講談社タイガのレビュー一覧

  • ■■謹んでお譲りします。

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ここ最近読んだホラーアンソロの中では一番好き。
    それぞれの話がどれも抜かりなく嫌。テーマにちゃんと沿った上で本当に嫌。素晴らしい。
    最後のQRコードも、本編が最悪だからこそちゃんと輝いている。こういうのはもういいよって食傷気味なあなたにも読んでほしい。

    ギニーピッグの瘡蓋/梨
    男性妊娠切腹ロマンポルノホラーという触れ込みがもう気になって気になってしょうがなかった。なんだよそれってちょっと面白半分で読んだけど、読み終わってみたらそれはもう男性妊娠切腹ロマンポルノホラーとしか言いようがない作品だった。私はここに恋心を見ました。芽吹く前に永遠に始まることができなくなった恋を。そう考えたらビンは自分の夢を叶えた上に熱烈なファンまで得て、それはもう幸せなのではと思うのです。それはそれとしてこれが許されるのは違うだろという気持ちもある。

    じゃんけんちゃん/朝倉宏景
    この手の仕掛け自体はよく見かけるんだけど、説得力がちゃんとあって、嫌さにとても寄与しているので読んでて楽しかった。幼さは愚かさではなくて、本当に純粋に信じたいっていう切実さがこの結果になったんだと思うと、許せないよ、親のことがさあ......

    にこにこ/和田正雪
    じゃんけんちゃんとこの話と次の観察記録は譲るの使い方が全く同じな訳なんだけど、三つの中だとこの話が一番現代怪談っぽいなと思った。アイドルの変なファン。なんで自分を好きかも分からない、一瞬の触れ合いを繰り返すファンという存在ってよく考えると確かに怖い。別に幽霊じゃなくたって、分からない怖さ自体はあるもんね。そういう恐怖心のヒビみたいなものを思い切り広げてみました!っていうのが上手くて好き。

    観察記録/八方鈴斗
    惨いねえ〜。私はある種これをカニバとして読みました。
    良かれと思ってやった全てが自分と結衣を取り返しがつかないくらいぶち壊しているということを知った時の絶望感ったらない。自ら選択して全てを行なったというところがまた最悪さに拍車をかけていて、一周回って気持ちよさすら感じるくらいだ。どれだけ言い訳しても、最後の最後で破壊することも死ぬこともできずに他人に押し付けようとしている時点で軽蔑されて当然なんだよなこいつ。でもそういう弱さが人間らしくて可愛い。

    いないのと同じ/尾八原ジュージ
    ジュブナイルに隠された救いのなさの塩梅が絶妙。お譲りしますの使い方も好きだった。条件を踏まないように、関わり合いを持たないように。そういうルールを踏まえたバッドエンドとグッドエンドを並行して見られるのエンタメとしての楽しさがすごかった。
    佐々原くんはもうずっと前に手遅れだったんだろうから、関わり合いにならないという選択肢は完全に正しいのに、どうにも寂しくて苦しい気持ちにさせられてしまう。
    いないのと同じって割り切るのって難しいよね。

    0
    2025年09月16日
  • ■■謹んでお譲りします。

    Posted by ブクログ

    「霊感を持つ人」にフィーチャーしたホラー短編集
    「梨」「朝倉宏景」「和田正雪」「八方鈴斗」「尾八原ジュージ」
    5人の新進気鋭な作家たちが、“霊感の譲り方”に特化して、独自なストーリーを展開しています。
    まずまず・・・堪能しました(^_^;)
    あまり救われない物語もありましたが・・・

    0
    2026年06月15日
  • ■■謹んでお譲りします。

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    テーマは「霊感の譲渡」。
    霊感を譲られる人、霊感を譲る人。
    欲しい人、欲しくない人、必要な人。

    『謹んで、嫌なはずのものを渡す』というたった1文に物語を感じるあたり、テーマ設定の妙を感じます。

    アンソロとして全体の完成度が高く、どの作品も一定して読みやすいです。
    怪異もヒトコワも楽しめる。
    ただ、なにせテーマが「霊感の譲渡」なのでイヤミスならぬ、嫌な気持ちになるホラー目白押しです。
    後味は基本的に悪いです。面白いけど。
    ゴア表現が強めの作品も多いので、苦手な方もいるかも。
    悪意の方向性が平山夢明の作品を思い出しました。
    個人的には尾八原ジュージさんの「いないのと同じ」が好きでした。

    考えると、ホラーが好きな自分も霊感ほしいとは思わないのはそりゃそう。
    怖いものはたまに覗き見る位が丁度いい、というのはわがままな話でしょうか。

    でも、生きていたらどのタイミングで霊感が欲しくなるかなんて分からないですよね。
    譲ってくれる人がもし現れたらどうするかな、とか考えてました。

    QRコードは、実際にサイトに飛ぶと楽しめます。
    梨さんが参加してる時点でこうなる予感はしてました。譲り先を探します。

    0
    2026年05月04日
  • ■■謹んでお譲りします。

    Posted by ブクログ

    最後の2作品は斬新で面白かった。他の方が書いた感想にもあったが今まで読んだ怪談アンソロジーの中では最も良かった。3.8

    0
    2025年09月30日
  • ■■謹んでお譲りします。

    Posted by ブクログ

    タイトルイメージと違う作品がいくつか、ちょっと物足りないオチのものがいくつか。本書刊行の理由がシンプルすぎて、その要素いれるならもう少し持って欲しいと思ってしまった。

    0
    2026年02月21日
  • ■■謹んでお譲りします。

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    フォローさせて貰ってる方数人が登録しておられるのがタイムラインで流れて来て、表紙の薄暗さと梨さんが参加されてたのとで読んでみようと思ったんだと思う、多分…
    というのも、お迎えしてから積読の山に紛れ込んでて、忘れてしまってた。。

    1話目の梨さんのお話からちょっと残忍な内容がちらほらあって、2話目の小学生のお話で完全にやられてしまった…
    もう、なんて言うかほんとに気持ち悪くて(泣) なんで小さい子を標的にするかなぁもう! 小さい子と動物と人形が標的になるお話はちょっと無理なのよ…
    その後4話目も年端のいかない子が標的になりそうで(大筋は大人が主人公)、あぁもうこれは5話は読まずに本を閉じた方がよさそうかも…とまで思ってたんだけど。

    5話、尾八原ジュージさんの「いないのと同じ」
    良かったです、泣いてしまった。。
    怖いお話読んで、胸がぎゅっとつかまれたようになって泣いたの、久しぶりな気がする(隣の夫氏、えぇ!?って感じになってた 汗)
    これは私の勝手な想像なんだけど、
    センノくんやコナミさんのお母さんが子ども達を思ってるように、佐原くんのお祖母さんもお孫さんの状況を目にしておられたんじゃないかと思ったら…辛いよね。
    あっち側のモノ同士は干渉しあわない、と言うかできないんだろうし(シックスセンスでそんなくだりがあったような)、だとしたら尚の事庇護できない辛さがあるような気がして…また涙。

    5話はほぼ小さい子ばかりが出てくるお話だったけど、こういう内容は好きです、5話には5つ星付けたい。
    勝手だね^_^

    0
    2026年01月27日
  • ■■謹んでお譲りします。

    Posted by ブクログ

    もし、霊感を他人に受け渡すことができたら?
    ホラー小説の最前線を走る作家たちによる、「霊感の譲り方」アンソロジー。
    本書は、逝去した担当編集■■■■の遺志により刊行しました。


    「霊感の譲り方」をテーマとしたホラーアンソロジー。

    霊的な怖さもありますが、やっぱり故意に他人に霊感を譲り渡す、という行為のその自己保身や悪意の部分が一番怖い気がします。
    私個人は霊感どころか完全なる零感なんですが、亡くした人に会えるかもしれないという誘惑に惹かれてしまう気持ちはわかる気がします。
    その喪失はいつかは越えて行かなくてはいけないものだとわかっていても、せめてもう一度話したい、微笑んで欲しいという気持ちは消せない。自分もその痛みを知っているのに、その弱さにつけ込む醜悪さが恐ろしい。そういう意味では、八方鈴斗さんの『観察記録』が一番怖かったです。
    人の醜さという観点では、朝倉宏景さん『じゃんけんちゃん』も後味が悪い。綺麗で純粋なものが好きなので、それが汚れていく様は絶望感が強いです。

    尾八原ジュージさん『いないのと同じ』も好きでした。小学生が語り手で、これは悲劇的であり寂しくもあるけど温かみもある気がする。

    0
    2025年11月02日