作品一覧

  • 破れざる旗の下に

    破れざる旗の下に

    小説・文芸

    3.8
    1巻2,860円 (税込)
    南北戦争下のルイジアナ。戦場での過酷な体験に苛まれ、伯父の農園で無為な日々を送る外科医のウェイド。殺人容疑を掛けられ、ウェイドの助けを借りて農園から脱走した奴隷女性のハンナ。さまざまな運命に翻弄される彼らが、最後にたどり着いた真実とは――。
  • 磔の地(新潮文庫)

    磔の地(新潮文庫)

    小説・文芸

    3.4
    1巻1,210円 (税込)
    ルイジアナ州アイビーリア郡。刑事ロビショーのもとに、かつて私刑により父親を磔殺された写真家ミーガンが訪ねてくる。窃盗罪で拘置中の黒人が看守に虐待されていると訴えてきたのだ。真相を探るうち、件の囚人の妻の自殺、レイプ犯らの殺害と、様々な悲劇が表面化し、かつての磔の惨劇へと結びつく……。米南部ミステリーの巨匠が犯罪小説に文学性を吹き込んだCWA最優秀長篇賞受賞作!(解説・霜月蒼)

ユーザーレビュー

  • 破れざる旗の下に

    Posted by ブクログ

    名作★5 人間がやってしまう最も愚かな所業「戦争」狂気と凄惨さに希望も見えない #破れざる旗の下に

    ■あらすじ
    南北戦争時代のアメリカ南部ルイジアナ。歩兵連隊に従軍していた外科医のウェイドは、辛い体験をして伯父チャールズの農園に身を寄せていた。その農園の奴隷として働いていた黒人女性のハンナは、かつて幼い息子と生き別れてしまい傷心の毎日を送る。

    巡査のピエールは、農園主スアレスが殺害された事件を追っていた。ハンナが関係していると睨んだピエールは自身の根拠だけで逮捕してしまう…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    名作★5 日本人には馴染みが薄い、アメリカ南北戦争の悲劇を描いた戦争小説です。

    将校をはじめ、奴隷、警察、傷痍軍人、奴隷廃止論者など様々な人間を描く群像劇で物語は展開されます。決して長い物語ではないですが、一文一文に重みのある純文テイストの小説になっています。

    この本を読んでると、その時代、その場所で生きているかのような錯覚を覚えてしまう。略奪や殺人が当たり前のように行われていて、すべての人が不幸を抱えている世界。

    意味があるのかないのかわからないうちに、次々と人が亡くなっていく。豊かで幸せな暮らしや、自由を勝ち取るために戦っているはずなのに、そこには悲劇と惨劇しかないんです。

    見るに堪えない奴隷の扱いが、もはや動物以下であまりにも酷い。魂が抜けてしまった彼女がたちが、どんな惨めな気持ちで日々生きているのか。現代の日本人である私では解釈しきれず、受け止めることもできませんでした… 可哀想なんて陳腐な言葉では整理できない、まさに地獄の在り様に虚しさしか残りません。

    それでも差別の現実に疑問を感じ、手を差し伸べてくれる白人たちもいる。しかし差別を受けている人間の気持ちは、その立場にならない絶対に理解できない。抗うことができない虚無感が胸に広がっていき、何処に怒りを向けていいかもわからなくなるんです。

    また本作には様々な登場人物が出てきますが、特筆したいのは第三勢力レッドレッグのヘイズ大佐。規律を重んじる軍人たる人物でありながら、偏った思想の持ち主。梅毒に侵され、常に苦しみの中にいる。

    戦争に加担する狂人ながらも、人間性を味わってみると、実は至極当たり前の価値観を持っている。現代でも起きている強欲に満ちた戦争の卑劣さに、あらためて気づかさるのです。

    そして彼らの歩みの終着点、勝っても負けても行きつくのは地獄。たとえ生き残ったとしても、罪の意識や過去の悲痛な思いは消えることはないんです。血にまみれてしまった希望は、いったいどんな輝きを放つことができるのでしょうか。

    戦争の恐ろしさや狂気を丸ごと体験させてもらえる作品です。不安定な国際社会である今こそ読んでおくべき一冊でした。

    ■私とこの物語の対話
    どんな理屈があろうとも、戦争に正しさがあるなどと言わせてはいけない。

    他の動物に比べて優秀な頭脳をもっているはずの人間が、狂暴で残忍なだけの生き物になってしまう。戦争に巻き込まれている地域にいる人々も、当然ひとりひとりに家族があり、大切な財産がある。あらためて戦争なんて一日も早く終わらせるべきということを学ばせていただきました。

    0
    2024年12月14日
  • 磔の地(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    1998年ゴールド・ダガー賞受賞作.アメリカ南部が舞台で,どうやらシリーズの10作目らしい.
    ゴールド・ダガー賞受賞にふさわしく,南部の田舎のどうしようもない閉塞感が重厚なトーンで描かれた,傑作であるが,読後感はスッキリしない.結局,巨悪には勝てないのか...
    しかし,アメリカ人は,こんなにも婉曲的な会話をするんですかね?

    0
    2025年11月24日
  • 磔の地(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    先日、王谷晶さんが受賞して、話題となったダガー賞(の翻訳部門)、
    その、ゴールド(最優秀)を獲った作品として本屋さんの新発売コーナーに随分と積んでいたので衝動買い。
    ・・・ただし、受賞は1998年でありました・・・
    翻訳モノは、相性の良し悪しで分かれ道。
    今作は、登場人物の相関関係を理解するのに大苦戦、舞台となる街の風景や雰囲気を感じ取ることが出来ずに、
    只々、文字を追い続けることで精一杯。
    苦しい読書時間となってしまいました。

    0
    2025年09月05日
  • 磔の地(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2025年の28冊目は、ジェイムズ・リー・バークの「磔の地」です。1998年のゴールドダガー賞受賞作です。舞台は、アメリカ南部ルイジアナ州。ディープサウスとも呼ばれるスワンピーな土地を舞台にしつつも、暑くるしさよりも乾きを感じるのは、作者の文体なのでしょう。そして、この本がゴールドダガー賞を取る当たりに、イギリス人のアメリカ南部好きを感じずにもいられません。
    主人公は、アイビーリア郡の保安官事務所に勤務し、釣り餌屋も営む、デイヴ・ロビショーです。本書は、シリーズ10作目となります。納屋に磔にされて殺されたジャック・フリンの未解決事件を軸に、アイダ・ブルサードの溺死事件や少年2人の射殺事件等を絡めつつ、アメリカ南部の闇の歴史を描いて行きます。ロビショーは、事件の周りを浮遊するようにウロウロするだけで、一向に事件は解決する気配を見せませんが、最終盤に掛けて、驚きの真相が明らかになります。最後まで読み終えれば、ゴールドダガー賞受賞も頷けます。
    バークの風景描写は、もう少し湿度を感じたい所ですが、言われる程、悪くないと思います。
    ☆4.6

    0
    2025年08月13日
  • 破れざる旗の下に

    Posted by ブクログ

    南北戦争時代のアメリカが舞台
    日本人の多くは教科書に書いてあったことしかイメージが付かないが、アメリカが引き摺るには重すぎる歴史が伺える
    単なる権力闘争の内戦ではなく、また単なる南北の対立だけでもない、人が人を殺してしまう憎しみと狂気が入り混じっている
    敵は一つではなく無数に存在し、更には自分の内面にも存在する

    単なるミステリーではない本作品
    元々純文学作家であった筆者の文章は評価が高いが、純文学苦手の私には個人的に少々難があった

    0
    2024年12月24日

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