配信予定・最新刊

作品一覧

  • 恐るべき緑

    恐るべき緑

    小説・文芸

    4.0
    1巻2,475円 (税込)
    人類と自然界の「過剰さ」への傾向に関する考察 世界33か国で刊行、オランダ生まれのチリの新鋭による、科学史に着想を得た斬新なフィクション。 「プルシアン・ブルー」 第二次世界大戦末期、ナチの高官らが所持した青酸カリと、西欧近代における青色顔料をめぐる歴史、第一次世界大戦の塹壕戦で用いられた毒ガス兵器の開発者フリッツ・ハーバーの物語。 「シュヴァルツシルトの特異点」 科学史上初めてブラックホールの存在を示唆した天文学者シュヴァルツシルトの知られざる人生。 「核心中の核心」 不世出の数学者グロタンディークの数奇な生涯と、日本人数学者、望月新一の人生の交錯を空想する。 「私たちが世界を理解しなくなったとき」 黎明期の量子力学の発展に寄与した三人の理論物理学者、ハイゼンベルク、ド・ブロイ、シュレーディンガーと、それぞれに訪れた発見/啓示の瞬間。 「エピローグ 夜の庭師」 作者と思しきチリ人の語り手が、散歩の途中に出会った元数学者の庭師との会話や思索を綴る。 科学のなかに詩を見出し、宇宙の背後にある論理や数式が、天才たちの前におのずと姿を現わすかのような比喩が随所に光る。既存のジャンルを軽々と飛び越える国際的な話題作。
  • 売女の人殺し
    NEW

    売女の人殺し

    小説・文芸

    4.8
    1巻2,376円 (税込)
    恐怖と悪夢、その背後にある笑いと底知れぬ悲哀。ボラーニョの分身とされるおなじみ〈B〉やアルトゥーロ・ベラーノらがふたたび登場する13篇。貴重な自伝的エピソードも含む、生前最後の短篇集。 「女ってのは売女の人殺しよ、マックス、立ち枯れた木の上から地平線を見つめている凍えた猿、闇のなかで泣きながら、決して口にすることのできない言葉を求めながらあなたを探しているお姫さまなの。わたしたちは誤解のなかに生き、人生のサイクルをつくり上げているのよ」(「売女の人殺し」より) インドから帰還した同性愛者のカメラマンの秘められた記憶、Bと父がアカプルコで過ごした奇妙な夏休み、元サッカー選手が語る、謎のチームメートとの思い出……恐怖と悪夢、その背後にある笑いと底知れぬ悲哀。ボラーニョの分身とされるおなじみ〈B〉やアルトゥーロ・ベラーノらが再び登場する13篇。貴重な自伝的エピソードも含む、生前最後の短篇集。 [解説]若島正
  • ラテンアメリカ文学を旅する58章

    ラテンアメリカ文学を旅する58章

    ビジネス・実用

    -
    1巻1,936円 (税込)
    日本からは地理的にも程遠い地域であるラテンアメリカだが、マリオ・バルガス・リョサやガルシア・マルケス等、ラテンアメリカを代表する作家の文学作品は日々刊行されている。しかし、その文学を読むだけでは各作家の相互関係やその作家が表象している地域性は見えづらい。15世紀にコロンブスがアメリカ大陸を発見してから、現代までを文学の視点から概観し、ラテンアメリカ文学の多様性を描き出す珠玉の入門書。

ユーザーレビュー

  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    ものすごくおもしろかった。実在の科学者たちの研究と功罪とゴシップ色をまとうプライベートがただただ列記されていき、読むと科学の進歩をなぞることができる。書きぶりはまるで取材ノートかドキュメンタリーのような素っ気なさだし舞台は科学技術だし、とっつきにくいはずなのに冒頭から惹き込まれてしまう、不思議な文体だった。アインシュタインが量子力学をまったく理解できなかったエピソードがおもしろい。とはいえノンフィクションではなく、主にプライベートの部分について作者の創作が大いに混ぜられているらしいので読み方には注意が必要。
    エピローグが唯一とても不穏で文学的で、詩的なタイトルの意味がここでわかる。表紙のデザインも素敵

    0
    2024年08月11日
  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すごく面白かった。文章が詰まっていたが、読みやすく、専門的なことはあまり詳しくはないけれど、史実の部分に関しては、以前見たNHKスペシャルや他の番組のおかげで想像しやすかった。
    タイトルの恐るべき緑とは、毒ガスのことだと思うけど、もう一つ妻へ残した手紙にある、植物が異常増植して〜のところが、現実とは乖離していて面白い。
    天才とか頭の良い人には、その人にしかわからない苦悩があるのだなと思った。
    「私たちが世界を理解しなくなったとき」とは、まさに現在のことで、仕組みもわからないのに便利に使っているスマートフォンやAIについて、それまでのように、発明されたものや方法には良い面と悪い面があるのだという教訓を心に、もっとその仕組みに興味を持ち、理解を深めるべきだと思いました。

    0
    2024年07月27日
  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    『一九三四年、フリッツ・ハーバーはバーゼルで、冠動脈を拡張するための注射器を握り締めながら死んだ。それから数年後に、彼が開発に協力した殺虫剤がナチのガス室で使用され、彼の異母妹と義弟と甥たち、その他大勢のユダヤ人が殺されることになるとも知らずに』―『プルシアン・ブルー』

    吉川晃司の抑制の効いた低い声の語りで科学史の闇の部分に焦点を当てたあの番組と似たような本かと思って読み進めると、作者の仕掛けた罠にまんまと嵌まることになる。その仕掛けについては作家ベンハミン・ラバトゥッツ自らが謝辞の中で述べているので敢えて記さないことにするけれど、望月新一とアレクサンドル・グロタンディークの人生が交錯する下りを読んで、一瞬、背筋に寒気が走り、あれ?と思ったということは書いておこう。

    科学史に名を遺す知の巨人たちを登場させた小説は、恐らく枚挙に暇がないだろうけれど、個人的に一冊挙げるとするなら「ケンブリッジ・クインテット」。本書にも登場するシュレーディンガー、チューリング(ちらりと出て来るだけだが)の他、物理学者C・P・スノウ、哲学者ヴィトゲンシュタイン、遺伝学者ホールデインの五人が人工知能の可能性について語り合うという小説。チューリングはもちろんのこと、他の登場人物たちも各々言いそうなことを架空の晩餐の席上で言い合うところが面白い。当然のことながら、読者はそんな機会はなかっただろうと思いながら、それでも、ひょっとしたら起こり得たかもしれない会話を愉しむことになる。一方、本書「恐るべき緑」は、登場人物たちの人生を足早に辿りながら、見過ごされた事実を拾い上げ、それを脚色して物語を紡ぐ。読者は、そんなことはあり得ないだろうと思い(願い?)つつも、その筆致に惑わされ、つい本当にそんなことがあったのかと何度も逡巡しながら読み進めることになる。その感覚を敢えて言うなら、戦慄、という言葉が相応しいかも知れない。

    科学が宗教に取って代わって人々の生きる上での支え(それはある意味で信仰と呼んでもいいと思うのだが)となり、それが余りにも当たり前の世の中であることに何の違和感も覚えない状態を凶弾するのが本書の主たる意図ではないだろうけれど、「フランケンシュタインの誘惑」で吉川晃司の語りによって明かされた科学者たちの行為や作為に驚愕するのと同様の衝撃は本書からも受ける。特に第一章「プルシアン・ブルー」は、事実の羅列とそこから派生する出来事の交錯を執拗に追いかける物語で、ドキュメンタリーの様相が強く、尚更だ。科学技術が悪い訳ではない、それをどう使うかの問題だ、とは言うものの、何処かで、その扉を開けていなければ、という思いが湧くことは否めない。知の扉を開け続け、蒙を啓くことで、果たして叡智と呼ばれるものを得るに至るのか。それに対するやや負の感情を作家の筆致から感ざるを得ないのも事実だが、窒素を求めて先人たちが墓を暴くことまでしていたことを知ると、知が人間性を、あるいは少なくとも人間性について考える余裕を手に入れ足らしめたことも確か。もちろん、単純に白黒判定が付くような話でもないけれど、そんなことをあれこれと考えてしまう一冊ではある(とは言え、本書は決して啓蒙書の類ではないのだが)。

    エピローグは、恐ろしい話をあれこれと聞かされてすっかり消沈した者に語り掛けるかのような一章となっているが、そこで、はたと作家の意図(問い掛け)が見えてくる。さて、こんな風に問われたら、何と答えるべきなのだろう。それを考え続けることが、取り敢えずは重要なことだと判ってはいるつもりだけれど。

    『ついこの間、夜の庭師から、柑橘系の樹木がどんなふうに枯れるか知っているかと訊かれた。干ばつや病気に耐え、疫病や菌類や害虫の無数の攻撃を生き延びたとしても、老齢を迎えると、過剰さによって滅びてしまうのだ。ライフサイクルの終わりに差しかかると、木は最後に大量のレモンを実らせる。(中略)不思議だね、と彼は言った。(中略)そのような恐ろしい豊饒のスペクタクルは植物のものには思えない、むしろ際限もなく制御不可能な成長を遂げる我々自身の種の過剰さに似ている。僕は彼に、我が家のレモンの木の寿命はあとどれくらいか尋ねてみた。彼は、少なくとも幹を切って年輪を見る以外にそれを知る方法はないと言った。でも、誰がそんなことをしたいと思うだろう?』―『エピローグ 夜の庭師』

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    2024年05月19日
  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    鮮やかな悪夢を見ているよう。
    科学的業績のある人々の思索、体験、行動をフィクションを混ぜて書いてあります。 
    量子力学などの知識が少しあると、より楽しめます。

    0
    2024年04月12日
  • 売女の人殺し

    Posted by ブクログ

    ぜんぶおもしろかったが、「目玉のシルバ」「帰還」「ブーバ」「ラロ・クーラの予見」が印象に残る。「野生の探偵たち」は、前半さっぱりノレなかったけど再読したらもっと面白く読める気がしてきたw

    0
    2014年12月17日

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