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「村司侑」の「ソリティアおじさんがいた頃」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「村司侑」の「ソリティアおじさんがいた頃」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
親戚のたけしおじちゃんが亡くなったのは、
社会人2年目の冬だった。
私の実家は一階が車庫で、
その中に小さな事務所があった。
父の実家がやっていた電器屋の名残りみたいなもので、そこにはいつもたけしおじちゃんがいた。
ひいおばあちゃんの血の繋がらない息子。
私の親戚で、一番好きなおじちゃんだった。
学校から帰ると玄関に入る前に、
たけしおじちゃんのいる事務所に向かった。
おじちゃんは、当たり前のように「おかえり」と
言ってくれてその頃はディアゴスティーニが出してた戦艦大和の模型を作っていた。
「これおじちゃんが作ったの!?」
「そやで。綺麗に塗れとるやろぉ」
そう言って頭を撫でてくれた。
その手が分厚くて柔らかくて好きだった。
私が中学か高校の頃には仕事は辞めて、
事務所も潰して大きな車庫になった。
おじちゃんに会うのは、おじちゃんの孫が産まれた時とかそれくらいになった。
「たけしおじちゃん、大腸癌だったんだって」
おじちゃんが亡くなった連絡を親からもらった翌日。仕事を早退して行ったお葬式でそう聞いた。
あんなに近かったはずなのに、
気づいたらおじちゃんがどんなふうに生きて、
いつから癌と闘っていたのか、何も知らなかった。
日々の忙しさに自分が死んでいって、
大事な月日を忘れてしまっていたこと。
細くなったおじちゃんの体や顔、手を
まっすぐ見れなかった。
本作「ソリティアおじさんがいた頃」は、
深い接点のなかった会社の元社員「ソリティアおじさん」の訃報を聞いた主人公が、その死から自分の人生を考える物語だ。
ずっと、主人公は考え続けている。
考えている頭の中の声を聞かされているような物語の進み方に、妙な親近感が湧く。
「あー確かにな」
「それはちょっと違うんちゃうん?」
なんて、私も頭の中で考える。
主人公はソリティアおじさんの過去やプライベートな人生は知らない。
ただ、少しだけ身近な人の死を前にして、
どう生きてどう考えていたのかに思考を馳せて、
じゃあ私って?じゃあ私の恋人って?と付随させた自分の人生を考える。
私が知らなかったたけしおじちゃんの時間。
家族がいて、仲がよかったおじちゃん。
私たちのことも大事にしてくれたおじちゃん。
棺桶に入った「おじちゃん」だった身体。
もういない「おじちゃん」という人の考えや人生。
30歳。恋人と二人暮らし。
社会人に復帰できて半年。
たけしおじちゃん、私どんなふうに生きていくのが
いいと思う?
そんなこと聞かれても困るかもしれないけど。
子供の時、本当に仕事してんの?ってずっと思ってた、ごめんね。
ディアゴスティーニ、すごいと思ってたけど仕事いいの?って思ってたよ。
この作品のおかげで、
私もふと蘇る思い出があって、
少しだけ今の私に新しい気持ちが生まれる。
そんな思いにさせてくれる作品でした。