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  • 知性の未来―脳はいかに進化し、AIは何を変えるのか―

    知性の未来―脳はいかに進化し、AIは何を変えるのか―

    ビジネス・実用

    4.5
    1巻3,960円 (税込)
    40億年前にDNAが誕生し、ニューロンが発生して脳になり、やがて人間の脳が言語を発明する……生命の壮大な歴史を、AIの最新の研究成果と比較しながら辿り直し、5つのブレイクスルーが知性を発展させてきたことを解き明かす。そして今、「第6のブレイクスルー」が目前に迫る――。異能のAI起業家が到達した「必然的ビジョン」。

ユーザーレビュー

  • 知性の未来―脳はいかに進化し、AIは何を変えるのか―

    Posted by ブクログ

    脳の進化を生物の進化と人工知能の発展を追って解明するものだが、このような捉え方をするとこれほどまでにわかりやすいものかと思った。これまでに読んだ本の中でも、5本の指に入るし、世界観も大きく変わった。

    5億5000万年前に出現した左右相称動物に、移動の方向を選択するための統合センターとして脳が生まれた。ドーパミンは、将来の良いことを予期するシグナルとして、ノルエピネフリンやエピネフリン(アドレナリン)などは逃走の感情を引き起こす負の情動価の刺激によって放出される。世の中の物事を良いものと悪いものに分類する情動価とともに、条件反射のような連合学習も生まれた。

    脊椎動物では、脳は前脳、中脳、後脳の3つに分かれ、前脳は皮質と大脳基底核、視床と視床下部に分かれた。視床下部には情動価ニューロンがあり、個体にとって良いことを引き起こす。皮質はパターンを認識して空間地図を構築し、大脳基底核は試行錯誤によってドーパミンの放出を最大化するような行動を繰り返すことを学習する。好奇心は、すべての脊椎動物に見られることから、初期の脊椎動物で生まれたと考えられ、驚き自体がドーパミンの放出を誘発する。脊椎動物の皮質は、匂いを認識する外側皮質、視覚や聴覚のパターンを学習する腹側皮質、視覚シグナル、前庭シグナル、頭方向シグナルを混ぜ合わせて空間地図に変換する内側皮質に分かれた(それぞれ哺乳類では臭覚皮質、偏桃体、海馬に進化した)。

    哺乳類は新皮質を発達させ、ことが起こる前にそれをシミュレートする能力を獲得した(鳥類も独自にシミュレートする能力を獲得した)。人間の脳では、新皮質が7割を占めている。ヘルムホルツは、人間の近くの多くが推論過程、すなわち生成モデルを用いた世界の内的シミュレーションと感覚的証拠を一致させる過程だと考えた。新皮質の微小回路が生成モデルを実装している証拠はたくさんあり、錯視や幻覚、REM睡眠で夢を見たり、想像することができることも理解できる。睡眠は生成過程を動かすことで、生成モデルを安定させている。新皮質は世界の予測マシンであり、周囲の物事が動くときに次に何が起こるかを予測するため、個体を取り巻く世界を再構築する。エピソード記憶も、おおよその過去を改めてつくるようなシミュレーションで、未来を想像する時と同じ神経回路を使っている。

    人間の前頭葉には、無顆粒前頭前野(aPFC)、運動野、顆粒前頭前野(gPFC)の3つの領域があり、この順番で進化した。新皮質はニューロンが6層になっているが、無顆粒前頭前野では、その第4層が欠けている。無顆粒前頭前野は、大脳基底核の選択を観察することによって、個体の行動の意図を予測していると推測される。意思決定の方法には2つあり、動物心理学では「習慣型行動」と「目標駆動型行動」、カーネマンの「ファスト&スロー」では「システム1」と「システム2」、AIでは「モデルフリー」と「モデルベース」と表現されるが、それぞれ前者は刺激によって直接引き起こされる自動的な行動で、大脳基底核によって直接コントロールされる習慣であり、後者は行動がどのような未来をもたらすかを無顆粒前頭前野で検討し、目標を持ったもの。前頭葉の機能として、注意、ワーキングメモリ、実行制御、計画の4つが割り当てられているが、これらの機能は新皮質のシミュレーションをコントロールすることに使われている。運動野は、動物が新しい動きをする時に、その身体動作を事前に計画し、シミュレートして大脳基底核を訓練するもので、有胎盤類で出現した。

    果実性の霊長類は、食料探しに多くの時間を割く必要がないため、自由時間が増えた。今日の霊長類は、時間の20%を社交に費やしている。政治的手腕の争いの結果として、他個体の意図や知識を推測する「心の理論」が出現した。霊長類の前頭前野には、顆粒前頭前野と感覚野の新しい領域が加わった。顆粒前頭前野は、自分自身について考える時に活動していることから、自分自身の内的シミュレーションを行い、「心」をつくっていると推測される。つまり、その個体が何を望み、何を知り、何を考えているかの説明を構築している(メタ認知)。顆粒前頭前野の大きさは、社会的ネットワークの大きさと相関していることから、他人の心をモデル化する能力も担っていると推測される。他者の動きをシミュレートし、自分でやるところを想像することによって、他者がなぜそれをしているのかを理解することができる。将来の必要性を予測するメカニズムも、現在とは異なる状況にある人の意図を推測するように、心の理論を働かせている。

    霊長類の身振りは、集団間でも異種間でも共通しており、遺伝的に生まれるもの。物体や行動に任意のラベルを割り当てる宣言的ラベル付けは、人間以外の動物には見つかっていない。ブローカ野は、音声・筆記を問わず言語を生み出す能力に関わり、ウェルニッケ野は言語を理解する能力に関わる。どちらも他の霊長類にも存在するが、コミュニケーションには使われていない。人間の運動野は、咽頭と声帯を制御する脳幹に直接つながっており、その点で類人猿とは異なる。乳児は、声を出した後に間を取って親の反応を待つ。こうした身振りと発声を交互に行うことは遺伝的に組み込まれており、これが言語を学ぶ能力となっている。乳児がある物体と母親を交互に見たり、物体をつかんで差し出したり、指差して親を振り返ったりするのは、他者と注意を共有してラベル付けしようとするため(ジョイント・アテンション)。

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    2026年10月23日
  • 知性の未来―脳はいかに進化し、AIは何を変えるのか―

    Posted by ブクログ

    星4.5くらい
    AIと人間の差は何なのか?人間には簡単にできるけど、AIにできないのはなぜか?
    そんな疑問を突き詰めて、そもそも人間はどう進化してきたのか、その歴史を紐解いた。
    専門家ではないからこそのわかりやすい整理になっていると感じた

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    2026年08月13日
  • 知性の未来―脳はいかに進化し、AIは何を変えるのか―

    Posted by ブクログ

    知的好奇心が満たされるという点において、今年一番の本と言い切れる内容でした。私のように人の心や感情はどうして生まれたのか、またそれらの能力は人間だけが科学を超えて手に入れたもの?なんて疑問を持っている人は、かなりの部分で仮定を含むものの謎解きがされていますので必読です。
    脳の進化の過程とその背景が人口知能AIの発展と密接に関連していることにも驚かされ、AIの見方が変わりました。人の脳とは同じではないですが、かなりの部分でそれを模倣し一部は脳を凌駕している点などAIのこれからの進化を想像する助けとなる内容がてんこ盛りです。
    人のココロとAIに興味がある人にはとても面白い本だと思います。
    それを1人で本にまとめた著者はスーパーマンだと思います。

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    2026年08月07日
  • 知性の未来―脳はいかに進化し、AIは何を変えるのか―

    Posted by ブクログ

     脳が知性を直接記述することには、主体と客体が同一であることに起因するある種の心地悪さが付きまとう。果たして、脳が脳自身のやっていることを客観的に把握できるものだろうか…そのような自己言及の検証に不毛さが伴うことは避けられないだろう。しかし、今の我々にはAIがある。それを脳の鏡像として扱うことの是非は議論を俟たねばならないだろうが、都合の良いことに我々はAIが何をやっているのか理解はできるので(今の所は)、その働きを脳に当てはめて記述することは十分可能だし説得力もあるだろう。本書はそのような思想の下、AIと生物の脳の発達の歴史を紐解き、それぞれが現在のような能力を獲得するに至るまでに経過した飛躍点(ブレークスルー)を記述しながら、知性のリバースエンジニアリングを試みる本。

     面白いのは、脳やAIの機能が進化していくにつれ、それが全体として単一の「格」として機能を獲得するのではなく、脳の各部位がいったん別々の機能を担い、それぞれがお互いの機能を牽制したり調整したりして新たなブレークスルーを生み出してきたように思えるところだ。 

     例えば、線虫が持つ正の情動価に興奮するニューロンは、別の神経調節性ニューロンがチューニングしている。また、情動価に対し反射的に反応する視床下部という「批評者」を満足させるべく、大脳基底核は「行為者」としてドーパミン放出を最大化させる行動をとる。モデルフリーである感覚野が想像しシミュレートした選択肢を、自己モデルを持つaPFC(無顆粒前頭前野)が大脳基底核に提示し、最も大脳基底核が興奮する行動を選択するよう仕向けることで、aPFCは大脳基底核を代理的に訓練する。霊長類が発達させたgPFC(顆粒前頭前野)は自らの心をモデル化し、それを他者や未来の自分に投影して将来予測に役立てる…。

     これらの例はいずれも脳のある部分がモジュールとして機能し、そこからフィードを受ける他の部分がそのモジュールの振る舞いを解釈した上でフィードバックするという、脳の多極的かつ動的な構造を示している。しかも、それぞれのモジュールは本書が「ブレークスルー」と表現する生物進化上の脳のアチーヴメントでありそれ自体奇跡的と言えるほど完成度の高いシステムなのだが、それをさらにメタ的に俯瞰し全く次元の異なる価値に繋がる視座を、脳は進化の過程で絶え間なく獲得し続けてきたのだ。そしてこの驚くべき自律的なプロセスが、強化学習や生成AIなどの発展の過程と全く相似形をなしている、というのが本書の提示する極めて興味深い視座である。

     考えてみればこの「完成度の高いシステムをメタ的な視点で捉え直し、さらに良いものを目指す」というのは我々が常日頃から行なっていることでもある(昨日のサッカーの試合での俺のプレーはどうだった?業務フローに抜けている点はないか?)。そうだとすれば、AIのような現時点での最高到達点と言える技術がそれと同様のプロセスを経て出来上がったのも決して驚くに値するものではないのかもしれない。そして、AIも我々が作り上げたモジュールの一つでしかないことに鑑みれば、いずれその一次上のメタ的なモジュール(それが何なのか全く理解を超えるが)の発生を待たねば新たなブレークスルーを獲得することはできなくなる地平が、やがて到来するのだろう。

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    2026年07月05日
  • 知性の未来―脳はいかに進化し、AIは何を変えるのか―

    Posted by ブクログ

    知性について、脳機能の生物的発展とAIの発展とを比較しながら記述。
    まず生命が生まれ、生き残るためにエネルギーのある方向に向かう能力ができ進化した。この〇×を予測する体内化学物質がドーパミンで、これに引っ張られる。ここに時間の疑念ができて大脳基底核で指示を調整する。
    脳内でシミュレーションができるようになってきたのは脊椎動物と思われる。霊長類では、心の理論が生まれている。人間は言語を生むことで、心の理論と泡さて、社会的、時間的な進化を続けることができるようになった。そして今aiの時代を迎えて、能力の制限が取っ払われて、進化する時代になった。超知能がその答えか、あるいはそれもどのようなものであるかはわからないが、価値に重きを人間としては置かないといけないだろう。

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    2026年04月16日

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