大田ステファニー歓人の作品一覧
「大田ステファニー歓人」の「身体を記す」「みどりいせき」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「大田ステファニー歓人」の「身体を記す」「みどりいせき」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
最初はスプラトゥーンのような重ねの原色をぶちかましてくる文体に面食らったけれども、自分と全く違う世代の少年少女が、自分と全く違う合理性の中で日々サバイブしている様子が、読み進めるにつれて感じられて、新鮮な体験だった。おもしろかった。
孤独な主人公がドラッグを通して同じ高校の生徒たちとつながり、おぼつかない足取りでコミュニティの一員になっていく話で、最初は登場人物の概要も掴みづらく関係性も推測しながらどうにか追いついていくという感じだったが、だんだん人の顔が見えてくると、主人公が仲間に馴染んでいくのと同じようにストーリーの進行に追いついてくる。その時には、振り解かれないようにつかまっていたゆえに、だいぶ本の中に没頭している感じになっているような、面白い感覚。エンタメ小説のように「ストーリーの展開がすごい!」とかとは違うのだけど、キャラクターたちの心情やこの先どうなるのか、ドラッグのトリップが果たしてストーリーの世界に何をもたらすのか、ちゃんと一歩ずつ追っている自分がいる。
あとから著者インタビューを検索して読んだら、そういう構成を狙っていたらしい。主人公の独白が続く狭く閉じた視界から、つながる相手が増えるとカメラが増えていきストーリーを掴みやすくなるような流れ。確かにそうなっていて、小説家はすごいなと思った。
通底するのはやはり孤独とつながりで、それをドラッグと犯罪という「特別な関係性」をフックに得ていく主人公の喜び(特にドラッグで酩酊するという身体的精神的な共通体験はきっと強烈なのだろう)。
その中で絶望してもなお、もとの孤独には戻れない、孤独に戻るくらいなら死んだほうがマシ、でも痛いのは嫌だ、そんな痛切さが時折顔を出す。
ネタバレになるからストーリーの最後は触れられないけれど、どのようになってもやっぱり一度作られたつながりは簡単には手放せない、それが人間なのだろうなと感じた。
普段読まないような本を読んでみたい、という方にはおすすめです!