エマニュエル・ドンガラの作品一覧
「エマニュエル・ドンガラ」の「世界が生まれた朝に」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
Posted by ブクログ
1人のコンゴ人の人生を綴った物語。呪術や非現実的な現象、氏族の伝統への縛りから、アフリカ各国が経験した植民地主義と抵抗の歴史まで、とにかくそういったことに翻弄される主人公の、力と知への探究心が凄かった。そして、無敵だった主人公に「老い」がやってきた時、少し胸が痛くなった。
私の推しである高野秀行氏が、大学時代に作者の弟と知り合いだった関係で、ひょんなことから原稿を読む機会があり、めちゃくちゃ感動してそのまま日本語に訳したのがはじまりだそう。
作者はこの物語を15年かけて書いたという。
こんなスピードで読み進めていいのか、作者に失礼ではないか、と思うが、とにかくページをめくる手が止まらなかった。素晴らしい作品。
Posted by ブクログ
「力」と「知」の物語。
植民地化や差別の歴史。
アフリカ(コンゴ)出身の作家が、当事者としてどう描くのか。被害の歴史だけでなく、さまざまな葛藤を抱える人物として描かれていたのがよかった。
というのも、主人公のマンクンクは、自分の民族の伝統や習わしに疑問を持つ反逆児だ。
異人がもたらした衝撃に心を傷めながらも、その利用の仕方によっては、自分たちが行き詰まりから抜け出す機会になり得ると考えている。
けれど、良くも悪くも自分のルーツからは逃れられない。そんな彼の孤独な戦いが心に残った。
文字のない世界に生きる人々にとって、文字は知識や情報を伝え、蓄積するための道具であり、異人の「力」の象徴のひとつでもあった。
その反面「思考を要約する記号」と作中では呼ばれるが、言葉にすることでさまざまなものが削ぎ落とされ、圧縮されてしまうのはわかる気がする。
一生をかけて追い求めてきたものの正体に気づき、最後には言葉を手放すマンクンク。最後の2ページで、それまで読んできた物語の印象がガラッと変わった。物事を言葉にして説明できることと、本当にそれを「知る」ことは、同じではないのかもしれない。
著者のエマニュエル・ドンガラが、旅をしながら15年かけて修正を繰り返し、日本でも数ページ執筆したというエピソードも素敵だ。訳者の高野秀行さんとこの物語の出会いも。
アフリカ版『百年の孤独』とも呼ばれる本作。文庫化をきっかけに、こういう本に出会えたのは嬉しい。