危機にこそ、経営者は戦わなければならない!
言い訳をしない実践経営学
著:金川 千尋
紙版
優れた経営者のメッセージは、とってもわかりやすいと思います
印象に残った言葉は、「疾風に勁草を知る」です。
激しい風が吹いているときにこそ、強い草が見分けられるという意味で艱難にあってこそ、節操の堅さ、意思の強さがわかると言うたとえです。
気になったのは、以下です。
・企業がたとえどれほどの好調期にあっても、突然、危機はやってきます。
・絶頂期にあっても、経営者はそのことを忘れず常に備え、襲いかかってくる危機に対し果敢に立ち向かわねばなりません。
・現状を過小にも過大にも評価しないで、今いかなる時期にあるのかを、客観的に見なければなりません。
・私にとって重要なのは、昨日より今日と明日のことです
・過去はもう歴史なのですから、決して変えられません
・それよりも、現在の厳しい経済状況にどう挑戦するかについて、日々かんがえなければなりません
・最悪を想定し、常に備えよ
・世界的な競争力を持つことは、現代の企業にとって生き残るための条件になっています。
・特に不況下では、それだけ競争力がなければ確実に淘汰されてしまいます。
・生産性向上については、少数精鋭という考え方で達成してきました。
・不況のなかで利益を出し続けるには、高い経営力と市況の変化に常に備えるという厳しい心構えが必要になります。
・経営者がこの要求を満たし、必死に戦うことなしには、この厳しい時代に生き残り、発展を続けることはできないのです。
・世界に通用する企業になる。当社は欧米企業には負けない
・危機を乗り越え、会社を救えるのは経営者しかいません
■危機と戦う経営
・顧客が困っているときに無理をしてはいけないと判断したからです。
・価格を抑え、なるべくアメリカの被災需要に製品を回すことで、それまでの需要家の信頼にこたえるだけでなく、新しい需要家の獲得にもつながったわけです
・企業の社会的貢献は、利益を出して納税することから始まると私は考えています
・大震災という危機にある大変な時期こそ、この原則が大切になってきます。
・まず自分の仕事である目先のことを全力でやること
・今回の大震災のような非常時にこそ、これが大切です
・全力を尽くして民間企業の本分である利益を上げることが、こうしたときにこそ求められていると思うのです
■戦って乗り越えた危機
・危機は、経営者の心のなかにあることもあります
・私は、常在戦場の心構えで経営にあたってきました
・私は、原点に立ち返った経営手法を、全社の隅々まで行き渡らせることにしました
・どれほど気を引き締めていたつもりでも、好調が続くと甘さがでてしまうこともあります
・それに気づいたら、すぐに自ら叱咤しなければなりません
・経営者を叱ることが出来るのは、自分だけなのですから
・結果はすべて数字にでます
・景気のよいときには何もしなくても売れますが、景気の悪いときには苦労しなければ売れません。
・景気が悪いから売れないのは仕方がない、というのでは、経営者がいる意味がありません
・何としてでも黒字にしようという執念がなければならない、不況だから赤字もしょうがないなどと最初から思っていてはいけない、そういう気持ちでした。
■自分流の経営で戦う
・従業員はボスではありませんが、株主に本当に報いるには、従業員にやる気になってもらう必要があります。
・そうした意味で従業員は大事だということです
・熱狂は必ず冷めます
・熱狂の時期には確実に儲けておこうというのが、私の考え方で、この儲けで次の谷間の時期に備えておきます
・不良資産などがあるようなら全部きれいに処理します
・だから、当社のバランスシートはいつも健全さを保っています
・熱狂にあっても冷静に判断し、時流にやみくもに乗らない
・これが私のやり方なのです
・高い確率で成功する見込みのある仕事でなければ絶対にキャッシュは使わないというのが、私の考え方だからです。
・本業以外には手をださない
・正々堂々と戦う
■会社を変革するために戦う
・会社を変えられる人の条件
①会社をどう変えるのかという目標をはっきりともっていること
②現状を正確に判断できること
・一生懸命やらなくていい。寝っ転がっていてもいい。ただし、勝たなければ困る。要するに勝って実績をあげればいいんだ。
・リーダーは体を張らなければなりません。身を守るつもりでは、改革など出来はしないものです
・安易に新卒を採用しない
・仕事ができる人に長くやってもらう
・一つの仕事を出来るだけ長くやってもらうことが、少数精鋭へとつながる道であり、仕事を効率的に進めるのに最も適切な方法なのです
■少数精鋭でムダと戦う
・人材を見つけて、さらに育てることにより、少数精鋭の部隊を形成することができます
・これが企業を合理化することへの近道です
・人が育てなければ組織など何にもなりません
・極端な話、組織を変えるだけなら、一時間で替えられます
・しかし、人を育てるには数年以上かかります
・事務所の引越しも同じことです
・ムダな金を使うもさることながら、社員に時間と労力のムダを強いることになり、その期間、本社の能力が落ちてしまいます
■世界を舞台に戦う
・人を陥れるようなものは営業ではない。
・そんなことをやって一回は成功しても、次からはもう相手にされなくなってしまう
・だから、そういうことを絶対にやめなさい
・たとえ外国であっても経営を人任せにはできないと思うようになりました
・リーダに適性がなければ、自分でやったほうが早いわけです
・まず重要だったのは資金繰りでした
・会社がつぶれるときは、借金でつぶれる
・需要家との良好な関係を築くには、ひたすら誠意を尽くすしかない
・需要家との関係を良くするに一番よいのは、先方が困っているときに助けることです
・私心のない人の覚悟と気迫は、洋の東西を問わず、国境を越えて通じるものです
■戦うトップの条件
・経営者には、判断力、先見性、決断力、執行能力が必要と考えています
・経営者には、もう一つ人格的な要素が必要です。それは、誠実と温かさです
・経営においてスピードは重要です
・私は常にスピード経営を意識しており、意思決定、その伝達、そして実行とすべてを素早く行うようにしています
・指示が現場にいくまでに時間も短いと思います。ムダなラインを通さず、それぞれの仕事のキーマンにすぐ伝わるようにしているからです
・当社では、あくまでも顧客中心主義です
・研究所も、製造も、営業も、常に顧客のほうを向いて仕事をしています
・とにかく、顧客に会いなさい。生の声を聞こう
・後継者は前任者のやったことでいいものは全部引き継げばいいし、だめなものは全部やめればいいのです
■日本企業よ共に戦おう
・これからの日本企業は、新興国との人件費競争をしなければいけないような商品ではなく、独創性で勝負すべきです
・チャンスが来たときには資金がなければどうしようもありませんが、よそから資金を調達するというのは大変なことです。
・チャンスというのは突然来ることがよくあり、そんな場合には資金の用意はさらに難しくなります
・さらに厳しい時代に備えて、好調時の資金を蓄えておく。これが私の考え方です
・目の前の課題は重要だということです
・もう一つは、それまで経験したことのない新しい仕事をやってほしいということです
・そして、楽しく仕事をすることもわすれないでください
目次
序章 危機と戦う経営―会社を救えるのは経営者しかいない
第1章 新しい危機との戦い―最大の貢献は利益を出すこと
第2章 戦って乗り越えた危機―不況でも利益を出す
第3章 自分流の経営で戦う―「私のボスは株主」
第4章 会社を変革するために戦う―抵抗勢力にひるまない
第5章 少数精鋭でムダと戦う―ゼロからの発想で必要なものを考える
第6章 世界を舞台に戦う―海外でも自分の経営哲学を貫く
第7章 戦うトップの条件―経営者に求められる能力と覚悟
第8章 日本企業よ共に戦おう―どんなときでもチャンスはある
ISBN:9784492556962
出版社:東洋経済新報社
判型:4-6
ページ数:248ページ
定価:1600円(本体)
発売日:2011年08月04日