青井博幸
1960年東京生まれ。京都大学大学院原子核工学専攻修士。フロリダ工科大学(MOT)修了。エンジニアリング会社勤務後、地ビール会社を創業。現在はアオイ&カンパニー株式会社代表取締役として経営コンサルティングを手がける傍ら、グロービス経営大学院教授を務める。全国地ビール醸造者協議会顧問
「勝ち続けるために「分析」をし、「定石」を学ぶ 序章では、「いい戦略とは勝てる戦略だ」と断言しました。では、「勝てる戦略」をどのように作り、実際にどのように勝っていけばいいのでしょうか。しかも、将来にわたって勝ち続けていくにはどうすればいいのでしょうか。「戦略的思考」とは、それを考え続けていくことだと言えます。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「 逆に、いかに斬新で魅力的な戦略であっても、それまでの定石を採用する競合相手に勝てそうになければ、いい戦略とは言えそうにないですよね。このように、定石は、新しい戦略が有効かどうかを試すための試金石にもなります。 つまり、定番的な定石を学ぶことは、「そうしなければならないから」という理由ではなく、むしろ、将来に向けてより良い戦略を考えていくための「評価基準」として考えることが非常に重要で、それが「戦略的思考」のファーストステップとなります。過去の分析に引きずられすぎてもいけない 戦略を考えるとは、将来の勝利を思い描くことです。このことから、戦略的思考には宿命的に、未来についてどうしたらいいかを考えなければならないという、特有の難しさが付きまといます。どんなにデータを取っても、それは現在および過去のデータに過ぎず、未来のデータというものはありません。ですから、おのずと分析にも限界があって、策定には必ず不確実性を伴うわけです。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「一度決めた戦略は変更してもいい いい戦略を立てて実行したら、もう何の心配もいらないでしょうか。 戦略は一回立てたら終わり、というものではありません。じつは、それは始まりに過ぎず、状況に応じて流動的に戦略を見直し続けなければならないのです。 スポーツでも、相手チームはこちらの作戦に応じて、負けまいとして対抗策を講じます。その上をいくためには、自分たちもそれに合わせてどんどん戦略を変化させていかなければなりません。 サッカーチームの例だけでも芸がないと思われるかもしれませんから、ここでは、気に入っている女性に自分をできるだけアピールすることを目標にした戦略立案を考えていきます。それによって、戦略の必要性がいかに日常的なことであり、普遍的なことかということもわかっていただけると思います。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「もちろん、世の中には自社のことだけを考えて戦略を立てている企業もたくさんあると思います。しかも、それでうまく成功しているように見えることもあるでしょう。でも、それはたまたまうまくいった例でしかないかもしれません。 論理的には、ある成功がたまたまでないという証明は、できないことが知られています。つまり「これで成功した」ということは世の中でたくさん言われていますが、それらはすべて、そうではないかもしれない可能性をはらんでいるのです。「この戦略だから成功した」というのもそうで、それ以外の要素の影響を排除できないからです。逆に、「これで失敗した」という敗因の証明はいくらでもできます。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「 そして M B Aでは、経営戦略をより勝率を上げていくための「考え方」として学びます。分析や定石の丸暗記をすればいいというわけではありません。これは、多くの人に誤解され、また見逃されやすいところなので注意が必要です。前にも触れましたが、経営戦略は、すべからく「戦略的思考」として学ばれなければならないものなのです。 たとえば仮に、天才経営者がいれば、 MBAで経営戦略など勉強しなくても、天才に従うだけでいいのでしょうか。もし、本当にずっと勝ち続けられる天才であれば、その天才にとっては、 MBAで経営戦略を習う必要は実際にないかもしれませんね。 ただ、自身が天才でないのであれば、天才と言われる人の戦略を理解し分析できるようになるためにも、やはり経営戦略を学ぶ必要があります。たとえば、本田宗一郎や松下幸之助、スティーブ・ジョブズのような天才的と言われる経営者も、やっていることが他の経営者と極端に違うかといえば、そんなことはないと思います。後世の私たちから見て定石となりえることを、無意識かもしれませんが本来的にあらかじめ理解していた、ということなのだと思います。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「MBAに経営戦略のカリキュラムがある目的は、天才経営者が過去にやったことを分析できるようになって、誰もが理解できるようにすることです。私を含むごく普通の人が、天才・秀才たちが残してくれた定石を実践できるようにトレーニングできるのですから、こんなに贅沢なことはないともいえるのではないでしょうか。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「経営で「差別化」と言う場合は、お客さんにとっての価値を上げることを具体的に指します。だから、「他の商品とは違う」というだけでは差別化とはいえません。たとえば、商品の色をガラリと変えても、お客さんが「これ、いいね」と思わなければ意味がないということです。お客さんがそれにもっとプレミアムを払ってもいいと思った時に、初めて経営的な意味で差別化されたといえます。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「1 成熟期のプレイヤーの行動 リーダーは、その業界のスタンダードを定義することができ、それによって、大きなアドバンテージを得ることができます。 品質や価格の基準を決め、それを代表的な商品として顧客に認知してもらうことで大きなイニシアティブを握ることができるということを、これまで説明してきました。 たとえば、コーラ飲料市場において、コカ・コーラは代表的であり、それ以外のコーラ(的)飲料は事実上、コカ・コーラを基準として特徴をマッピングされます。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「なぜなら、ほとんどの人が「いいね」というものは「常識」かもしれないからです。常識とは、先入観や固定観念と同じことです。転職した経験がある人ならわかると思いますが、入社した会社で「ウチの会社では常識だよ」と言われたことが、もといたところでは常識ではなかった、ということがよくあります。 つまり、常識とは自分とそのまわりの人が共有する固定観念に過ぎません。別の人たちには別の固定観念があり、ほかの固定観念を偏見だと思っていたりするものです。グローバルで進化のはやい現代のビジネスパーソンにとって、常識とは、それを言う人がそれまでの人生で身につけた偏見に過ぎないと考えたほうがよさそうです。 斬新なアイデアを阻害する一番の大きな要因は、先入観や常識だと思います。新市場を創出するためには、常識は覆されなければなりません。そうできたならば、ライバル企業はあらかじめ予測ができず、対処も難しくなり、腕組みをして唸るしかなくなります。ここで、非常に大きな戦略上の優位性も創出されるのです。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「一見、繋がりがないように見える分野が、じつは同じ論理構造を持っているということがわかれば(気づけば)、その分野で今までに展開されていなかった新しいビジネスモデルを強固に構築したり、あるいは推論により帰結を予想することで、大胆な施策(あるいは戦略)を打ち出すことが可能になるのです。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「「でも、仕事中に楽しいと思うなんて、不謹慎なのでは?」 こう考える人も多いでしょう。でも本当に「楽しい =不謹慎で不真面目」なのでしょうか。 いいえ、そんなことはありません。むしろ、仕事は楽しむほうがうまくいくのです。 スポーツでは、完全にのめり込んで集中している状態、いわゆる「ゾーン」に没入すると、すばらしいパフォーマンスを発揮することがわかっています。これは、心理学で「フロー」とも言われ、無我夢中でそのことがやりたくて仕方ない状態です。これは、スポーツに限ったものではありません。仕事でも同じだと思います。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「ところで、先ほど日本人に多いと説明した「その仕事は嬉しくないが、やるべきだと判断してやっている」人は、実は真面目すぎる傾向にあるのです。 仕事で「楽しい」「ワクワクする」と感じることは大切ですが、それは決して「不真面目であれ」と言っているわけではないのです。仕事をサボったり、会社に損失を与える人はいい社員とは言えません。 最近、真面目ということが敬遠される傾向にあるようですね。でも、真面目なことは大切です。困ってしまうのは、真面目すぎる人、融通が利かない人です。 真面目すぎる人は、仕事に対して義務感を持っています。でも、これがアイデアを出す時に邪魔になるのです。「計画通りに仕事を進めなければいけない」「脇道にそれてはいけない」「何事も効率を追求して、ロスは出さない」といった考えを持っているので、楽しく仕事をするなんて、それに比べれば意味のないことと感じてしまうのです。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「アップル社を率いた故スティーブ・ジョブズ氏は、スタンフォード大学での有名なスピーチのなかで「 Stay hungry, Stay foolish!」と言いました。精神的にハングリーであれ、馬鹿っぽくあれ、ということですが、まさにそうであるべきだと私も思います。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「 まず、「自分は何が楽しいか」を考えて、それを極めてみるといいでしょう。 ブルーオーシャンでは、未来のお客さんが喜ぶモノを提供しなければなりません。そのためには、「人々は、どういうことをしたら喜ぶだろうか」「何が楽しいのか」を知ることが大切です。自分が楽しいと思うことを徹底的にやってみると、他の人が喜ぶことも見えてくるものです。 ワクワクできるし、アイデアも浮かぶ。これができる会社なら、言うことなしです。 また、よく言われることですが、仕事にやりがいがあると「楽しい」と感じます。また、楽しい気持ちでいれば、セレンディピティも訪れやすいのです。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著
「 哲学的な話になってしまいますが、人間は何で生まれて、ここにいるのでしょうか。私は、みんな幸せになるために生きているのだと思います。十 ~二十代に働き始めて六十代まで、人によっては六十代を過ぎても働きます。少なくとも、二十 ~五十代という、人間として非常に活躍できる時期の半分以上を仕事に費やすわけです。その時間が幸せかどうか、ということは、その人の人生が幸せだったかどうかに大きな影響を与えるでしょう。 だから、会社は、社員が働いている時間は「みなさんの貴重な時間を預かっているのだ」と認識して、そこに敬意を払ってほしいと思います。」
—『グロービスMBA集中講義 [実況]経営戦略教室』グロービス著