カルステン・ヘンの作品一覧

「カルステン・ヘン」の「本と歩く人」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 本と歩く人

    本と歩く人

    小説・文芸

    4.2
    1巻2,673円 (税込)
    老書店員と少女が織りなす現代のメルヒェン 本を愛し、書物とともにあることが生きがいの孤独な老書店員が、利発でこましゃくれた九歳の少女と出会い、みずからの閉ざされた世界を破られ、現実世界との新たな接点を取り戻していく物語。 老舗の書店〈市壁門堂〉に勤めるカール・コルホフは、特定の顧客にそれぞれの嗜好を熟知したうえで毎晩徒歩で注文の本を届け、感謝されている。カールは顧客たちをひそかに本の世界の住人の名前(ミスター・ダーシー、エフィ・ブリースト、⾧靴下夫人、朗読者、ファウスト博士など)で呼び、自らの暮らす旧市街を本の世界に見立て、そこで自足している。 ある日突然、シャシャと名乗る女の子がカールの前に現れる。ひょんなことからカールの本の配達に同行するようになり、顧客たちの生活に立ち入り、カールと客との関係をかき乱していく…… 歩いて本を配達するふたりの珍道中と、曲者揃いの客たちとの交流、そして思いがけない結末を迎えた後はほのぼのとした読後感に包まれる。読書と文学へのオマージュといえる、いわば現代のメルヒェンのような作品。 二〇二〇年の刊行後、ドイツで一年以上にわたりベストセラーの上位を占め、六十万部を記録した。現在、三十五か国で翻訳されている。 【目次】 第一章 独立の民 第二章 異邦人 第三章 赤と黒 第四章 大いなる遺産 第五章 言葉 第六章 未知への痕跡 第七章 夜の果てへの旅  謝辞/訳者あとがき

ユーザーレビュー

  • 本と歩く人

    Posted by ブクログ

    本好きの魂が震える、温かさと希望に満ちた最高の一冊。

    読み終わったあと、「本当に良い本を読んだ!」という幸福感と心地よい高揚感で胸がいっぱいになった。
    本を愛するすべての人に、心からおすすめしたい作品。

    主人公のカールが、顧客たちの抱える苦しみや閉塞感を、ひょんなことから知り合った少女・シャシャと協力しながら本を通して解きほぐしていく前半は、まるで曇り空が綺麗に晴れていくような明るい希望に満ちている。
    「ただ面白い」という枠を超えて、自分と同じように本を愛し、その力を信じている「同志」と楽しさや尊さを分かち合えたような、深く満たされる感覚を味わえた。

    だからこそ、後半でカールが陥る孤独の描写には、心が激しく掻き乱された。
    前半の光が眩しかった分、その影の濃さが引き立ち、胸が締め付けられるほど切なくなった。
    けれど、そこからの展開と読後に待ち受ける極上の余韻は、本当に素晴らしくて温かかった。

    わかり合えない関係も描かれていて、単なる綺麗事のファンタジーではない、現実のほろ苦さがある点も良かった。
    登場人物たちの人間関係を通じて、「人はいつからでも新しく変われるし、逆に環境が変わってもこれまで通りの自分を貫くこともできる」という、それぞれの生き方が優しく肯定されているように感じる。

    相手のすべてをコントロールしようとするのではなく、違いを認め、そっと寄り添う。
    相手の全部を知らなくても、人と人は確実に繋がっているし、思い合える。
    そして、その温かい繋がりの真ん中に、いつも「本」がある――。
    本好きにはたまらない、生涯宝物にしたいと思えるような一冊との出会いに感謝。

    0
    2026年09月28日
  • 本と歩く人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すごいすごい!久々の★5!本好き、ドイツ好きには堪らない。話がサクサク進むのでダレない。映画版は全然別人だと思ったけど、表紙のカールとシャシャは本人じゃん。

    賢い老人と活発な少女の掛け合いが小気味良い。子どものシャシャだからこそカールにぬけぬけと叱責できるのも良いし、子どもに戸惑っていたカールが徐々にシャシャを良き相棒と思っていく流れがあまりにも自然。シャシャの良さを父親に伝えようと、本の虫を描けることを挙げるあたりも面白い。カールが老人らしく怒りに振り回されないので大人だなと思った。この領域に行きたい。

    タイトルと雰囲気からして全体的にハッピーなのかと思いきや、良い塩梅でまあまあの辛さを挿入してくれるのでご都合主義感が薄れている。けれどもハッピー・エンドなので安心されたし。ただ、カールの怪我が治るかどうかだけ気になる。シャシャの父親はもう一生牢屋では?ただ父親の言い分は正しいので、悪役一辺倒でもないのが憎い。サビーネ・グルーバーの方が嫌われるだろうな。

    猫のイヌとか概念からして愛したい。なんだか堪らない。どうしてそんな存在を思いつけるの。

    0
    2026年09月09日
  • 本と歩く人

    Posted by ブクログ

    本とともに生きてきたカール。
    年老いて、勤務する書店のボスも代替わりして、
    何かと煙たがられる存在に。
    しかし、本を注文してくれて、それを届けるお客様はまだいる。毎日決まった時間に、その人のために考え、歩いて届けている。
    まるで巡回しているように。
    訳ありのお客様ばかり、お店に行かれるような状況でもない人や、カールと話をして何かを得ている人ばかり。皆なにかに閉じ込められている。
    カールもまた、小さな町に閉じこもったままでいる。
    ある日、突然に天使が降ってきたように、小さな女の子がカールと巡回をともにするようになる。
    彼女もまた、閉じ込められているひとりだった。
    天真爛漫、可愛らしい彼女の態度に戸惑いながら、その賢さ、素直さに惹かれ、振り回されることに喜びを感じていく。
    老人と少女、凸凹コンビがなにかを変えていく。
    変化はよいことばかりではなく、ドキドキしたり
    ワクワクしたり、えー!そんな!と嘆いてみたり
    一緒になって町を徘徊している気分だった。

    本と人の関わりを通して、大切なものを教えてもらったような、本好きにとっては素敵な物語。

    そしてこの緑の装丁!
    冒頭で店のお客様である、シェーファーの大嫌いな緑の表紙!なかなかシャレが効いている。


    0
    2026年07月29日
  • 本と歩く人

    Posted by ブクログ

    本と老人と少女の物語
    本の存在意義が語られる部分が多い
    書店に仕事で行くことが多く、感じ入る言葉がいくつもあった
    何より、「すべての本屋さんへ」から始まる献辞が良かった

    0
    2026年06月02日
  • 本と歩く人

    Posted by ブクログ

    すばらしいの一言。
    最初から最後までずっと優しいおだやかな文章が続き乾いた気持ちにそっと染み込んでいくような本です。

    本当に素晴らしかった。

    心に一番響く本こそ手放さなくてはいけないんだよ。他の人たちもその中に幸福を見つけられるようにね

    すごく印象に残る一文です。
    読み終わった後は私の中にもシャシャが出てくるようになりました。

    たくさんの人に届きますように。

    0
    2026年05月10日

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