作品一覧

  • ラテンアメリカ文学を旅する58章
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    日本からは地理的にも程遠い地域であるラテンアメリカだが、マリオ・バルガス・リョサやガルシア・マルケス等、ラテンアメリカを代表する作家の文学作品は日々刊行されている。しかし、その文学を読むだけでは各作家の相互関係やその作家が表象している地域性は見えづらい。15世紀にコロンブスがアメリカ大陸を発見してから、現代までを文学の視点から概観し、ラテンアメリカ文学の多様性を描き出す珠玉の入門書。
  • 恐るべき緑
    4.0
    1巻2,475円 (税込)
    人類と自然界の「過剰さ」への傾向に関する考察 世界33か国で刊行、オランダ生まれのチリの新鋭による、科学史に着想を得た斬新なフィクション。 「プルシアン・ブルー」 第二次世界大戦末期、ナチの高官らが所持した青酸カリと、西欧近代における青色顔料をめぐる歴史、第一次世界大戦の塹壕戦で用いられた毒ガス兵器の開発者フリッツ・ハーバーの物語。 「シュヴァルツシルトの特異点」 科学史上初めてブラックホールの存在を示唆した天文学者シュヴァルツシルトの知られざる人生。 「核心中の核心」 不世出の数学者グロタンディークの数奇な生涯と、日本人数学者、望月新一の人生の交錯を空想する。 「私たちが世界を理解しなくなったとき」 黎明期の量子力学の発展に寄与した三人の理論物理学者、ハイゼンベルク、ド・ブロイ、シュレーディンガーと、それぞれに訪れた発見/啓示の瞬間。 「エピローグ 夜の庭師」 作者と思しきチリ人の語り手が、散歩の途中に出会った元数学者の庭師との会話や思索を綴る。 科学のなかに詩を見出し、宇宙の背後にある論理や数式が、天才たちの前におのずと姿を現わすかのような比喩が随所に光る。既存のジャンルを軽々と飛び越える国際的な話題作。

ユーザーレビュー

  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    ものすごくおもしろかった。実在の科学者たちの研究と功罪とゴシップ色をまとうプライベートがただただ列記されていき、読むと科学の進歩をなぞることができる。書きぶりはまるで取材ノートかドキュメンタリーのような素っ気なさだし舞台は科学技術だし、とっつきにくいはずなのに冒頭から惹き込まれてしまう、不思議な文体だった。アインシュタインが量子力学をまったく理解できなかったエピソードがおもしろい。とはいえノンフィクションではなく、主にプライベートの部分について作者の創作が大いに混ぜられているらしいので読み方には注意が必要。
    エピローグが唯一とても不穏で文学的で、詩的なタイトルの意味がここでわかる。表紙のデザイ

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    2024年08月11日
  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すごく面白かった。文章が詰まっていたが、読みやすく、専門的なことはあまり詳しくはないけれど、史実の部分に関しては、以前見たNHKスペシャルや他の番組のおかげで想像しやすかった。
    タイトルの恐るべき緑とは、毒ガスのことだと思うけど、もう一つ妻へ残した手紙にある、植物が異常増植して〜のところが、現実とは乖離していて面白い。
    天才とか頭の良い人には、その人にしかわからない苦悩があるのだなと思った。
    「私たちが世界を理解しなくなったとき」とは、まさに現在のことで、仕組みもわからないのに便利に使っているスマートフォンやAIについて、それまでのように、発明されたものや方法には良い面と悪い面があるのだという

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    2024年07月27日
  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    『一九三四年、フリッツ・ハーバーはバーゼルで、冠動脈を拡張するための注射器を握り締めながら死んだ。それから数年後に、彼が開発に協力した殺虫剤がナチのガス室で使用され、彼の異母妹と義弟と甥たち、その他大勢のユダヤ人が殺されることになるとも知らずに』―『プルシアン・ブルー』

    吉川晃司の抑制の効いた低い声の語りで科学史の闇の部分に焦点を当てたあの番組と似たような本かと思って読み進めると、作者の仕掛けた罠にまんまと嵌まることになる。その仕掛けについては作家ベンハミン・ラバトゥッツ自らが謝辞の中で述べているので敢えて記さないことにするけれど、望月新一とアレクサンドル・グロタンディークの人生が交錯する下

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    2024年05月19日
  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    鮮やかな悪夢を見ているよう。
    科学的業績のある人々の思索、体験、行動をフィクションを混ぜて書いてあります。 
    量子力学などの知識が少しあると、より楽しめます。

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    2024年04月12日
  • 恐るべき緑

    Posted by ブクログ

    ナチス将校たちが自決に使用した青酸カリと、合成顔料プルシアン・ブルーとのめくるめく繋がりから戦争と生と死の残酷で奇妙な因縁を浮かび上がらせる「プルシアン・ブルー」ほか、実在する科学者・数学者の伝記的事実を想像力豊かに脚色し、原子力以降の科学の発展に疑問を投げかける、ノンフィクションのようなフィクション短篇集。


    面白かった~。最初はチリの円城塔じゃん!と思ったんだけど、読み進めると円城さんよりむしろ初期の宮内悠介っぽく思えてきて、どこかで「あ、これゼーバルトか」とわかった。案の定、あとがきで『土星の環』が挙げられていてニヤリ。
    すごく面白かったんだけど、好みの話だけで言ったらすごく惜しいと思

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    2025年11月26日

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