ソリティアおじさんがいた頃

ソリティアおじさんがいた頃

小説・文芸
1,800円 (税込)

9pt

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第175回芥川賞候補作

人生を切りひらく決断と成長の一手

京都にある味噌製造会社につとめるわたし。ある冬の寒い朝、出勤すると社内のあちこちでささやかされる噂にになつかしい名前を聞く。
「亡くならはってん、黒野田さん」
かつてわたしが心のなかでこっそり「ソリティアおじさん」呼ばわりしていた人が死んだ。
「火事やってんて」
ひょんなことからソリティアおじさんの通夜に参列したわたしは、ずるずると交際の続く恋人、将来の見通しのたたない仕事、それぞれに踏ん切りをつけるためある決断を下す。
軽妙な京都弁で女性の内面を鮮やかに描き、誰にでもある変わらぬ日常におとずれる些細な変化こそが、人生の行き先を変える様を控えめに、けれど確かに物語る胸に染み入る傑作小説。
ソリティアのように無数の選択肢がある人生で、わたしが選んだ次の一手。クリアとなるか、手詰まりか。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春e-book
  • タイトル
    :
    ソリティアおじさんがいた頃
  • タイトルID
    :
    2342579
  • ページ数
    :
    136ページ
  • 電子版発売日
    :
    2026年07月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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ソリティアおじさんがいた頃 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    親戚のたけしおじちゃんが亡くなったのは、
    社会人2年目の冬だった。

    私の実家は一階が車庫で、
    その中に小さな事務所があった。
    父の実家がやっていた電器屋の名残りみたいなもので、そこにはいつもたけしおじちゃんがいた。

    ひいおばあちゃんの血の繋がらない息子。
    私の親戚で、一番好きなおじちゃんだった。

    学校から帰ると玄関に入る前に、
    たけしおじちゃんのいる事務所に向かった。

    おじちゃんは、当たり前のように「おかえり」と
    言ってくれてその頃はディアゴスティーニが出してた戦艦大和の模型を作っていた。

    「これおじちゃんが作ったの!?」
    「そやで。綺麗に塗れとるやろぉ」

    そう言って頭を撫でてくれた。
    その手が分厚くて柔らかくて好きだった。

    私が中学か高校の頃には仕事は辞めて、
    事務所も潰して大きな車庫になった。

    おじちゃんに会うのは、おじちゃんの孫が産まれた時とかそれくらいになった。

    「たけしおじちゃん、大腸癌だったんだって」

    おじちゃんが亡くなった連絡を親からもらった翌日。仕事を早退して行ったお葬式でそう聞いた。

    あんなに近かったはずなのに、
    気づいたらおじちゃんがどんなふうに生きて、
    いつから癌と闘っていたのか、何も知らなかった。

    日々の忙しさに自分が死んでいって、
    大事な月日を忘れてしまっていたこと。

    細くなったおじちゃんの体や顔、手を
    まっすぐ見れなかった。

    本作「ソリティアおじさんがいた頃」は、
    深い接点のなかった会社の元社員「ソリティアおじさん」の訃報を聞いた主人公が、その死から自分の人生を考える物語だ。


    ずっと、主人公は考え続けている。
    考えている頭の中の声を聞かされているような物語の進み方に、妙な親近感が湧く。

    「あー確かにな」
    「それはちょっと違うんちゃうん?」

    なんて、私も頭の中で考える。
    主人公はソリティアおじさんの過去やプライベートな人生は知らない。

    ただ、少しだけ身近な人の死を前にして、
    どう生きてどう考えていたのかに思考を馳せて、
    じゃあ私って?じゃあ私の恋人って?と付随させた自分の人生を考える。

    私が知らなかったたけしおじちゃんの時間。
    家族がいて、仲がよかったおじちゃん。
    私たちのことも大事にしてくれたおじちゃん。

    棺桶に入った「おじちゃん」だった身体。
    もういない「おじちゃん」という人の考えや人生。

    30歳。恋人と二人暮らし。
    社会人に復帰できて半年。

    たけしおじちゃん、私どんなふうに生きていくのが
    いいと思う?

    そんなこと聞かれても困るかもしれないけど。
    子供の時、本当に仕事してんの?ってずっと思ってた、ごめんね。
    ディアゴスティーニ、すごいと思ってたけど仕事いいの?って思ってたよ。

    この作品のおかげで、
    私もふと蘇る思い出があって、
    少しだけ今の私に新しい気持ちが生まれる。

    そんな思いにさせてくれる作品でした。

    0
    2026年08月03日

    Posted by ブクログ

    結局謎は解明されないようだが、そこがポイントではないのか、意外なキッカケで様々なことが動き出していく。

    0
    2026年10月11日

    Posted by ブクログ

    お葬式は生者のための儀式だ、と改めて思った。本書は、主人公・瑠奈が「ソリティアおじさん」と心の中で読んでいた同僚・黒野田さんが亡くなり、自分の人生を見つめ直す話。琴美さんのキャラが個人的に好み。葬儀で笑えないブラックジョークを口にしたのには少々閉口してしまったけれど。現在、私は本書の主人公と同年代だが、私生活も仕事も拙い面がある。けれども、本書を読んで「明日からも仕事や生活を頑張ろう!」と私に再び前を向く力をくれた一冊。

    0
    2026年09月28日

    Posted by ブクログ

    まあ、ゆるゆる仕事していきましょう。仕事ないよりよっぽどいい。意外に職場の看板見上げると、なんだかんだで働いていることに気がつく。よく知らない彼氏の上司だっておじさんの葬儀を通じて動きが取れない現状の断捨離が進む。

    0
    2026年09月23日

    Posted by ブクログ

    文學界新人賞受賞時に誌面に掲載されたものを読んだ。

    ソリティアおじさんと呼ばれる(主人公・瑠奈が勝手に呼んでるだけ)元同僚が死んで、それによって起こる主人公の心の変化を描いている。
    といっても、ソリティアおじさんは瑠奈にとってそんなに近しい人ではない。ので、例えば身内が亡くなった時のような、そこまで大きな衝撃があるとかではない。ではないのだけど、それでも彼との少ない思い出を振り返って、考えて、それによって微妙に揺れた心が、自分の生活にも影響して……というのが丁寧に描かれている。京都弁の語り口も軽快で、この作品の雰囲気作りにとても効果的だと感じた。

    0
    2026年09月23日

    Posted by ブクログ

    そんな面白い話では無いんだけど不思議と読めてしまう、京都弁と主人公の独り言のおかげだろうか?知らんけど。

    0
    2026年09月16日

    Posted by ブクログ

    30年くらい前、昼休みにソリティアをしていたおじさんを思い出した。
    仕事中もしていたのかなと思ってしまった。
    物語は、火事で亡くなったソリティアおじさんのことが元職場の女性の京都弁でテンポ良く語られる。「知らんけど」と言う方言が何回も出てきて、懐かしい。
    印象的な文章
    ⒈焼かれたというのでもなく、焼いたというのでもなく、ただ焼けたのだと思えば、だれのせいでもなく、事実を事実のまま受け止めることができる。
    ⒉人生が行き詰まるのではない、人間の思いが行き詰まるのです。

    0
    2026年08月24日

    Posted by ブクログ

    京都の老舗味噌会社で働く女性が、仕事中にソリティアばかりしていた元同僚おじさんの訃報を受け、日常を見つめ直す。

    手詰まりになればやり直す「ソリティア」が、停滞気味の主人公の現状と静かに重なる。葬儀という非日常を通して、同棲相手との関係が浮き彫りになり、小さな決断を下す姿にリアリティを感じます。

    独特なテンポの語りや登場人物の京都弁も心地よい。人生のふとした立ち止まりを肯定し、そっと背中を押す物語。

    0
    2026年10月04日

    Posted by ブクログ

    日常の職場の同僚の話から、自分の将来、彼氏の話などなど。
    自分も色々考えた時もあるなぁっと思って読んでました。
    1つ、関西弁?で書かれているのがちょっと読みづらかったかなぁ、まぁ人によると思いますが……。
    タイトルが気になっていたので、読んでみて良かったです。ぜひ興味ある方は読んでみて下さい。

    0
    2026年10月03日

    Posted by ブクログ

    朝日新聞の書評が
    うっとりするくらい
    素敵だったので
    読んでみました

    京都弁が
    はさまれており
    慣れると
    とても自然にサクサクと読めました

    主人公の世界に
    スーッと入り込めて
    本を閉じたときには
    サーッとその世界から出てこられる
    軽くて
    心地よい読後でした

    この方は短編は書かれてないのかな?
    もしあれば
    読みたいー
    と思いました

    0
    2026年10月03日

ソリティアおじさんがいた頃 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春e-book
  • タイトル
    :
    ソリティアおじさんがいた頃
  • タイトルID
    :
    2342579
  • ページ数
    :
    136ページ
  • 電子版発売日
    :
    2026年07月07日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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