作品一覧

  • はくしむるち
    4.2
    1巻1,881円 (税込)
    デビュー作『月ぬ走いや、馬ぬ走い』で群像新人文学賞と野間文芸新人賞をダブル受賞した大型新人が、圧倒的な筆力で描く衝撃の長篇第一作! 暴力が支配する世界に、「ヒーロー」は現れるのか? 戦争の傷が刻まれたこの島で、新しい地図を描くための「戦い」がはじまる。 きみは沖縄に生まれ育ち、ウルトラマンに憧れるオタクになった。小中学校とエスカレートする「いじめ」を生き抜いたきみは、この島を分断する「壁」に向かって、ある「計画」を実行していく――。 沖縄の今を生きる少年少女と、80年前の戦場を生きた少年兵たち。ともに白紙のような彼らを呑み込んでいく巨大で残酷な暴力に、どう立ち向かうのか?現代と戦中戦後の時空を交差させて描く、鮮烈な青春小説にして、新しい世界文学の誕生!
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い
    4.4
    1巻770円 (税込)
    第67回群像新人文学賞、第46回野間文芸新人賞、第11回沖縄書店大賞(小説部門)トリプル受賞! 琉球大学在学中、21歳での鮮烈なデビュー作! 沖縄に生きるアメリカルーツの男子小学生、片足を失い幻肢痛に苦しむ米兵と結婚したコザの女性、特攻へ向かう旧日本軍将校──。14人の語りを通して、戦中から現代までの沖縄の80年史を描き、その因果の物語を辿る。 『月ぬ走いや、馬ぬ走い』は、沖縄の近現代、連鎖する暴力、死者と記憶と時間といった明らかな主題や情報が霞んでしまうほど詩的で恍惚的な文章に満ち、読後にそのすべてが名状しがたい体験として迫り残り匂いたつ。抜群のリズムと声によるこの容赦のない疾走はまったくの才能である。 ──川上未映子 島尾敏雄ほか先人のエコーを随所に響かせながら、沖縄に深く堆積したコトバの地層を掘り返し、数世代にわたる性と暴力の営みを、『フィネガンズ・ウェイク』的な猥雑さで、書きつけた作品。Z世代のパワフルな語部の登場を歓迎する。 ―― 島田雅彦 十四章の構成で沖縄の近現代史を描き切る、しかも連関と連鎖、いわば「ご先祖大集合、ただし無縁者も多い」的な賑わいとともに描き切る、という意図はものになった、と私には感じられた。/この小説はほぼ全篇、ある意味では作者自身のものではない言葉で綴られていて、だからこそ憑依的な文体を自走させている。つまり、欠点は「長所」なのだ、と私は強弁しうる。要するにこの「月ぬ走いや、馬ぬ走い」は小さな巨篇なのだ。 ―― 古川日出男 「読んだものを茫然とさせ、彼のいままでを氷づけにし、そのうえで、読むことをとおしてあたらしい魂を宿らせる、そんな小説でありたい……テクストでの魂込め(まぶいぐみ)とでも呼ぶべきところが、ぼくの目標です。」豊永浩平(受賞のことば) ぼくがここにいて、そしてここはどんな場所で、なによりここでぼくはこうして生きてきた、ってことを歌って欲しいんだ、ほとばしるバースはライク・ア・黄金言葉(くがにくとぅば)、おれらは敗者なんかじゃねえぞ刻まれてんのさこの胸に命こそ宝(ぬちどぅたから)のことばが、月ぬ走いや、馬ぬ走いさ!

ユーザーレビュー

  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

    Posted by ブクログ

     この上ない才能を目の当たりにしたとき、心の底からほとばしるアツい感情がこみあげてくる。それを冷静に語れるほど私には語彙がない(笑)
     沖縄の性と暴力の歴史を時代、ジェンダー、世代を飛び越えこれまでの歴史年表を捉えなおしている。物語は全て途中で閉ざされるが、確かな断片がそこには残る。がれきの山の上に歴史は成り立っている。今の私に通ずる縦糸がルーツをたどろうと思えば、深く潜ろうと思えば思うほど、見えてくるのだろう。
     今年読んだ中で最高の1冊だった。

    0
    2026年06月13日
  • はくしむるち

    Posted by ブクログ

    すごかった。素晴らしかった。

    ユニークで新しい読み口の語りに興奮しながら、ハンガン(少年がくる)、トニ・モリスン(Beloved) 、宮藤官九郎 などが頭に浮かんだ。

    そして何より、小説の声の遠慮や制御のなさに胸がすく思いがあった。当事者が自分の声で、自分たちの目線で、自分たちの語りを全開のパワーで訴えかけてくるところに、そうしていいんだ、そうできるんだ、声を出すべきなんだと何か勇気づけられるような気がした。あまりにも今のニュースや新聞は大きなもの、中心に居座っているものの声だけを主流として流すばかりだから。

    80年前のシーンに読者を引き摺り込む文章はハンガンの「少年がくる」のようである

    0
    2026年06月09日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

    Posted by ブクログ

    現代小説と時代小説の狭間にいるような、不思議な読み味の本。
    戦後の沖縄から現代の沖縄を、14人の視点を通して覗き見ていく話なのだけど、読者の共感や理解を促したり読み手の快感作るような分かりやすい構成や演出をしない、その剥き出しな感じが個人的にすごく好きでした。
    正直よく分からない部分も沢山あるし、読みづらい。けれど、「その人(登場人物)が見て感じた記憶をそのまま差し出す」というような荒っぽさや(物語としての)違和感、読み手に易しくない描写や展開が、それぞれの記憶の断片をこちらにリアルに感じ取らせてくれたように思う。過去にあった出来事や、歴史として語られる話の奥にあるのは、その時間を生きた人たち

    0
    2026年06月07日
  • はくしむるち

    Posted by ブクログ

    タイトル「はくしむるち」がまったく覚えられないまま読み始めた。

    90才前後のおじーを媒介にした物語だ。むるちとは、この小説内で「大蛇」として使用される。嵐のように圧倒的で、暴力装置そのものだ。紙漉きをしたばかりの白紙のようなまっさらな若者たちが、そのむるちに、いまも巻き込まれ続けている。

    若かりしおじーが戦地としての沖縄で過ごしたころの暴力。現在に生きる主人公の大叔父として、いまの沖縄にこびりついた暴力を観測する視線。土地そのものに、暴力の記憶が染みついている。

    おじーがまだ生きているうちの話であるという設定が、これを書かせたのだと思う。いまでなければ嘘になってしまう、虚構になってしまう

    0
    2026年03月26日
  • はくしむるち

    Posted by ブクログ

    「なーら白紙むるちぬわらばー」は琉球方言で「まだ白紙もどきの子ども」という意味。なかなかタイトルが覚えられなかったんだけど、意味がわかったから忘れなくなった。

    最近歌舞伎を見ながら感じた、同じ日本語だから、まったく意味がわからないわけではない、でもすべてを言葉のまま理解することは難しいって感覚が、読んでいる最中に似ていた。

    この若さでこれを書けるの凄い才能すぎる。太字とひらがなの使い方が独特。なんでこの単語をわざわざひらくんだろう?って箇所がままある。

    以前ドラマ「フェンス」を見たときに、沖縄にはいろんな立場の人がいるから、それぞれを尊重するために、各々の環境や考えをわざとぼかして言語化

    0
    2026年03月07日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET