エマニュエル・ドンガラのレビュー一覧

  • 世界が生まれた朝に

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    百年の孤独味、感じた。ループしている、抜け出せない息苦しい感じとか、気づいた時には遅い、とか、自分ではどうすることもできないような大きな流れみたいなものに乗っている。生きていくということは、そういうこなのか。

    自分の役割に気付くというか、自分の役割はこれ!と決めて(外からの力も多分にある)、人生を切り開いているところが印象的。

    海外小説って、私にとって想像がし辛くて、なかなか読み進められないものも多い中、高野さんの翻訳は読みやすかった。これを大学生のときに翻訳したんだ、、!高野さんのことがますます好きになった一冊!

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    2026年11月01日
  • 世界が生まれた朝に

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    裏表紙にアフリカ版「百年の孤独」ってあって、読まなきゃ!って。
    個人的には2026年ベストの一冊。あくまで2026年に私か読んだもので。
    先祖の霊、呪術、伝統社会などのアフリカ文化が現代文明に飲み込まれるさまを描いているのに、普遍性がある。
    そして根底には哲学的なものもあるのに、エンタメ性まで。
    素晴らしい。
    翻訳の高野秀行は、大学7年生のとき卒論で本著の翻訳を出したら、翻訳は認めないが本著の研究ならOK、ということで、論文書いてクリアしたらしい。よかったね。おかげで私もいい作品読めました。

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    2026年09月18日
  • 世界が生まれた朝に

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    解説でこの作品の普遍性について言及されていたが、これは本当にそう。
    どうして文字もなかったコンゴの世界で、オフィスで凝り固まった仕事を破壊して効率化してる今の私が描かれているのか。
    アップデートされ続ける社会でどう生きるべきなのか学べる。
    小説としても純粋に面白い。
    鬱憤を溜めた人が爆発する瞬間がいちいち楽しいし、作戦を話していたらいつの間にか現実になってるテクニックも驚くほどスマートでオシャレ。
    アフリカ文学をもっと読みたくなる。

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    2026年09月14日
  • 世界が生まれた朝に

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    1人のコンゴ人の人生を綴った物語。呪術や非現実的な現象、氏族の伝統への縛りから、アフリカ各国が経験した植民地主義と抵抗の歴史まで、とにかくそういったことに翻弄される主人公の、力と知への探究心が凄かった。そして、無敵だった主人公に「老い」がやってきた時、少し胸が痛くなった。

    私の推しである高野秀行氏が、大学時代に作者の弟と知り合いだった関係で、ひょんなことから原稿を読む機会があり、めちゃくちゃ感動してそのまま日本語に訳したのがはじまりだそう。

    作者はこの物語を15年かけて書いたという。
    こんなスピードで読み進めていいのか、作者に失礼ではないか、と思うが、とにかくページをめくる手が止まらなかった。素晴らしい作品。

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    2026年09月10日
  • 世界が生まれた朝に

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    ネタバレ

    「力」と「知」の物語。

    植民地化や差別の歴史。
    アフリカ(コンゴ)出身の作家が、当事者としてどう描くのか。被害の歴史だけでなく、さまざまな葛藤を抱える人物として描かれていたのがよかった。

    というのも、主人公のマンクンクは、自分の民族の伝統や習わしに疑問を持つ反逆児だ。
    異人がもたらした衝撃に心を傷めながらも、その利用の仕方によっては、自分たちが行き詰まりから抜け出す機会になり得ると考えている。
    けれど、良くも悪くも自分のルーツからは逃れられない。そんな彼の孤独な戦いが心に残った。

    文字のない世界に生きる人々にとって、文字は知識や情報を伝え、蓄積するための道具であり、異人の「力」の象徴のひとつでもあった。
    その反面「思考を要約する記号」と作中では呼ばれるが、言葉にすることでさまざまなものが削ぎ落とされ、圧縮されてしまうのはわかる気がする。

    一生をかけて追い求めてきたものの正体に気づき、最後には言葉を手放すマンクンク。最後の2ページで、それまで読んできた物語の印象がガラッと変わった。物事を言葉にして説明できることと、本当にそれを「知る」ことは、同じではないのかもしれない。

    著者のエマニュエル・ドンガラが、旅をしながら15年かけて修正を繰り返し、日本でも数ページ執筆したというエピソードも素敵だ。訳者の高野秀行さんとこの物語の出会いも。
    アフリカ版『百年の孤独』とも呼ばれる本作。文庫化をきっかけに、こういう本に出会えたのは嬉しい。

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    2026年10月24日
  • 世界が生まれた朝に

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    高野秀行氏は翻訳の才も優れていた!!
    日本で1996年に刊行され、先月めでたく文庫化された『世界が生まれた朝に』。著者ご本人から「(日本に留学していた)弟に」と渡された本書の原本を帰りのフライトで夢中になって読み、帰国後は熱に浮かされたように翻訳されたという。

    他者宛の本を勝手に読むところなんかは高野氏らしいが、翻訳スキルは本当に大したものだった。
    ワードチョイスは美しく(星空の描写では眼前に大パノラマが広がったり…)、文章表現にはなんの違和感もない!
    本当にあの高野氏が訳したの?(普通に失礼) 彼のネームバリューに釣られ取り寄せたのに、読書中は私の知っている高野氏の面影を一切感じ取れなかった。

    舞台は、アフリカはコンゴ共和国。
    主人公のマンクンクはなんの前兆もなく、そして碧眼で生まれてきたことから、村人たちから奇異の目で見られながら育つ。それでもコンゴの大自然や村の生活に馴染んでいくマンクンクであったが、やがて身の回りの物事に囚われない偉大なる《知》や《力》を追い求めていく。

    「おまえ自身の中にうまくいってないことがあれば、ほんとうの意味で世の中とうまくいっているとは言えまい」(P. 34)

    自分なりにあらすじをまとめようとしたけど、めちゃ時間がかかりましたわ…
    マンクンクの頭の回転力や行動力が常人を逸していたし、そもそも生き方自体捉えどころがないように感じられた。一緒に行動していると、いつの間にか数メートル先を歩いてそうな神がかりっぷりで、彼を思い返す時にはいつもその輪郭が陽炎のようにゆらめいている。
    彼が生涯をかけて追い求めた《知》や《力》も人智を超えたものでいまいちイメージがつかなかったから、再読必至な予感もしている…

    「マシニ(マンクンクのこと)の国に現れたとき以来ずっとそうであったように、異人の政府はいかなる状況に対しても最終回答を一つしか持っていなかった。力だ」(P. 243)

    訳者あとがきでも言及されていたけど、植民地化されていくコンゴのありようが現代日本の「失われた三十年」と大いに重なった。
    ほんのわずかな食料や宝飾品でやすやすと自国を明け渡してしまう首長。(契約書が読めないだけでなく、目先の利益に目が眩んだのだろう) 「土地とそこに存在するもの一切を自分たちのものであると宣言しただけ」で領土を手にし、現地民に過酷な労働や処罰を強いる異人たち。
    「こうやって侵されていくのだ」と突き付けられたようで、物語と現実両方に怒りが湧いてきた。

    今後読む本の中に「力」をテーマにしたものがある。
    《知》や《力》の本質は理解しきれなかったけど、それらは人間の幸福のために使われるべきなのは確かだ。あのマンクンクをしても変えられなかった国の危機を、現実世界では一体誰がどのような「力」で対処するのか。
    その本の読後には、少しは本質を理解できているといいな。

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    2026年09月06日