【感想・ネタバレ】危機にこそ、経営者は戦わなければならない! 言い訳をしない実践経営学のレビュー

あらすじ

震災後のグローバル時代に持つべき覚悟。
名著『社長が戦わなければ会社は変わらない!』に大幅加筆。リーマン・ショック、東日本大震災など幾多の試練を乗り越え、ますます真価を発揮する金川流経営のすべてを明かす。
【著者からのメッセージ】
厳しい経営環境下で、企業が利益を出し続けるのは並大抵のことではありません。
苦しいときにこそ、その企業がどれほどの強さを持っているのかが試されているのだと思います。
危機のときにこそ、企業は自らの体質を強化しなければ生き残れません。
そして、そのカギを握るのは、経営者なのです。
(序章より)
本書は、2011年8月に東洋経済新報社より刊行された『危機にこそ、経営者は戦わなければならない!』を電子書籍化したものです。

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Posted by ブクログ

危機にこそ、経営者は戦わなければならない!
言い訳をしない実践経営学
著:金川 千尋
紙版

優れた経営者のメッセージは、とってもわかりやすいと思います

印象に残った言葉は、「疾風に勁草を知る」です。
激しい風が吹いているときにこそ、強い草が見分けられるという意味で艱難にあってこそ、節操の堅さ、意思の強さがわかると言うたとえです。

気になったのは、以下です。

・企業がたとえどれほどの好調期にあっても、突然、危機はやってきます。
・絶頂期にあっても、経営者はそのことを忘れず常に備え、襲いかかってくる危機に対し果敢に立ち向かわねばなりません。
・現状を過小にも過大にも評価しないで、今いかなる時期にあるのかを、客観的に見なければなりません。
・私にとって重要なのは、昨日より今日と明日のことです
・過去はもう歴史なのですから、決して変えられません
・それよりも、現在の厳しい経済状況にどう挑戦するかについて、日々かんがえなければなりません

・最悪を想定し、常に備えよ
・世界的な競争力を持つことは、現代の企業にとって生き残るための条件になっています。
・特に不況下では、それだけ競争力がなければ確実に淘汰されてしまいます。
・生産性向上については、少数精鋭という考え方で達成してきました。

・不況のなかで利益を出し続けるには、高い経営力と市況の変化に常に備えるという厳しい心構えが必要になります。
・経営者がこの要求を満たし、必死に戦うことなしには、この厳しい時代に生き残り、発展を続けることはできないのです。

・世界に通用する企業になる。当社は欧米企業には負けない
・危機を乗り越え、会社を救えるのは経営者しかいません

■危機と戦う経営

・顧客が困っているときに無理をしてはいけないと判断したからです。
・価格を抑え、なるべくアメリカの被災需要に製品を回すことで、それまでの需要家の信頼にこたえるだけでなく、新しい需要家の獲得にもつながったわけです
・企業の社会的貢献は、利益を出して納税することから始まると私は考えています
・大震災という危機にある大変な時期こそ、この原則が大切になってきます。

・まず自分の仕事である目先のことを全力でやること
・今回の大震災のような非常時にこそ、これが大切です
・全力を尽くして民間企業の本分である利益を上げることが、こうしたときにこそ求められていると思うのです

■戦って乗り越えた危機

・危機は、経営者の心のなかにあることもあります
・私は、常在戦場の心構えで経営にあたってきました
・私は、原点に立ち返った経営手法を、全社の隅々まで行き渡らせることにしました
・どれほど気を引き締めていたつもりでも、好調が続くと甘さがでてしまうこともあります
・それに気づいたら、すぐに自ら叱咤しなければなりません
・経営者を叱ることが出来るのは、自分だけなのですから
・結果はすべて数字にでます
・景気のよいときには何もしなくても売れますが、景気の悪いときには苦労しなければ売れません。
・景気が悪いから売れないのは仕方がない、というのでは、経営者がいる意味がありません

・何としてでも黒字にしようという執念がなければならない、不況だから赤字もしょうがないなどと最初から思っていてはいけない、そういう気持ちでした。

■自分流の経営で戦う

・従業員はボスではありませんが、株主に本当に報いるには、従業員にやる気になってもらう必要があります。
・そうした意味で従業員は大事だということです

・熱狂は必ず冷めます

・熱狂の時期には確実に儲けておこうというのが、私の考え方で、この儲けで次の谷間の時期に備えておきます
・不良資産などがあるようなら全部きれいに処理します
・だから、当社のバランスシートはいつも健全さを保っています

・熱狂にあっても冷静に判断し、時流にやみくもに乗らない
・これが私のやり方なのです
・高い確率で成功する見込みのある仕事でなければ絶対にキャッシュは使わないというのが、私の考え方だからです。
・本業以外には手をださない
・正々堂々と戦う

■会社を変革するために戦う

・会社を変えられる人の条件
 ①会社をどう変えるのかという目標をはっきりともっていること
 ②現状を正確に判断できること

・一生懸命やらなくていい。寝っ転がっていてもいい。ただし、勝たなければ困る。要するに勝って実績をあげればいいんだ。

・リーダーは体を張らなければなりません。身を守るつもりでは、改革など出来はしないものです

・安易に新卒を採用しない
・仕事ができる人に長くやってもらう
・一つの仕事を出来るだけ長くやってもらうことが、少数精鋭へとつながる道であり、仕事を効率的に進めるのに最も適切な方法なのです

■少数精鋭でムダと戦う

・人材を見つけて、さらに育てることにより、少数精鋭の部隊を形成することができます
・これが企業を合理化することへの近道です
・人が育てなければ組織など何にもなりません
・極端な話、組織を変えるだけなら、一時間で替えられます
・しかし、人を育てるには数年以上かかります

・事務所の引越しも同じことです
・ムダな金を使うもさることながら、社員に時間と労力のムダを強いることになり、その期間、本社の能力が落ちてしまいます

■世界を舞台に戦う

・人を陥れるようなものは営業ではない。
・そんなことをやって一回は成功しても、次からはもう相手にされなくなってしまう
・だから、そういうことを絶対にやめなさい

・たとえ外国であっても経営を人任せにはできないと思うようになりました
・リーダに適性がなければ、自分でやったほうが早いわけです

・まず重要だったのは資金繰りでした
・会社がつぶれるときは、借金でつぶれる

・需要家との良好な関係を築くには、ひたすら誠意を尽くすしかない

・需要家との関係を良くするに一番よいのは、先方が困っているときに助けることです

・私心のない人の覚悟と気迫は、洋の東西を問わず、国境を越えて通じるものです

■戦うトップの条件

・経営者には、判断力、先見性、決断力、執行能力が必要と考えています
・経営者には、もう一つ人格的な要素が必要です。それは、誠実と温かさです

・経営においてスピードは重要です
・私は常にスピード経営を意識しており、意思決定、その伝達、そして実行とすべてを素早く行うようにしています
・指示が現場にいくまでに時間も短いと思います。ムダなラインを通さず、それぞれの仕事のキーマンにすぐ伝わるようにしているからです

・当社では、あくまでも顧客中心主義です
・研究所も、製造も、営業も、常に顧客のほうを向いて仕事をしています
・とにかく、顧客に会いなさい。生の声を聞こう

・後継者は前任者のやったことでいいものは全部引き継げばいいし、だめなものは全部やめればいいのです

■日本企業よ共に戦おう

・これからの日本企業は、新興国との人件費競争をしなければいけないような商品ではなく、独創性で勝負すべきです

・チャンスが来たときには資金がなければどうしようもありませんが、よそから資金を調達するというのは大変なことです。
・チャンスというのは突然来ることがよくあり、そんな場合には資金の用意はさらに難しくなります
・さらに厳しい時代に備えて、好調時の資金を蓄えておく。これが私の考え方です

・目の前の課題は重要だということです
・もう一つは、それまで経験したことのない新しい仕事をやってほしいということです
・そして、楽しく仕事をすることもわすれないでください

目次
序章 危機と戦う経営―会社を救えるのは経営者しかいない
第1章 新しい危機との戦い―最大の貢献は利益を出すこと
第2章 戦って乗り越えた危機―不況でも利益を出す
第3章 自分流の経営で戦う―「私のボスは株主」
第4章 会社を変革するために戦う―抵抗勢力にひるまない
第5章 少数精鋭でムダと戦う―ゼロからの発想で必要なものを考える
第6章 世界を舞台に戦う―海外でも自分の経営哲学を貫く
第7章 戦うトップの条件―経営者に求められる能力と覚悟
第8章 日本企業よ共に戦おう―どんなときでもチャンスはある

ISBN:9784492556962
出版社:東洋経済新報社
判型:4-6
ページ数:248ページ
定価:1600円(本体)
発売日:2011年08月04日

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

ずっと積み本にしていて、読まないなら売ろうかと思いながら手に取って冒頭読み始めたら、面白くて一気に読んでしまった。
ビジネス書で夢中になって一気に読んだのは初めてかもしれない。
文量的にも無理なく読みきれる量だった。

内容的には筆者の経営の歴史みたい内容なんだけど、一つ一つの小節でストーリーがまとまっていて、読みやすい。
そしてこの人のストイックな仕事ぶりがすごすぎる。
もう80過ぎてまだ現役バリバリなのね。

ビジネスマンには良い刺激になるし、単純に読み物としても面白いと思う。

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2013年06月05日

Posted by ブクログ

TOPPOINT 2011年10月号より。


著者は信越化学工業の代表取締役会長。


「言い訳をしない実践経営学」


企業経営者必読本。

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2011年10月02日

Posted by ブクログ

■ビジネスマインド
1.未来は自分の予測よりも悪くなる、という前提で計画を立てるべきである。また、前提が変われば結論が変わるのは当たり前なので、「朝令暮改」は当然のことである。
2.経営者は、「100年に一度」といわれるような経済危機に際しても、何としても黒字にするという執念がなければならない。
3.経営者は、仮に市場が熱狂の中にあっても、冷静に判断し、先の事に対して常に備えるべきである。
4.大切なのは労働の量ではなく質である。どれほど必死に働いても、結果が出なければ何もならない。一生懸命やることより勝つ事が肝心だ。それには、あくせく働くよりも頭を使う事である。

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2011年09月27日

Posted by ブクログ

今の信越の礎を築いた考え方が詰まっていて、経営のヒントがたくさんある。実際に経営に関わる人におすすめ。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

信越化学工業会長金川千尋氏の社長時代の13期連続最高益。社長時代に実践してきた経営手法や考え。
オールドビジネスとニュービジネスの事業構成バランス。
まず、自分の仕事である目先の事を全力でやる。
経営責任者(部門責任者)は個々の商品について細かく市況をみて、具体的な判断をする→抽象論を言っても経営は出来ない。
危機でも利益を出す。企業はあくまで営利を目的とした組織。 → 競争力に勝つ!
どんな厳しい時代でも利益を出し、出来る限り長く続ける。
企業経営の目的は株主に報いること。「従業員は使用人」従業員のために企業がある・・×。ただし株主に報いるには従業員のやる気が
必要であり、そうした意味で、従業員は大事である。従業員が幸せでなければ達成できない。
経営者がかわらなれば会社は変わらない。改革など出来るわけがない。
◎大切なのでは労働の量ではなく質です。でれだけ汗をかいて必死に働いても結果がでなければ何もない。一生懸命やることより勝つ事。あくせく働く事より頭を使う。
合理的な仕事をするには、少数精鋭が原則。社員をプロに育てる。そして長くやってもらう。
「やって見せ、行って聞かせ、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」山本五十六。
事業を投げ出す事は簡単。情熱や成功させたいというこだわりは必要。ただし見栄やメンツは不要。
◎汎用品である塩ビ事業の成功や → 総原価を世界最低にする。
  ムダを省き人員・設備面で徹底した合理化を行う。
メーカーにとって製品を売ることは至上命題。製品が売れなくなれば会社は潰れる。
経営者に必要な5つの資質「判断力」「先見性」「決断力」「執行能力」+「誠実さと温かさ」
スピードは重要 案件処理は素早く行う。
メーカーに行きたい。自ら考え、投資し、自らのリスクで物を作り自ら売ること。
後継者は前任者のやった事で、いいことは引き継げばいいし、だめなものは全部やめればいい。
◎これからの日本は独創性で勝負。 価値創造・・・
使命感をエネルギーとして、仕事を楽しむ。
目の前の課題を大切にし、新しいことへ挑む。
◎ 今やっている仕事を良くしようと考える事から始める。なるべく良い結果を出すために、それまでとは違った観点、発想からその課題を見ていかに効率的にするかを考える。 → 自分に実力がつく。
「苦しいこともあるだろう。言いたいこともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹のたつこともあるだろう。泣きたいこともあるだろう。これらをじっとこらえてゆくのが、男の修行である」山本五十六。

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2017年03月29日

Posted by ブクログ

私と経営に対する考えて方が非常に近い方だと思います。とはいっても金川氏は、信越化学工業を化学業界では世界で第4位の時価総額の会社にした偉大な経営者ですが、
製造業は、工場は目一杯稼働することが第一条件その為に、営業は全部売り切れるように努力する。管理者は常に人材の最適化を考える。地味にコツコツやることが、王道で他には考えられません。読んでて元気が出ました。

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2012年12月14日

Posted by ブクログ

 信越化学工業と言えば、コンフューザーという果樹用のフェロモン剤と思ってしまうのですが、実は塩ビから、シリコンウェハーや、そして肥料なども手がける、原料メーカーであったのです。

 そこの会長が2000年代初頭に記した本を、再度東日本大震災後に、そのときの経験を追記したものが、今回の出版になります。

 その中でも多くを費やしているのが、アメリカでの子会社、シンテック。塩ビメーカーであり、金井さんが長らく経営を行っていた会社であり、その期間内に有利子負債を無くし、売上高を10倍まで引き上げ、さらに利益を出し続けている会社の説明が多くありました。

 必要なところに投資する、不要なものにはお金を掛けないという、徹底した取り組みを行っている。それは私生活にも現れており、ご自宅は課長時代に購入した家に住み続けていると言うことで、いくらでも買い換えることができるにもかかわらず、その時間が惜しいというのです。

 その徹底ぶりは、凄い、と思わせられるもので、タイトルの通りまるで第一線で戦い続けているように読み取れました。

 新しい、古いではなく、あくまでも利益を出すか出さないかで事業を判断するというのも、わかりやすい判断基準です。

 学ぶべきことが多い、1冊でした。

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2012年01月06日

Posted by ブクログ

グローバル化が進展した経済において、日本企業の進むべき方向性についての論点が豊富に盛り込まれた書。
自らの問題意識と重なり、特に印象深い点が3点。
1点目は、日本企業の特性に、株主価値の向上ではなく社会の『共通善』に向かって成長を志向すること、それを21世紀のニューモデルとして競争力の源泉になりうることを指摘した点。リーマンショック以降、自己利益偏重の経営の限界が露呈する中で、会社を社会的存在と捉え自己利益と共通善のバランスをとりながら発展してきた日本企業を再評価している。失われた20年の原因はグローバリゼーションに翻弄され欧米的な価値観を盲目的に導入した結果だと痛烈に批判する。合理性や効率性
2点目は、デジタル化・モジュール化の進展、アジア系企業の台頭により、モノづくりだけの限界を指摘した点。単なるモノに加え、モノを媒介にしたコトを生み出す重要性をAppleを例に提示する。
3点目は、意思決定のスピードの重要性を指摘した点。技術・市場の変化スピードが増し、調達・生産・競争のグローバル化が進展したことにより、国内でイノベーションを起こし、他国に応用する手法に、スピード・スケールの点で限界を指摘する。

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2011年10月24日

Posted by ブクログ

事業に対する考え方が参考になりました。
選択と集中は大事だが、規模の小さい古い事業でも、利益の出ている事業は無理に切り捨てる必要はないという点です。
ただし、著者の自慢が鼻に付く個所があり、減点しました。

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2011年10月23日

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