講談社タイガの作品一覧
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小説・文芸
Posted by ブクログ
ここ最近読んだホラーアンソロの中では一番好き。
それぞれの話がどれも抜かりなく嫌。テーマにちゃんと沿った上で本当に嫌。素晴らしい。
最後のQRコードも、本編が最悪だからこそちゃんと輝いている。こういうのはもういいよって食傷気味なあなたにも読んでほしい。
ギニーピッグの瘡蓋/梨
男性妊娠切腹ロマンポルノホラーという触れ込みがもう気になって気になってしょうがなかった。なんだよそれってちょっと面白半分で読んだけど、読み終わってみたらそれはもう男性妊娠切腹ロマンポルノホラーとしか言いようがない作品だった。私はここに恋心を見ました。芽吹く前に永遠に始まることができなくなった恋を。そう考えたらビンは自分の夢を叶えた上に熱烈なファンまで得て、それはもう幸せなのではと思うのです。それはそれとしてこれが許されるのは違うだろという気持ちもある。
じゃんけんちゃん/朝倉宏景
この手の仕掛け自体はよく見かけるんだけど、説得力がちゃんとあって、嫌さにとても寄与しているので読んでて楽しかった。幼さは愚かさではなくて、本当に純粋に信じたいっていう切実さがこの結果になったんだと思うと、許せないよ、親のことがさあ......
にこにこ/和田正雪
じゃんけんちゃんとこの話と次の観察記録は譲るの使い方が全く同じな訳なんだけど、三つの中だとこの話が一番現代怪談っぽいなと思った。アイドルの変なファン。なんで自分を好きかも分からない、一瞬の触れ合いを繰り返すファンという存在ってよく考えると確かに怖い。別に幽霊じゃなくたって、分からない怖さ自体はあるもんね。そういう恐怖心のヒビみたいなものを思い切り広げてみました!っていうのが上手くて好き。
観察記録/八方鈴斗
惨いねえ〜。私はある種これをカニバとして読みました。
良かれと思ってやった全てが自分と結衣を取り返しがつかないくらいぶち壊しているということを知った時の絶望感ったらない。自ら選択して全てを行なったというところがまた最悪さに拍車をかけていて、一周回って気持ちよさすら感じるくらいだ。どれだけ言い訳しても、最後の最後で破壊することも死ぬこともできずに他人に押し付けようとしている時点で軽蔑されて当然なんだよなこいつ。でもそういう弱さが人間らしくて可愛い。
いないのと同じ/尾八原ジュージ
ジュブナイルに隠された救いのなさの塩梅が絶妙。お譲りしますの使い方も好きだった。条件を踏まないように、関わり合いを持たないように。そういうルールを踏まえたバッドエンドとグッドエンドを並行して見られるのエンタメとしての楽しさがすごかった。
佐々原くんはもうずっと前に手遅れだったんだろうから、関わり合いにならないという選択肢は完全に正しいのに、どうにも寂しくて苦しい気持ちにさせられてしまう。
いないのと同じって割り切るのって難しいよね。
Posted by ブクログ
テーマは「霊感の譲渡」。
霊感を譲られる人、霊感を譲る人。
欲しい人、欲しくない人、必要な人。
『謹んで、嫌なはずのものを渡す』というたった1文に物語を感じるあたり、テーマ設定の妙を感じます。
アンソロとして全体の完成度が高く、どの作品も一定して読みやすいです。
怪異もヒトコワも楽しめる。
ただ、なにせテーマが「霊感の譲渡」なのでイヤミスならぬ、嫌な気持ちになるホラー目白押しです。
後味は基本的に悪いです。面白いけど。
ゴア表現が強めの作品も多いので、苦手な方もいるかも。
悪意の方向性が平山夢明の作品を思い出しました。
個人的には尾八原ジュージさんの「いないのと同じ」が好きでした。
考えると、ホラーが好きな自分も霊感ほしいとは思わないのはそりゃそう。
怖いものはたまに覗き見る位が丁度いい、というのはわがままな話でしょうか。
でも、生きていたらどのタイミングで霊感が欲しくなるかなんて分からないですよね。
譲ってくれる人がもし現れたらどうするかな、とか考えてました。
QRコードは、実際にサイトに飛ぶと楽しめます。
梨さんが参加してる時点でこうなる予感はしてました。譲り先を探します。