分かれる。ダチョウは鳥類からまたすぐに分かれた。そのため他に系統的な仲間のいない唯一の種族。
・それでも滅びなかったのは「アホ」「てきとー」だからではないか!?
ダチョウ以外の鳥のことでは、「トイレの躾ができる」にはびっくりしました。そうなの!?鳥って構造上垂れ流しだと思っていた!著者の飼っている(飼っていた)鳥は排泄の前に著者をツンツンするとか教えてくれるんだそうだ。
鳥に言葉を教えるコツも教えてくれます。鳥は頭が良く(ダチョウは含まれず(^_^;)行動と言葉の関係も覚えられる。「出してーー」といえば籠を開けてくれるとか。
著者がダチョウ研究をするきっかけや、軌道に乗るまでも面白おかしく書かれます。
ダチョウに乗る話、ダチョウの目玉を舐めたら甘かったという話、ダチョウに蹴られた被害など、一般人が知らないその道専門家の裏話もかなり楽しい。
後半ではこのダチョウの優れた免疫力が医療を初めとして、多方面に役立っている、すでに商品開発も行われてる、というお話になります。
ダチョウは免疫力が高く、腸内細菌が良い(食べたものの吸収力が高く糞の量が少ない)。そこでダチョウの卵から抗体を抽出し、インフルエンザやコロナなどの感染症対策に役立てているということ。
ものすっく簡単にまとめると「メスのダチョウに無害化されたウイルスなどの抗原を注射する(蹴っ飛ばされながら(^_^;) ⇒ダチョウに抗体ができる⇒卵に移行する⇒そこで卵が生まれたら抗体を抽出する」ってことでいいですよね。。ダチョウ抗体の良いところは、安い!早い!ダチョウを殺さない!ってことだそうです。
そしてダチョウ抗体の効能がすごすぎ!感染症対策、癌予防、シミシワ対策、ダイエット、薄毛に効く!?そのうえ使い方によっては地球温暖化対策にもなる!?
素晴らしすぎて、公立大学の学長さんのいうことでなければ詐欺を疑うレベル(^_^;)。
(この本は科学初心者もわかるような説明のため、科学に詳しい人には物足りないかもしれません。私にはこのくらいで十分ですが。)
面白おかしいことをメインに書いていますが、発展途上国での研究の難しさなどもちょここっと仄めかされてもいます。(研究用動物が盗まれ食われるというような。病気のない未来より今日のメシ、という貧困問題)
最後には著者の子供時代から現代に至るまでの道筋や考え方が語られます。学校に馴染まなかった子供時代、どのようにしてダチョウを極めるようになったのか?出会いや考え方、行動したこと、反対に「やらなくていい」と省いたことなど。
大学教授(学長)として「日本の研究者は経済的に支援が少ないので、研究者もビジネスを学ばなければいけない」ということ、そして人間相手なんだからコミュニケーション能力の大事さを言っています。なんであれ、やりたいことをやるには経済のこともわかっていなければいけない。これはこれからの教育でも取り入れてほしいなあ。
明るく書かれていて、ダチョウかわいいでしょ!という愛着、研究者の変人ぶりを面白おかしく紹介、ダチョウすごいから研究応援してね!という研究発表、そしてとことんやったらこんな事ができますよ!というメッセージのような本でした。