大正もの。あるアパートの住人たちが執着している事柄の話が描かれる。相変わらず人物ごとの煮詰まった澱みを感じられるのがいい。黒色が印象的な漫画だが、その黒も何色もあるように思える。
お話は奇妙な3人の同性関係が描かれる「花に嵐」が好みだった。一人は水面に出られたが、一人は逆に沈んでいくようなラストシーンが良い。
形見分けで得た本に書かれていた文章から、故人が見たがっていた彗星を探す「夜もなごり」の雰囲気も好み。ある種の呪いのようなものを真っ当に引き継がれることになったが、やはりそれも受け入れるのだろうかなどと思った。